10.《ネタバレ》 地球最後の数日間を描く静かなるSF。
小惑星が地球に接近し衝突する派手な描写も、最後の時が近づき混乱する世の中の様子を描くでもない。
その時が来るのを待つしかない淡々とした人間模様。スタンリー・クレイマーの「渚にて」を思い出す作品です。
自暴自棄になり暴動を起こす者もいるかもしれない。
今までやりたくても出来なかったことを最後にやってみたいと思う者もいるかもしれない。
でも、案外大切な人といつも通り過ごしその時を迎えるのかもしれないな。
長らく連絡を取り合わず疎遠になっている父親がいるならば最後に父の元を訪れて和解し、
一緒に酒でも酌み交わすのかもしれないな。
スティーヴ・カレルとキーラ・ナイトレイ。2人が出会い、クルマで旅に出てからは、
結構普通のロードムービーでありラブコメ。終末SFであるのを忘れそうになってしまうのですが、
キーラ・ナイトレイの魅力が出まくっていて、いい女優さんだと再認識。
疎遠になっていた父を演じたのはマーティン・シーン。終盤に来ての彼の登場は作品を引き締めます。
写真、手紙、ハーモニカ、レコード・・・。1つ1つの小道具が効いています。
自宅に戻り、TVをつける。最後のニュース放送が終わる。そして最後にかけたレコード。
流れてきた曲はウォーカー・ブラザーズの名曲「太陽はもう輝かない」。見事な選曲。