悪の法則のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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悪の法則

[アクノホウソク]
The Counselor
2013年上映時間:111分
平均点:5.55 / 10(Review 38人) (点数分布表示)
公開開始日(2013-11-15)
サスペンス犯罪ものエロティック
新規登録(2013-10-02)【マーク・ハント】さん
タイトル情報更新(2023-03-15)【envy】さん
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監督リドリー・スコット
キャストマイケル・ファスベンダー(男優)カウンセラー
ペネロペ・クルス(女優)ローラ
キャメロン・ディアス(女優)マルキナ
ハビエル・バルデム(男優)ライナー
ブラッド・ピット(男優)ウェストリー
ジョン・レグイザモ(男優)ランディ(ノンクレジット)
ロージー・ペレス(女優)ルース
ゴラン・ヴィシュニック(男優)マイケル
ブルーノ・ガンツ(男優)宝石商
ルーベン・ブラデズ(男優)ヘフェ
ドナ・エアー(女優)運転手
エドガー・ラミレス(男優)神父
トビー・ケベル(男優)トニー
リチャード・ブレイク〔男優〕(男優)2人目の男
フェルナンド・カヨ(男優)アボカド・エルナンデス
ディーン・ノリス(男優)バイヤー
ナタリー・ドーマー(女優)ブロンド女
東地宏樹カウンセラー(日本語吹き替え版)
本名陽子ローラ(日本語吹き替え版)
田中敦子〔声優〕マルキナ(日本語吹き替え版)
江原正士ライナー(日本語吹き替え版)
山寺宏一ウェストリー(日本語吹き替え版)
清川元夢宝石商(日本語吹き替え版)
宝亀克寿ヘフェ(日本語吹き替え版)
浦山迅(日本語吹き替え版)
相沢まさき(日本語吹き替え版)
脚本コーマック・マッカーシー
音楽ダニエル・ペンバートン
撮影ダリウス・ウォルスキー〔撮影〕
製作リドリー・スコット
ニック・ウェクスラー〔製作〕
製作総指揮コーマック・マッカーシー
制作ACクリエイト(日本語版制作)
配給20世紀フォックス
美術アーサー・マックス(プロダクション・デザイン)
衣装ジャンティ・イェーツ
編集ピエトロ・スカリア
あらすじ
「カウンセラー」と呼ばれる若く有能な弁護士(マイケル・ファスベンダー)がいた。恋人のローラ(ペネロペ・クルス)に内緒で婚約指輪を購入するため、彼は実業家・ライナー(ハビエル・バルデム)から勧められた麻薬ビジネスに手を染める。麻薬ブローカーのウェストリー(ブラッド・ピット)に警告されながらも本気にせず、彼は取り返しのつかない結末を迎える。
ネタバレは禁止していませんので
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12
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38.《ネタバレ》 評価が低いので驚きました。絶妙なバランスの大人向けクライムサスペンスアクション。妙なこじつけや予定調和もなし、CGアクションも無いのに予想外によくまとまったストーリー展開は素晴らしいの一言でした。監督と脚本、キャストが高次元で融合していると感じます。

この作品を一言で表現するならば「不条理」でしょうか。淡々と静かに、、野うさぎであるカウンセラーが捕食(破滅)されてゆきますが、描かれていない部分をあれこれ詮索して「意味がわからない」というのはナンセンスです。あえて詮索しないのが正解であり、映像特典では監督自身も人物像の背景や人間形成上何があったのかは知らないなどと発言していますから、一つのシーンを見て前後を想像するのが正しい見方です。
そもそも、カウンセラーは一流なので自分に自信があり、何度も遭遇する説教じみた会話も軽くスルーする描写は反面教師の典型例です。そして予想通り、気が付いた時には「時すでに遅し」というシンプルな流れがリアル過ぎて本当に素晴らしかった。また、随所で見られる無駄話は一見無駄なようですが、相手の価値観を知る為の腹の探り合いという意味では非常に重要です。根本的にタランティーノのそれとは異なり、ブラピとの緊張感あるやり取りなどは生々しく色んな意味でゾクゾクします。

これほど贅沢な配役と救いのないマジ結末な映画も珍しいです。ある程度自分でイメージを膨らませ、様々な状況を脳内で想像できる方でしたら高評価ではないかと思います。強いてマイナス点を書くならば、ほぼ全ての演者が哲学を長々しゃべるのには少々違和感を覚えました。何名かサッパリした人物を混ぜておけばよりリアルだったと思うのでその点は少し残念でした。 あと、拡大版と劇場版を比較しましたが、追加された人体欠損表現やバイカーのしゃべりなんかはなくても良かったと思います。しかしトラックのドアを直すシーンだけは拡大版のほうがずっと判り易かったですね。

一見さんお断りの雰囲気も含めて、リドリー・スコットの切れまくった演出が最高に素晴らしい作品でした。
アラジン2014さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2014-08-13 18:57:05)(良:2票)
37.《ネタバレ》 主人公の恋人ローラに、マルキナが「その指輪の値段、教えて欲しい?」と聞いたとき、ローラは値段を聞くのを断ったけど、あそこで聞けてたら、その後の運命は変わったかもなぁと思いました。普通の弁護士が買えないほどの値段の指輪、そんなもの買うにはどんな悪事に手を染めているのだ~と思ったら、怖くて逃げたかもしれない。
ストーリーは、大人向けの「まんが日本昔ばなし」のようでした。
最初から最後までドキドキして観ることができたので8点です。
たぬき野郎さん [ブルーレイ(吹替)] 8点(2017-06-30 00:01:00)(良:1票)
36.《ネタバレ》 ああーやだ。やな話だよーこれは。一点の心地よさも見出せないので、体調のすぐれない人には絶対すすめられません。
綿々と語られるのは、慈悲だとか情だとか、そういう人間の正なる部分が一切無い世界が存在するのだよということ。それはウサギを捕食するチーターの如く、命を葬ることに何の躊躇も無いということで、ああそんなこと知りたくねえっ。こってりと交わされる勿体つけた会話にペネロペ救出の希望など全然なくて、こちらの眉は八の字になりっぱなしだ。世にもおぞましいメキシコマフィアの闇世界。
でもさ、人は、少なくともワタシは因果応報ってものが好きなんだ。マルキナにも回り回って何らかの落とし前が巡ってくる、そんな続きがあってほしいような。せめて。
tottokoさん [DVD(字幕)] 6点(2014-09-22 23:57:59)(笑:1票)
35.《ネタバレ》 世の中には色々な世界が存在している、、、のはみんな知っていることだけど、知らない方が、あるいは関わらない方が良い世界があることはすぐに忘れてしまう。血迷って悪事に手を染めた男の悲惨な末路を描いた映画で、エキサイトするわけではないが、なかなか良い映画だった。
lalalaさん [DVD(字幕)] 5点(2014-09-21 18:42:30)(良:1票)
34.《ネタバレ》 麻薬組織と繋がりのある企業の顧問弁護士として、今まさに引き返せない悪の道へと手を染めようとしている男。何も知らない美しい彼の妻。金と女のためならどんな手段でも平気で行う強欲な経営者。淫乱で謎の多い怪しげなその彼女。そして、何もかも分かったように斜に構え全てを冷笑的に見つめる男…。果てしない欲望と愚かで醜い性欲を抱えたそんな彼らが互いに騙し騙され破滅へと向かってゆく姿をシニカルに描き出すピカレスクロマン。「エイリアン」や「ブレードランナー」といったSF映画の名作を数多く残してきたものの、「グラディエーター」辺りから世間での高評価とは裏腹に僕の中では確かにその映像の美しさやスケールの壮大さなどは認めるものの、いまいち心に響くものが乏しい作品ばかり撮ってきたリドリー・スコット監督。現代アメリカ文学の重鎮マッカーシーの原作を映画化したという今作も、やはり哲学的で難解な作品でありました。でも、この華がありながらちゃんと実力も兼ね備えた豪華な役者陣が織り成すミステリアスなストーリーと、 淫猥な雰囲気がこってり濃厚に漂うこのダークな世界観はけっこう良かったかも。特に、フェラーリのフロントガラスに無毛つるつるのあそこをねっとりぐっちょり擦り付けて絶頂を迎えちゃうキャメロン・ディアスの文字通りのカーセックスシーンはめちゃくちゃエロかったっすね~。久し振りに、映画を観ながら僕の股間がエキサイトしちゃいました(笑)。まあ、見事なまでに最低の人間ばかりが登場する、胸糞悪~い後味最悪な映画ではあったけど(最後に送り付けられるあのDVDの中身なんか、想像しただけで吐きそうやし笑)、全ての人間の根源には必ず悪があるという事実を冷徹に見つめながらもどこかコミカルでエネルギッシュに描いたこの作品、うん、けっこう見応えあったっす。リドリー・スコット、ちょっぴり見直したよ!
かたゆきさん [DVD(字幕)] 7点(2014-07-01 08:40:18)(良:1票)
33.《ネタバレ》 COUNSELOR=相談役、顧問=ミケル・ファスベンダー、が主題なのか;邦題「悪の法則」を話していたキャベロン・ディアスがメインなのか。いずれも一度悪の道に手を染めたら二度と這い上がれないと言っているのか。愛する人のために始めた稼業とはいえ、自業自得でもある。えげつないことがたくさん、思い出すのも不快な映画です。
HRM36さん [DVD(字幕)] 4点(2014-05-12 13:45:07)(良:1票)
32.豪華俳優陣を集めたにも関わらず興行的に振るわず、批評面では『G.I.ジェーン』や『レジェンド/光と闇の伝説』をも下回ってリドリー・スコット史上最低評価を受けた本作ですが、酷評を受けるほどの内容ではなかったと思います。事件の全貌をあえて見せないという構成や哲学的なセリフの応酬、エロでグロな内容なのに、本当に凄惨な部分はごまかしてしまうというトリッキーな演出など、全体を通して見るべき点は多かったのです。豪華俳優陣によるパフォーマンスのレベルは総じて高く、スコット印の美しい撮影も健在であり、映画としては非常に充実していました。現状では酷い評価となっていますが、10年も経てば巨匠による傑作のひとつとして数えられるだろうと思います。。。
ただし、映画として面白かったかと言われると、そこは少々厳しかったです。観客を傍観者にする映画なのでハラハラさせられるような展開に乏しく、娯楽性の点で大きな問題を抱えていました。上記の通り、本作については今評価しておかなければ数年後に恥をかく映画だとは思いますが、現状では面白くないと感じたため、6点がせいぜいかなと思います。何度か鑑賞を重ねるうちに、その印象も変わっていきそうな気がしますが。
ザ・チャンバラさん [ブルーレイ(吹替)] 6点(2014-04-03 01:07:16)(良:1票)
31.《ネタバレ》 ラストシーン、或る人物が「お腹がすいた」と一言発し、暗転、この映画は終焉する。
その瞳は、愉悦を覚えているようにも見えるし、欲望を満たすことを続けなければこの「世界」では生き続けられないということを、この映画に登場する誰よりも“正確”に理解している人間故の深く暗い悲哀に溢れているようにも見えた。

非常に哲学的で、極めて奇妙な映画であることは間違いない。
豪華キャスト勢揃いによる麻薬取引を軸にした“犯罪エンターテイメント”と高を括って観てしまうと、虚をつかれることは避けられないだろう。

マイケル・ファスベンダー演じる主人公が、終始ただ「カウンセラー(弁護士)」と呼称されることに表れている通り、この映画ではキャラクターのバックグラウンドに踏み込むような描写は一切無い。
それどころか、彼らがどういう経緯と理由で「悪」に手を染めているのかということも明確にならないし、描き出されるストーリーの“顛末”においても、「誰がどうしたからどうなった」という、普通の娯楽映画であれば当然ある筈の「事の真相」も抜け落ちている。

もちろんそれは描き手の明確な意図によるものであり、この映画で真に描き出したいことが、表面的にショッキングなバイオレンス描写やセックス描写などではなく、善悪の境界すらも超越した、彼らが生きる「世界」の本質的な「仕組み」の話であることに他ならない。

それはまさに、野うさぎを本能的に追うチーターの姿と何ら変わりない。

「捕食者」と「被食者」というたった二つの立場しか許されないピラミッドの縮図と、その真理だ。
そこには慈悲もなければ、憎しみすらない。ただどちらかが生きるために、どちらかが死ぬという極めてシンプルな「法則」があるだけ。

そのあまりに意欲的で野心的な映画世界を、「最新作」として送り出す大巨星リドリー・スコットの映画監督しての意識の“若々しさ”と“雄々しさ”には、毎度のことながら感服せずにはいられない。
映画作品としてのクオリティーを鑑みればそんじょそこらの映画監督が撮れる作品でないことは明らかだが、御歳76歳の大巨匠が描き出すような類いの作品ではないこともまた然り。
「衰え知らず」とは、まさにこの人のためにある言葉だと言っていい。

とても誤解されやすいタイプの映画だとは思うが、だからこそ、含まれた「真意」に対しての戦慄は殊更に際立つ。
鉄腕麗人さん [映画館(字幕)] 9点(2013-12-08 22:47:11)(良:1票)
30.《ネタバレ》  その「黒幕」が統べるように「七つの大罪」の一つ一つをまとったような存在として頂点に君臨し、それはまるで悪魔の具象化とも言えます。その影響や誘惑を受けた者がそれぞれに様々な形で罪を犯し、それが各々の破滅に繋がってゆく、そしてそれを予言するかのような象徴的なセリフの数々。そう考えるとこの映画、どうも宗教的な説教クサいシロモノって感じがします。

 この世に悪魔ってモノが存在するのならば、それはやはり人の中から生まれるものですよ、発端はごく小さな選択であっても誤りは誤りであって、過程にいかなる分岐を持とうとも、到達する結果は最初の誤りが導くものですよ、自らの欲望は他者の欲望と決して調和する事なく果てなき諍いを生むのですよ、まあ、そんな映画。

 作品世界はなんていうかハリウッド版『もう誰も愛さない』、あるいはセリフいっぱい版北野映画、もしくは残虐版テレンス・マリック映画みたいなもんで。
 描かれる事自体はごくごく単純で特に難解ってわけではなくて、元々あまり物語のディティールなんかは伝えようとしていないように思います。

 ひたすら鬱々とした展開が続くのですが、その魔性とか残虐性とかに何らかの抗い難い魅力があるのか?というとそうでもなくて、ただひたすらにグロテスクな生(或いは性)と死とがあるばかりで、それはリドリー・スコットって人のカラーなのでしょうかねぇ。『ハンニバル』や『ブラックホーク・ダウン』『プロメテウス』にも通じる、即物的描写が生み出す露悪趣味っぷりに辟易。主人公が受け取ったDVDの中身のように「見せない事で伝える残虐さ」もありはしますが、ならばそのスタイルを通しても良かったんじゃないかと。せっかく長々とセリフで説明しているのですから、それをわざわざ具体的に映像でトレースするのは悪趣味としか思えません。

 大量の象徴的&説明的セリフに埋められる事によって逆に映画に生まれる隙間、その密度の無さを「独特の空気感」とか表現するよりは(元々そこまでのセンスを最近のリドリーが持っている気はしないんですよね)、なんか退屈なモン見たって言っちゃった方が私としては自分に正直かな。

 見終わって「これからの人生、決して長くはないのだからなるべくならもうこういう映画は見たくないなぁ」としみじみ思わせてくれる作品ではありました。
あにやん‍🌈さん [映画館(字幕)] 4点(2013-11-18 23:04:47)(良:1票)
29.たいしたセリフも退屈で話が広がらん。
TERUさん [ブルーレイ(字幕)] 1点(2023-12-17 21:27:40)
28.構成が複雑でとにかく分かり難い。でも、組織に狙われた時の絶望感が良く表されていて、機会があればもう一度観てみたい。
クロさん [地上波(吹替)] 5点(2021-07-20 15:52:09)
27.冒頭から全く理解できず。
主演が誰かもわからないまま。
点と点が結びついて最後は理解できるようになるのかと思ったが、
結局何も理解できないまま終わってしまった。
これって脚本に問題があるのか監督に問題があるのか。
公開時も賛否両論だったそうだが、私はもうリドリースコットは信用しないことにします。
クロエさん [DVD(字幕)] 1点(2020-01-20 11:47:38)
26.《ネタバレ》 原作が『ノー・カントリー』のコーマック・マッカーシー、脚色して製作総指揮まで買って出ているので、どうりで雰囲気が似ているわけです、登場人物が妙に哲学的な語りをするとか、ハビエル・バルデムも出てますしね。単純に言うとよくある悪女ものピカレスクなんですが、その悪女キャメロン・ディアスが脱ぎこそないが彼女史上最強のエロっぷりを見せてくれます。ハビエル・バルデムがその魔性にメロメロにされるわけですが、彼の「アレはナマズだった…」は迷セリフでございます。 原作者自身が脚色した映画は迷走するケースが多いものですが、本作もその傾向が濃厚な気がします。進行している事件が判りにくいというのがこのお話しの欠点かもしれません。繰り返される殺しは麻薬カルテルとキャメロン・ディアスが手配した殺し屋が下手人なわけですが、カルテルがなぜマイケル・ファスベンダーを殺さなかったのか理解できないところです。彼はあの絶望のラストの後で殺される運命で、映画ではあえてそこまで描かなかったという解釈もできなくはないですけどね。このような撮り方は今までのリドリー・スコット流とはちょっと逸脱している感じで、これもコーマック・マッカーシーの影響力なのかもしれません。 しかしあの“首チョンパ・ライダー殺し”は観ていてビビりました、バイク乗りの人にはトラウマになるでしょうね。
S&Sさん [CS・衛星(字幕)] 6点(2019-05-21 22:48:28)
25.《ネタバレ》 あまりに面白くて立て続けに3回観た。まるで、1枚の画像がところどころ虫食い状態になっていて、見えない部分は「想像して足してくれ」と挑発しているようだ。

『運命のボタン』という作品を思い出す。ボタンを押せば、見知らぬ誰かが1人死ぬが100万ドルが手に入る、という究極の選択を迫られる話。カウンセラー役に当たるヒロインを、偶然にもキャメロンが演じている。本作では、カウンセラーが「一口乗る」と意思表示しただけで、つまり捕らぬ狸の皮算用、まだ何一つ始めもしないうちから破滅するというカッコ悪さ(彼が新婚生活を楽しむためには、予算内のダイヤを購入するだけでよかった)。どちらの作品も、選択と結果が大きくものをいうタイプだ。

麻薬ビジネスでのし上がり、ライバルはことごとく潰してきたと豪語するライナーが、恋人の開脚ごときで動揺するなど実にヤワい。女性の股間から赤子を取り上げ、悪露を処理するカタギの産科医の方が、よほど肝が据わっていることになる。俗に、出産に立ち会った夫は、妻を女として見られなくなることがあると聞くが、「婦人科みたいでセクシーじゃなかった」とぼやくライナーも、まずその口だろう。マルキナ役が妻のペネロペでなかったのは、バビエルのためにラッキーだった。

ボリートを使ったのは、マルキナの配下。つまりライナーは、恋人から寝物語にボリートの話を聞いた可能性が高い。マルキナは、「私を甘くみるな」と電話で誰かを挑発するが、その相手はラストで会食を共にする投資アドバイザーのマイケル? 彼女の身を案じてあれこれおせっかいを焼き、逆に不興を買ったのかもしれない。組織の気配だけでビビりぬいている男3人に比べると、最新式の武器を備え、陰から積極的に組織を翻弄する彼女は、悪党の格が圧倒的に違う。ただ、ブツは結局組織に出し抜かれる。彼女は代価としてウェストリーの資産を奪うが、組織にとってはウェストリーの災難など、痛くも痒くもない。一矢報いぬまま米国やメキシコを捨て、香港に拠点を移すというのは彼女の敗走に見えなくもないので、ここが話の流れ上ちょっと弱い。またマルキナは、雇い人として唯一報酬を受け取らなかった女に、「(あなたは)あてになる」と矛盾した言葉をかけている。国を出る前に女を消すぐらいのことはするだろう。

街の有力者に諭され、絶望して戸外をさまようカウンセラー。そのとき、街の住人たちが犯罪率の多さを嘆き、世に訴える様子が背景に映り込む。ライナー一味の麻薬の悪事などが、そもそも住人たちの生活を脅かす起因であることを考えると、彼らの窮地に同情など必要ないことをこの短いシーンで気づかされる。

2頭のチーターは、マルキナが絶賛するほど野生美は持ち合わせていない。人間に飼われ、時に獲物を追う様子は、まるで家猫が鼠を追うように幼稚だ。何の威嚇もせず、飼い主(ライナー)の死を憐れむ様子まで見せ、雌は呆気なく死ぬ。とにかく弱々しい。会食のシーンで、マルキナが滔々と語るチーターの礼賛は的外れだ。むしろ、彼女の手の内で振り回された男女4人が、見えない首輪をつけたペットに見える。生き残ってアリゾナにいる雄チーターは、唯一の生存者で妻を亡くしたカウンセラーを暗示しているようだ。これらのちぐはぐさが、上映中最も気になった。

ラストの会食で、投資アドバイザーのマイケルに、「手を引いて。感謝して」と命じるマルキナの意図は、「香港マフィアを相手に大暴れするから、あなたは手を引いておかないと危ないわよ。ヤケドしなくてすむんだから、この提案に感謝して」というところか。「臆病者ほど残酷」というのは香港マフィアを指し、「これから始まる殺し合いは凄惨を極める」というのは、たった1人(バイカー)を殺しただけで悪が悪を駆逐する流れを作り出した手腕を、彼女はまた現地でも振るう気でいるのだろう。マイケルはそんな彼女の名が敵に知れることを案じている。このシーンを見ても、男の方がまだウェットな部分を持っており、マルキナには、男がアドバイザー兼セックスフレンドとして「有能だから」手放したくないというドライさがありそうだ。世界で2番目に危険な場所(メキシコの都市、シウダー・ファレス)が舞台の話として、悪の狂気がてんこもりの作品だった。
tonyさん [DVD(字幕)] 9点(2017-07-31 01:05:36)
24.《ネタバレ》 この映画の冒頭でマルキナが、飼っているチーターがウサギを狩る所を見て喜んでいるシーンがありますが、それこそがこの作品を象徴している様に思えました。
そしてこの映画の中でのハンターは卸元で、そのハンティングを遠くから見ていたのがマルキナ自身でした、という事なのでしょう。
それにしても解りにくい映画ですな。
今回で3回目の視聴でしたが、最初はストーリーを追うのに精一杯でなんだかよく分からなく、二度目でやっと何が分からないのかがわかった。
そして今回でやっと内容が少しわかった感じです。
映画中セリフがやたらと多い割に肝心なところの説明がほとんどない。
例えば麻薬ビジネスというだけで具体的な内容、例えばカウンセラーの役割など全く描かれていない。
卸元という組織も実行役以外一切表に出てこない。
でもそれらはこの映画においては重要ではないんですね。かえってハンターである卸元という組織をはっきり描かなかった事でその恐怖は倍増しましたし。重要なのはそのセリフの方なんですな。
ラストで主人公のカウンセラーが助けを乞うメキシコの親分が言っていました。
岐路は既にいくつもあったはずだと。
確かに友人のライナーやブローカーのウェストリーも何度も極悪非道で血も涙もない危険な相手とのビジネスだと伝えるが、俺なら大丈夫だとカウンセラー自身が決めていた。
そのことを思い起こさせられ絶望のどん底に落とされるラストシーンは本当に怖かったです。
奥深さを感じさせられる映画であるとともに、一級品のサスペンスでもあり、これから何度でも見るであろう作品でした。
さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2017-06-08 00:32:54)
23.結局、内容を理解できず分からないまま終わってしまった。
字幕では書ききれない内容があるのかなとも思いつつ、観た後の率直な印象からはこの点を付けざるをえないです。
まいったさん [DVD(字幕)] 2点(2016-09-18 16:06:49)
22.年度末に一度観始めたのだが途中で寝てしまった。今度は寝ないように吹き替え版で見たが、やっぱりパッとしない映画だった。
そんなパッとしない映画ですが、コミカルな役が多いキャメロン・ディアスが悪女役を演じており、意外にハマっていた。
あきぴー@武蔵国さん [DVD(吹替)] 5点(2016-06-12 22:54:34)
21.《ネタバレ》 なんとも救いのない映画です。終始、説教されている気分だし、主人公はジリ貧で不幸まっしぐらだし、事態の好転がないので話が単調です。その上、前半の例え話のような会話が意味が分からず難解な上に、テンションはひたすら右肩下がりです。この映画、誰得なの?というのが正直な感想です。わざわざ電話の相手を説明するような無駄なカットも多かったし、なんかゲンナリでした。
Keytusさん [DVD(字幕)] 4点(2015-09-05 00:16:07)
20.《ネタバレ》 重要な部分を描かないのはここ最近のリドリー・スコット作品の特徴でしょうか。この映画でも組織に関して末端が描かれているだけで本体や中心的な人物は描かれません。それが効果を生んでいるかといえばはなはだ疑問。プロメテウスも同様。どうやら完全版的なものがあるようで、単に編集が下手なだけという気がしないでもあらず。
kirieさん [ブルーレイ(字幕)] 4点(2015-03-05 23:55:35)
19.《ネタバレ》 友達にはおススメしないかな。だって、とりたててストーリー的におもしろいってわけじゃないし、映像的にも目新しくはないし。でも、僕はなんでか、最後まで集中して観れました。悪に手を染めると、もっと凶悪な悪に食われてしまうって事をイソップや日本昔話みたいな寓話調に表現した感じだったです。詳しい背景を描かない部分が特に寓話っぽくて。前半の会話が後半、現実になっていくという構成だけど、損失と人質の価値観がまさに具現化された部分はゾッとした。主人公はたとえ生かされても、もはや人生に意味はないのだろう。だから、もはや殺す価値すらないのだろう。ブラピの殺され方が一番、嫌かも。
なにわ君さん [DVD(字幕)] 7点(2015-02-23 20:18:05)
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【点数情報】

Review人数 38人
平均点数 5.55点
000.00%
125.26%
225.26%
325.26%
4513.16%
5718.42%
6923.68%
7410.53%
825.26%
9410.53%
1012.63%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 8.00点 Review4人
2 ストーリー評価 7.00点 Review4人
3 鑑賞後の後味 7.66点 Review3人
4 音楽評価 8.50点 Review2人
5 感泣評価 8.50点 Review2人
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