2.《ネタバレ》 それなりに楽しんでしまい、それなりに感動したりもしてしまったのですが、でも、だからって肯定しちゃっていいシロモノでは無い気がして。
この程度のモノが本当に『キミスイ』の監督が撮った映画なの?って感じで。
少女マンガの映画化作品に見られるお馴染み記号的表現で固められたような映画で、この作品ならではの工夫は見られません。数多の類似作品から何ら進歩も発展もしていません。
殴られた人間がありえないくらいにぶっ飛んだり、白目剥いて失神したり、雨の中を泣きながら走ったり、原作に寄せようと無理矢理な髪型、髪色、衣装にしたり(つまりコスプレ感丸出し)。安易にキラキラ輝く世界に見せようとしてハイキーで立体感が欠如した映像とか、そういう「お約束」って本当に必要とされているモノなんでしょうか?
原作から色々と端折っているのでしょう、いきなりな展開と、心情の読めないキャラの唐突な言動が羅列された上で、最後に至ってもちゃんとケリが付かないままに放置されるキャラ続出。
それでも菅田将暉の複雑な役柄の器用な演じ分けと、土屋太鳳のひたむきなキャラとで、メイン二人が魅力的なために見られるモノになっていて(そしてメイン二人以外のキャラにちっとも魅力が無い状態なのも事実で。『キミスイ』の義理で出てるだけ?みたいな浜辺美波の扱いの悪さときたら。もこみちも実在感の欠片もないオブジェの如き存在ですし)。
このテの映画が好きなので、たとえマンネリでもパターン化されいてもつい見ちゃうのですが、目先の利益を優先して安易な映像化で原作を浪費してゆくのはそろそろ終わりにした方がいいんじゃないかなぁ。少女マンガの映画化ならばこの程度でいいや、って感じの低めな目標と結果が容易に見て取れる状態は情けないですよね。ロケーションは良かったので、そういうところは大切にして欲しいですけれど。