2.《ネタバレ》 -The Oklahoma Kid- “オクラホマ小僧” ってところか?
西部劇なんかでよく『○○キッド』って出てくるけど、Kidって仔ヤギの意味らしい。 仔猫のキティ、仔犬のパピイみたく。どうしてChildの砕けた言い方に仔ヤギを充てがったのかは解らないけど、当時はアメリカだけで通じた使い方らしい。
1939年、第二次世界大戦中の映画で、私が観た中では駅馬車と並んで古い西部劇。舞台となるタルサに街が出来たのが1894年とあったから、舞台は45年前なんだな。相手を殺しても正当防衛であれば許された時代。たった45年でこの違いは面白い。
クリーブランド大統領が「先住民に適正な銀貨を渡し、保留地を明け渡させて開拓する」と宣言。…なんかちゃんとお金払ってるし、良い大統領にも思えるけど、この当時アメリカで大量の銀が産出されて、世界的に銀の価値が下がっていった時代。まさに“目先のあぶく銭でインディアンを追い出した”カタチ。
肥よくなオクラホマに集まる開拓者たち。チェロキー族に渡す銀貨を奪うマッコード一味。更にそれを奪うオクラホマキッド。『チェロキー族と自然保護のために戦うオクラホマキッド』なんて、この映画の方向性が見えてきたと思ったけど、なんか違う。
保留地のインディアンは一切出てこないし、キッドは盗んだ銀貨でギャンブルしてる。キッドが文明が発達することを拒むのは、街が栄えると悪党が私腹を肥やすから。強いものが奪う世界。まだ法律では身を守れない世界。悪党の煽動で殺された無実の父。スレスレの正当防衛で父の仇を倒すキッド。最後は仲違いしてた兄との絆も復活。
製作年を考えると、モンロー主義で、ヨーロッパの戦争(土地の争奪戦と街の発展)は、自分と無関係な立場を取っていたアメリカがキッド。
法を守って無残な最期を遂げた父は、ナチスやソ連に侵略されたヨーロッパ諸国。ジムと兄弟なのを認めない、実直な兄ネッドはイギリスだろう。
今の目で観ると、追い出されたインディアンのその後とか、盗んだ銀貨のその後とか、色々もやもやするけど、ジェーンと結婚してハッピーエンディング。
これでいいのだ。当時は。