2.《ネタバレ》 今でこそよく見られるレストランという形式が如何に誕生したか。
18世紀末のフランス革命前夜まで、美食は貴族のものであり、
庶民は飢餓と隣り合わせで食べることに必死だった。
旅籠には簡単な食事が提供されることはあれど、
それまで貴族も庶民も一緒に、個別のテーブルで、メニューから料理を選択することが今までなかった。
この視点でレストラン誕生の経緯を知ることがなかったので目から鱗である。
天に近い食材ほど至高で、土に根差したジャガイモやトリュフというポピュラーな食材が
かつて貴族から豚の餌扱いされていたということも。
主人公と女性の織り成すロマンスは控えめで、
抑制された色遣いによる絵画のような映像美が美味しい料理を引き立てる。
そして傲慢な伯爵への強烈なカウンターパンチ。
封建社会の理不尽を受けてきた先人たちの努力によって新たな活路が見出され、
食文化が成熟・変遷していったかを興味深く見られた。