凶悪のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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凶悪

[キョウアク]
2013年上映時間:128分
平均点:6.44 / 10(Review 73人) (点数分布表示)
公開開始日(2013-09-21)
ドラマ法廷もの犯罪もの実話もの小説の映画化バイオレンス
新規登録(2013-09-27)【蛇蟇斎狐狸窟】さん
タイトル情報更新(2024-07-05)【イニシャルK】さん
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監督白石和彌
キャスト山田孝之(男優)藤井修一
ピエール瀧(男優)須藤純次
リリー・フランキー(男優)木村孝雄
池脇千鶴(女優)藤井洋子
白川和子(女優)牛場百合枝
吉村実子(女優)藤井和子
小林且弥(男優)五十嵐邦之
ジジ・ぶぅ(男優)牛場悟
外波山文明(男優)森田幸司
九十九一(男優)福森孝
廣末哲万(男優)牛場利明
斉藤悠(男優)日野佳政
松岡依都美(女優)遠野静江
村岡希美(女優)芝川理恵
原扶貴子(女優)牛場恵美子
米村亮太朗(男優)佐々木賢一
ウダタカキ(男優)池田太一
五頭岳夫(男優)島神剛志
脚本高橋泉
白石和彌
音楽安川午朗
製作日活
ハピネット・ピクチャーズ
配給日活
美術今村力
編集加藤ひとみ
録音柴崎憲治(音響効果)
あらすじ
ある日、スクープ雑誌「明潮24」に、東京拘置所に収監中の死刑囚・須藤純次(ピエール瀧)から手紙が届く。記者の藤井修一(山田孝之)が面会に訪れ、須藤は自らの余罪を告白し、仲間内で「先生」と呼ばれる首謀者の男・木村孝雄(リリー・フランキー)を告発する。藤井は上司・芝川理恵(村岡希美)の忠告も無視して、取材に没頭していく。
ネタバレは禁止していませんので
未見の方は注意願います!
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【クチコミ・感想】

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73.《ネタバレ》 実際の保険金殺人事件のルポを題材とした映画。何よりその題材の料理の仕方に唸らされました。テーマ自体はコーエン兄弟の『ノー・カントリー』に近いと思います。怪物の様な殺人鬼を善人である主人公が追っていく内に、人間の暗黒面に迫っていく。『ノー・カントリー』の方は原題の通り事件を追っていた老保安官が「こんな国は老人の住める国じゃねえ」と呆然として終わりますが、本作は主人公を通して観客に問いを投げかけてくる。主人公の妻が最後に呟く「あなたも愉しかったんでしょう?」という台詞だ。ワイドショーではコメンテーターが事件について意見を並べ立て、ネットで全くの第三者が事件を勝手に糾弾していることなど山程ある。そんな資格が君(観客)にあるのか?と作り手が質問を投げかけているように思えました。
そんな感覚を観客に抱かせるには事件を如何にもエグく興味が惹かれるものに見せなくてはなりません。それに寄与しているのが、多くの方も述べているピエール瀧とリリー・フランキーの怪演でしょう。二人共目に狂気が宿っていて素晴らしい。
しかしどうにも特に先生のキャラクター造形が、『冷たい熱帯魚』のでんでん演じる村田に近いと思ってしまいました。と言うか事態が急変するとカメラが登場人物の背中をダイナミックに追っていったり、殺人シーンではカメラが縦横無尽にパンすることで場面に異様が感じられたりと、かなり園子温のタッチに近いと思いました。……が、これはエグい話を見ると直ぐにポスト園子温と思ってしまう私の悪癖でもあるのかも知れません。
それから最も残念だったのが、主人公がとにかく私の嫌いなタイプの人間だったこと。勿論、あのラストに向かうのであれば仕方が無いのかも知れませんが、「おまえ夫としてどうなん?」と何度も思ってしまった。あれだけの奥さんの懇願に対して「疲れてるから……」で蔑ろにするとか酷すぎる。私はここで主人公に余り感情移入できなくなってしまい、ラストにリリー・フランキーが突き出す人差し指の先に自分はいないと思ってしまいました。
民朗さん [映画館(邦画)] 7点(2013-11-23 14:46:28)(良:3票)
72.《ネタバレ》 あの「上申書殺人事件」を、原作ノン・フィクションがあるとはいえここまで真正面から映像化した努力には敬意を表したいところです。ちょっと不謹慎ですけど、映画化されていない興味深い事件が日本にはいっぱいあるんです。無難な題材や原作しかチョイスしない委員会方式の映画製作が幅を利かしている腐った日本映画界では無理もないですけど、そこはえげつないハリウッドを少しは見習ってほしいものです。もう団塊世代しか覚えていない連合赤軍事件なんかを映画化する前に、オウム真理教事件を映像化するべきじゃないでしょうか。 本作はと言うと、誰もが身震いする様な凶悪をエンタテイメントにまで高めた傑作だと思います。よく『冷たい熱帯魚』と比較されていますが、趣味の悪いデフォルメが無い分本作の方が優れてるんじゃないでしょうか。リリー・フランキーの不気味な演技には身震いさせられましたね。どの登場人物にも感情移入させない演出も秀逸です。でも主人公・山田孝之の家庭生活までストーリーに組み込んだのはちょっとどうかなと思います。母親の世話を妻に押し付ける彼の内面の闇としたいみたいですが、はっきり言ってせっかくの緊張感を削ぐだけだし、だいいちあんなことで悪人扱いされたらたまらんぞ、と感じる人が多いんでは。でもラストの面会シーンは真逆の演出ですけど『天国と地獄』のラストを彷彿させてくれました、これは監督のオマージュかもしれませんね。
S&Sさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-11-13 23:17:16)(良:2票)
71.《ネタバレ》 これが実際にあったというのは恐ろしい。でかい態度でいて乱暴な言動を普段からする須藤ではなく、善人面で凶暴さを全く示さない「先生」の方がよほど凶悪だというのは嫌な感じを覚えさせられる。

■原作は未読だが、こちらに年表形式で内容がまとまっている(http://subaru39.tripod.com/home/sagi/misizu.html)。これを見ると、殺人に関する部分はかなり事実そのままで描き出しているようである(五十嵐の死については須藤の手によるのではなく須藤逮捕後の自殺(?)らしく、ここだけ異なる)。

■逆に原作になくて追加されているのは藤井の妻に関する部分。痴呆の母を邪魔だと思う息子夫婦の構図は、完全に三件目の保険金殺人とパラレルになっている。藤井は徹底して「自らの手を悪に汚さない」側に立ち、殺人を告発し、一方家庭では母親の問題を妻に押し付ける。しかしそうやって自分を汚れなき側に置いているつもりの心理が、じつは一番凶悪さに蝕まれていたりする。メッセージは非常に良いが、ただ付け加えられた家庭の描写がいかにもな感じの不自然さ全開だったので、そこはフィクションだからもう少し改善できたのに、と思った。
θさん [DVD(邦画)] 9点(2014-04-11 01:03:29)(良:2票)
70.《ネタバレ》  いやはや、恐ろしい人間がいたもんだ・・・。
 『実話をもとにしたフィクション・・・』のナレーションで始まる本作。
 どれくらい実際の事件が反映されているのか気になるところ。まあ、フィクションって自分から言っているくらいだし、ほとんどフィクションなんだろーなーって思っていたのですが・・・。
 ほぼ全部ノンフィクションやんけ~。まじっすか~。名前と顔が違うだけ。あとは記者の家族エピソード、これがおそらくフィクションなんじゃないかなぁ・・・。
 それにしてもこの映画、時系列の使い方が上手です。回想シーンがずっと続いていたところに、突如リリー・フランキーを撮る山田孝之が映し出される。この辺りうまいなぁ。実に自然に過去から現在へと戻ってきます。
 さて、他の方も言及されているように、私もこの藤井記者がどーにも好きになれません。いくらなんでも妻をないがしろにしすぎ。そっちが気になってしまって、序盤と終盤は藤井家のごたごたが邪魔で仕方なかった。真相を暴く記者の姿だけ映してくれたらよかったのに。それに山田孝之は声を張り上げる演技があまり上手じゃない。感情を押し殺した演技はうまいんですけどね。
 でも終盤、法廷で『生きる喜びなんか知るな』って須藤にキレるシーンは良かったです。ただあんたにそんなこと言う資格はないけどね。
たきたてさん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2023-05-09 15:12:59)(良:1票)
69.胸糞悪いんですよ本当に。やってることが極悪過ぎるから。
この作品の悪党は酒飲まして殺す、覚醒剤大量に打って殺して火を付ける、人を生き埋めにする等、金のためにやりたい放題です。そこいらのギャング映画より胸糞悪いんです。
でもこれらは本当にあった事件で、ちゃんと胸糞悪いということは、それだけリアルに事件を感じられているということだと思います。
これは人間の中に潜む残虐性を執拗に描いた傑作です。我々の生活しているこの世界にはこんな凶悪な人間がいること、そして、我々の中にも凶悪な人格が存在し、環境次第では誰でもそうなり得ることを認識させてくれます。とても怖い映画です。
Fukkyさん [インターネット(邦画)] 8点(2022-05-06 12:59:21)(良:1票)
68.《ネタバレ》 最近は近しい人の影響で邦画を見ることが多くなっています。その中でもジャンルはやはり自分の好みのものを選んでしまうのですが。

今回選んだのは『凶悪』。鑑賞してみるとタイトル通りの、さながら『アウトレイジ』的な場面から話がスタート。ずっとそんな感じでヤクザやチンピラの抗争的な話を見ることになるのかなと思いきや、物語は大きく、週刊誌記者の藤井(=山田孝之さん)と暴力団幹部の須藤(=ピエール瀧さん)の二つのストーリーに分かれていくことになります。藤井は取材を通して刑事さながらに事件の真相に迫っていき、その中で明らかになっていった事実をプレイバックのように須藤と木村(=リリーフランキーさん)中心に描いていく流れのストーリー。

藤井は取材の中でお金が原因で家族からも蔑ろにされる犠牲者たちの話をたくさん聞くことになります。「親からもらった遺産を食い潰してるだけの老人がいっぱいいる。そいつらを殺すだけで、金が溢れてくる。まるで油田だよ。」とはリリーフランキー扮する木村孝夫の台詞の一部。そんな事件の真相を暴き、彼らに罰を与える使命感に燃える傍らでその使命感に蔑ろにされる藤井の家族。気がつけば藤井の家族も重荷である認知症の母取り除きたい、消えてほしいと願う、須藤と木村の被害者たちのような家族になっていました。離婚届にはやはり判を押したのでしょうか。真相はわかりませんが、元の鞘に収まったんだと祈りたい。自分にとっての大事な人を再確認し見つめ直すこと、あと藤井の過度な仕事への傾倒を見て、ワークライフバランスについて考えるきっかけになりました『笑)少しカタい映画かもしれませんが、実際に起こったこととして身近に捉えることが重要と感じました。
TANTOさん [インターネット(邦画)] 6点(2021-04-23 06:45:08)(良:1票)
67.《ネタバレ》 原作未読。読みたくなります。誰も知らない三つの殺人。上申書殺人事件を基にしたフィクション。冒頭のケンちゃんや日野、五十嵐の理不尽な死は主に映画版オリジナルの創作のようだ。時系列が行ったり来たりしていて、二回目三回目の視聴で全体像が繋がりました。この創作の殺人三件を冒頭に置くことによって、より告発者須藤の残虐性を念押ししたかったのだろう。実在の「先生」はこの作品のリリーよりもっとサイコパスで、クソらしい。リリーもかなりヤバいですが。つまり実在の事件と比較して須藤はより凶悪に、「先生」はマイルドに(あれで)アレンジされているらしいです。だとすると、私は原作の方に興味が湧きます。この映画版においての拾い物は、須藤の内縁の妻役、松岡依都美。この人の演技がとてもいい。
ちゃかさん [インターネット(邦画)] 6点(2018-06-22 10:06:05)(良:1票)
66.《ネタバレ》 販促ポスターを見て、山田孝之が凶悪なのかなって思っちゃった訳ですよ。予備知識なしに視聴して、なるほどと。一見紳士的な先生だがとんでもなく残虐、凶暴な須藤は逮捕後には宗教観に目覚めて(という振りなのか分からないが)おとなしくなり、正義感で動いているはずの主人公・藤井は人の死を強く望んでいる事を悟らされる。人の表裏というか二面性をテーマにしているのだろう。それはさておき嫁さんに対していくら何でも無関心過ぎでしょう。そっちばかりに不条理を感じてしまって痛々しかったよ池脇千鶴可哀想。リリーフランキーとピエール瀧の好演が素晴らしいのでそこは加点。朗らかな園長さん役でCMに出ておられるリリーさん、俳優に吹き替えにといずれもコミカルで楽しい役ばかりのピエール、両者の鬼気迫る演技が見所。
にしきのさん [インターネット(邦画)] 6点(2018-02-22 15:14:00)(良:1票)
65.《ネタバレ》 メイン三人のキャスティングはよかった。特にリリーさんの演技は凄かった。
仰天ニュースの豪華版みたいです。見応えがありました。
ジャーナリストの家庭のエピソードは不要。淡々と取材するだけのほうがテンポがよかったと思います。
バイオレンス耐性のないかたにはおすすめしません。胸が痛くなるシーンが多いです。
あと、池脇さんの泣き演技全然ダメです。正直 萎えました。
まっかさん [DVD(邦画)] 7点(2016-12-10 23:38:29)(良:1票)
64.《ネタバレ》 あの奥さんが言う通り、みんなこの事件を楽しんでるんだよね。最後の最後で、この映画を見ているお前も、「凶悪」なんだといわれている感じがした。そりゃ、自覚してるけど、こんな映画を作っているあんたに言われたくない。
木村一号さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2016-10-13 18:01:00)(笑:1票)
63.《ネタバレ》 悪い奴らはあんなものでしょう。凡人とは違う倫理観は見どころでした。でも本作のテーマは主人公の心情の推移だと思いました。
事件への食い付きから真相に対する探究心は真にジャーナリストらしい。でも、その熱意が中盤以降は危ういものに映ります。分かりやすく台詞になっていました。「このままでは、奴は無期懲役にしかならない」。つまり死刑を望んでいる訳です。ジャーナリストが「殺意」を持って報道に携わる。その是非を問う、すごく真面目な作品だったと思います。
プレーンな視点で事実を伝えるのが正しい報道の在り方なのでしょう。でも、そこに刺激が伴わなければ受容側の興味を惹けません。実際の報道にも何らかの方向性が付与されています。本作は極端な例ですが、偏った報道があって初めて生まれる反対意見もある訳で、そのせめぎ合いもジャーナリズムには必要だと思います。本作が見せた主人公の行き過ぎは、ジャーナリストの負の側面を見せたことに意義がありました。
ジャーナリズムの質を問う内容に家庭問題まで絡めたのは蛇足だったかも、ですね。
アンドレ・タカシさん [CS・衛星(邦画)] 7点(2016-09-25 14:24:52)(良:1票)
62.《ネタバレ》 事実に基づく系は苦手なのですが犯罪物は好みなので鑑賞。現場はもっと凄惨だったのだと思います。こういう描写は韓国映画の方が規制が低いのか上手いですよね。なので見比べると邦画はやはり物足りなさが有りました。しかし配役が良かった。リリーさんの飄々とした雰囲気が怖いほど先生にぴったりだった。瀧さんも根が弱いが身勝手なヤクザを上手に演じてた。ストーリー展開的には記者の家庭環境はあんなに多く時間を割かなくても良かったと思う。エンディングは久々の王道な終わり方で少々冷めてしまった。私的に残念。あと、出ていた子役達の今後の影響が心配。
movie海馬さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2016-04-07 19:50:01)(良:1票)
61.《ネタバレ》  見事な演出と編集で凡作にしてしまった作品。
 題名も取り扱っている内容も悪くないし、演じている役者さんもとてもよいし、ノンフィクションの部分の正確さも良いのだが。ご丁寧にも「凶悪とは何か」というテーマのために、記者の山田君のご家庭の破たんまでいれてしまうと冷めてしまうというもの。記者は狂言回し的な存在に徹して、それでも記者を通じて「凶悪な人間」や「凶悪に関わるとダメになっていく人間」や「凶悪でひと山当ててやろう」なんて人間を描くことは可能だったはず。わかりやすく記者や記者の奥さんや記者のお母さん(認知症)なんかを入れちゃうからかえって全体のフィクション感やドラマ感が高まっちゃってよくない。どう考えてもノンフィクション感の方が大切だろうと。無理に主題とか入れるから物語になっちゃうんだなと。すると題名からしても善と悪という構図がどうしてもでてきて…みたいな。ギラギラとどこまでもノンフィクションを忠実に描いただけでも十分傑作になるんではないのかな?
 よくできたNHKのドラマみたいに、オブラートに包まれたような凶悪になんの魅力があるのか。何もかもオール80点の映画。だから8点。
 こういう映画は構造なんかで勝負しちゃダメだという見本。ところどころ30点でもいいが、どこかに120点を「ぶっこむ」映画じゃないと。
JFさん [DVD(邦画)] 8点(2015-05-29 11:20:22)(良:1票)
60.《ネタバレ》 世の中には自分の罪を棚に上げて他人の罪を弾劾する人間が多すぎる、それは凶悪なピエールさんであり、あの偽善者の記者であり、そして私たち観客なのです。先生が記者に対し、俺をもっとも殺したがっているのはお前だ、と指摘するシーンは、お前=観客を暗示させているのだと思います。なぜ人は、人を裁きたがるのか?という視点から映画を解説します。凶悪なピエールさんと、凶悪な先生の罪よりも、むしろ偽善者の記者の罪が目に付く。母親を見捨てないというパフォーマンスをすることにより、悪人になりたくないと思っている記者の偽善、その偽善のせいで犠牲になる妻。決して自分の手を汚さないヤツだ。そう思わせておいて、しかし、じつは君たち観客も同じだろ?という問いかけがある。我々人間は、自分の罪には鈍感なくせに、他人の罪には敏感である。これこそあの先生が、記者に指摘した人間の本質なのです。キリスト教徒は神を愛する時間よりも、悪魔を憎む時間のほうが長い。同様に偽善を抱える記者は、汚れなき自分を愛し、汚れきった人間を憎む。ヤクザですら、俺は人殺しだが、じつは寅さんのように情にもろいタイプだよな~なんて善人きどりでほざいてやがる。アーメン。偽善者の記者が、偽善者の先生を裁こうとし、そんな光景をみて、偽善者の君たち観客が登場人物を断罪する。罪の自覚が無い人間に「赦し」の感情は芽生えません。だから嫌いな映画には、精一杯ブッコミをいれてください。自分のことを公平な人間だと思わないでください。常に自分は欠点のあるレビューワーだと自覚してください。そうすれば愚かなレビューを憎む感情は和らぐのです。やさしくなれるのです。この映画で監督が言いたいことは己の罪に対する自覚なのです。
花守湖さん [DVD(邦画)] 7点(2014-08-08 22:10:16)(良:1票)
59.《ネタバレ》 ガスパッチョCMでお茶目な信長が印象的だったピエール瀧がマジにヤバい人の役柄を演じていて見応えありました。リリーさんもスゴイ! この2人の演技が映画を面白くしています。対して山田孝之はまるで印象薄いです。これはシナリオの問題なんでしょうか? 藤井が奥さんのSOSに対して、どうしてあそこまで冷たくいられるのか、奥さんの精神的負担を放置しても木村の死刑を望むこだわりが何なのか、実母の痴呆を描いていてもよく見えません。「正義」なんてことで片付けたら、奥さん放ったらかしの藤井は矛盾過ぎる。そんなピンぼけの藤井像にラストで木村が指差してもサッパリ効かないオチでした。須藤がキリスト教に改宗するくだりも、もっとズルく憎々しく演出できそうで、勿体無く思いました。
だみおさん [DVD(邦画)] 6点(2014-07-16 18:28:54)(良:1票)
58.《ネタバレ》 週刊誌の記者でなくても、人であるならば、好奇心というか興味本位というか、他人の不幸をやじうま感覚で知りたがる。これは仕方ないことだ。山田の妻(俺たちの池脇)は、家庭を全く省みない山田に対し「あなた、楽しかったんでしょ?こんな狂った事件を追いかけるのが。こんな風に殺される人がいるんだー、こんなに悪い奴がいるんだーって。」のように図星をつく。このせりふは我々への断罪であるのだろうが、池脇の口からこれが出ると、山田の犯した悪の性質の方向が変わる。
池脇は介護にくったくたになり、いつからか手を上げるようにもなっていて、なのに仕事ばかりで介護の手伝いをしない山田に、さきほどのせりふと離婚届を突き出している。だから、池脇はあの最後通牒の時、先ほどのせりふよりも、この目の前の家庭を何ともしようとしていない山田を断罪する方が役として嵌る。

どう修正すればいいのかわからないが、もうひとひねりすることで、「凶悪な本性は、誰の中にも眠っているんだよ、それを自覚しろ」という主題が成功しただろう。そうすれば名作だった。

介護施設のあの職員(なんと、リリーフランキーたちに金になりそうな老人を斡旋していたのだ)が、警察を見て「やべえ」って逃げ出して、トラックにはねられてしまう(結果真実は闇の中)というのはよろしくない。例えばビルの屋上から身を投げたり、もう少し走れば陸橋から死ねる高さで飛び降りれただろうから、脚本段階でこっちにすべきだった。あれだとトラックの運転手がかわいそうだ。

no_the_warさん [DVD(邦画)] 7点(2014-04-06 23:13:57)(良:1票)
57.《ネタバレ》 設定とかシナリオとか、それ以前の問題!
最初に流れる宣伝映画のスキップができない!
どう考えてもユーザーをナメてるとしか思えないクソ配給会社!
2~3本ぐらいなら我慢しようと思ったが、あまりの長さに見る気を失くした!
見る価値はマイナス1億!
ムカついたからディスクも破壊した!
チャマニさん [DVD(邦画)] 0点(2024-10-24 04:53:02)
56.《ネタバレ》  
恐ろしい映画だったと思う。

自分はこの映画に登場する“彼ら”ではなく、“彼ら”に関わった人間でもないという無意識の立ち位置による屈折した「愉悦」を知らぬ間に敷き詰め、この映画に「娯楽」を感じている自分の意識に気付いたとき、この映画の「凶悪」というタイトルの真意を垣間見た気がし、ゾッとした。

描かれる事件と犯罪が「真実」であることを念頭において観ているわけだから、映し出される凄惨な描写に対して「痛み」や「悲しみ」を感じなければならないという“建前”を意識しているにも関わらず、ピエール瀧(=須藤)の爆発的な残虐性に何故か高揚し、リリー・フランキー(=先生)のおぞましいまでの狂気に引き込まれてしまう。
実在の被害者に対して後ろめたい気持ちを多分に感じつつも、描きつけられる「凶悪」が次に何を見せるのか、どこか期待をしてしまい、その都度「不謹慎」という言葉をぬぐい去ることに苦労した。

「あなた こんな狂った事件追っかけて 楽しかったんでしょう?」

終盤、主人公の妻のこの台詞により自分の中で見え隠れしていた感情が突如丸裸にされる。
見て見ぬ振りをしていた自分自身の深層心理がふいに明るみに放り出されたような気がして、主人公と同様に「やめろ!」と叫びたくなった。

「映画」である以上、いくらノンフィクションが原作だとはいえ、脚色されている部分は大いにあるだろう。
ピエール瀧が度々発する「ぶっこんじゃお」というあまりに印象的な台詞や、リリー・フランキーの脱帽するしかない「怪演」など、映画的な面白さが加味されている要素は多く、それはまさにこの作品が映画として優れている点でもあると思う。
俳優たちの表現はことごとく素晴らしい。一つ一つのシーンも綿密な計算と明確な意思をもって構築されており、見事だったと思う。

ただ敢えて苦言を呈するならば、もう少し「編集」の巧さがあれば、同様の深いテーマを孕んだまま、もっと“面白い”映画に仕上がっていたようにも思う。
もし同じ題材で、というかこの監督と俳優が撮った同じ映像素材を、世界的な映画巧者が編集したならば、例えばアカデミー賞をも席巻するような名実ともに質の高い映画になりそうな気さえする。

ま、そんなのは一映画ファンの身勝手な妄想であり、実際どうでもいいことだ。
こういう本当の意味で骨太な映画が、もっと沢山国内で製作されることを願いたい。

世の中に「善」はない。

「善になろうとする者」がいるだけだ。


.
映画の奴隷さん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2023-05-30 16:35:27)
55.脚本がしっかりしていて飽きずに最後まで楽しむことが出来た。カメラも落ち着いた構図でしっかりと撮っていて、画面の色調も素晴らしい。気になったのはピエール瀧の演技、本当に人を殺しそうな怖さが感じられなかった。どこか人の好いチンピラに見えてしまい、次々と人を殺していく狂気や怖さが無かったのが残念。山田孝之とリリーフランキーの演技はツボにはまって良い感じだった。私の一番好きなタイプの映画だけに、もう少し何かカタルシスのようなものが無いといまいちに思えてしまう。オチが弱かったのもカタルシスが得られなかった原因だと思う。
ただ、ジジ・ぶぅをはじめ、村岡希美、吉村実子他、脇を固める俳優陣の演技は素晴らしかった、作品に真に迫るリアリティーを与えていたと思う。
ブッキングパパさん [インターネット(邦画)] 6点(2023-05-21 22:24:49)
54.《ネタバレ》 背筋も凍る実話です。これがフィクションなら、まったく評価できない内容です。
およそ信じられないような凶悪犯罪の狂気を扱う話なので、正直なところ、観るためには相当な覚悟が必要ではありますが、姑の痴呆というドラマを織り込むことによって、『冷たい熱帯魚』よりは、ほんの少しハードルが低くなっていると思います。

終盤、妻の洋子(池脇千鶴)が藤井(山田孝之)に言い放ついくつかの台詞-----
「楽しかったんでしょ?こんな狂った事件必死に追っかけて。あなたは楽しくて楽しくて仕方なかったのよ。」
「悔しいけどわたしも楽しかったの。怖いもの見たさで。世の中こんな事件あるんだ。こんな怖い人がいるんだ。こんな殺され方する・・・」
「わたし、ずいぶん前からお義母さんのこと殴ってる。もう罪悪感も感じなくなっちゃった。お義母さんが死ぬのをどこかで待ってるの。自分だけはそんな人間じゃない、って思ってたんだけどね。」
これらが、この凶悪な事件と絶妙にリンクしていて、脚本の妙味を感じました。
めたもんさん [インターネット(邦画)] 6点(2022-01-11 16:55:26)
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【点数情報】

Review人数 73人
平均点数 6.44点
011.37%
100.00%
211.37%
311.37%
456.85%
5810.96%
61824.66%
72027.40%
81520.55%
934.11%
1011.37%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.00点 Review3人
2 ストーリー評価 7.25点 Review4人
3 鑑賞後の後味 5.80点 Review5人
4 音楽評価 5.50点 Review2人
5 感泣評価 5.00点 Review2人
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