4.シェイクスピアの四大悲劇は、いずれも何らかの形で主人公の「弱さ」が悲劇を招いているのですが、正直ハムレットの「弱さ」ってのが、何だかよくわからんのです。まあ、何でもヤな事は先延ばしにしたい、ってのはわからんでもないですが、それにしたって発狂したフリとはこれまた突拍子もなくって、「やむにやまれぬこの弱さ」って感じがしない。しかもこの「弱さ」が自分に降りかかるというより、周囲の人間をどんどん不幸にしていっちゃう。
で、本作。ハムレットの翻案作品です。ホレイショーも出てくるし、ポローニアスもレイア―ティーズも、勿論オフィーリアも出てきます。あ、皆さんのお好きなローゼン何とかとギルデン何とかは、残念ながら(多分)出てきておりませんけれども。
この橋蔵ハムレット、表では狂乱を演じつつ、裏では悩んで悩んで、悩みまくってます。たぶん、本家ハムレットより、イイ人なんです。このためなのか、中盤からちょっと思わぬ展開になってきます。東尋坊やらどこやらの、断崖のシーンがスゴイ(これ、どこなんでしょうね)。
という訳で、ハムレットを下敷きにしているのでそれなりに妙なオハナシですが、本家よりは幾分しっくりくる時代劇らしいオハナシにアレンジされていて(逆にツッコミどころが増えた、なんてイジワルは言わないように)、クライマックスで一揆を絡めてくるところなど、大いに見ごたえがあります。
このクライマックスで流れる音楽。テンポこそ速められているものの、お馴染みの『ゴジラ』のテーマがそのまんま登場します。