1.《ネタバレ》 実在の人物を描いた映画を観る際、演じている俳優陣が「どれくらい似ているか?」は物語への没入度を左右する大きな要素だと思う。
ゲイリー・オールドマン演じるチャーチル首相しかり、グゥエルム・リー演じるブライアン・メイしかり。
本作の場合、主人公のビヨン・ボルグを演じるスヴェリル・グドナソン(初見の俳優さんだ)の似ている度合いが、
ダニエル・デイ・ルイス演じるエイブラハム・リンカーン以上に似ており、この点では10点満点。
エンドクレジットで本人の写真が出てきて思わず噴き出してしまった程。
物語は徹頭徹尾真面目な語り口で、文字通り氷と炎の様に両極端な稀代のテニスプレーヤーが1980年のウィンブルドン大会で果たした
壮絶な決勝戦の模様と、そこに至るまでの二人のテニスに賭ける半生を描いている。
私はテニスに特別詳しい訳ではなく、ジョン・マッケンローに至っては日本での摩訶不思議な歯磨き粉のCM(「歯槽膿漏には負ッケンロー」と言う奴)の
印象の方が強かった位なのだが、制作費をアメリカが出していない影響なのか演じるシャイア・ラブーフも仰々しさの無い渋い演技も見せており、
本作を通じて道を極めた人達の人となりの一端を知る事が出来た様に思う。
また、二人が現役引退後に親友となった事も知り、スポーツがもたらす素晴らしさを改めて深く認識した次第。
ここ数年の「実在の人物」物の完成度は総じて高い。
こうなってくると、クリス・ヘムズワースが演じるという噂のハルク・ホーガン(プロレスラー)の伝記映画を早く観たくなる。