65.相当久しぶりにジャッキー・チェンの主演アクション映画を観た。
2001年に「アクシデンタル・スパイ」を映画館に観に行って以来、新作旧作関わらず彼の映画を観ていなかったことに気づく。
実に10年以上も“ジャッキー離れ”してしまっていたことになる。
言わずもがな、ジャッキー・チェンはカンフースターの代名詞で、自分の世代的にはその存在性はブルース・リーを凌ぐ。
スター俳優としての絶頂期だった90年代は、自分が映画をコンスタントに見始めた時期とも重なり、そのほとんどを観て、幸福な映画体験のアイコンとして刻み込まれた。
時は流れ2000年代に入り、至極当然なこととして、希代のアクションスターにも確かな“衰え”が見え始めると共に、距離を置くようになってしまった。
それは、愛すべきスーパースターが「劣化」していく様を見たくないという、独善的なファン心理故のことだったのかもしれない。
そのスーパースターが最新作でついにアクション映画の第一線から身を引くという。
そこで、“離れ”ていた期間の作品の幾つかをちゃんと観ておこうと思い、今作の鑑賞に至った。
当然ながら、繰り広げられるアクションに往年のキレと勢いは無くなってきていた。
ハリウッドに活動の拠点を移したことにより、香港映画特有の味わいが無くなってしまったことも否めない。
しかし、活躍のフィールドを広げ、それまでに成し得なかったパフォーマンスの可能性を広げようという心意気はひしひしと感じる。
トップランナーであればあるほど、常に新しい挑戦をし続けなければならないというのは、どの世界においても共通する。
ジャッキー・チェンの俳優人生は、まさにそのことを証明し続けた結果と言って間違いない。
と、感傷的で理屈っぽいことを延々と綴る以前に、「やっぱりジャッキー・チェンの映画は楽しい」ということを再確認できたという事実、それが最も重要なことだと思う。