1.《ネタバレ》 時は2045年。人類は、高度に発達した科学技術とAIにより自ら思考し行動するロボットに頼り切った生活を送っていた。全ての家事をこなすお手伝いロボと豪華な一軒家で暮らす中年女性アリスもそんな一人。ある日、彼女の家に偶然6人の人々がやってくる。アリスと親密なお付き合いをしているテレビプロデューサー、彼に無理やり連れてこられた息子、今は新しい妻と新婚ほやほやなアリスのかつての夫、その妻、彼らが新婚旅行に行く間この家で過ごすことになっているアリスの娘、そして迷い込んだ飼い犬を捜しにたまたまやって来たお隣のおばさん――。表面上は和気藹々と過ごしていた彼らに、突然悲劇が訪れる。なんと急に家のロックが掛かり、開かなくなってしまったのだ。どうにかしてドアを開けようとするも、AIに全てコントロールされたセキュリティは住民にはどうにも出来ない。しばらくすると彼らは衝撃の事実を知ることになるのだった。量産型人型ロボット「ヨニクス」が反旗を翻し、なんと人類を奴隷にしようと言うのだ。果たして、家の中に閉じ込められたそんな7人とロボットたちの運命は?近未来を舞台に、ある一軒家に閉じ込められた人々の右往左往をスラップスティックに描いたブラック・コメディ。監督は、『アメリ』や『天才スピヴェット』で有名なジャン・ピエール・ジュネ。僕の大好きな監督の最新作ということで、今回期待して鑑賞してみました。そんな僕の期待を全く裏切らない、素晴らしい出来の作品でしたね、これ。正直、この映画に中身などこれっぽっちもありません。ただひたすら監督の悪ふざけ一歩手前のドタバタを延々見せられるだけ。なのに、最後までワクワクしながら観ていられたのは、ひとえにこの監督の遊び心溢れるセンスのなせる技なんでしょう。とにかくオシャレ!お手伝いロボをはじめとするアンドロイドたちのキュートさなんて、もう最高でした。このお手伝いロボが人間の見栄や嫉妬や愛情をいちいち数値化して驚くところとか最高に皮肉が効いていて大変グッド。他にもアインシュタイン型ロボやレトロなお掃除ロボもみな魅力的で、自分もこんな家に住みたいなんて思っちゃいました(たぶん3日で限界迎えそうだけど笑)。対する人間たちも全く負けておりません。性欲持て余し気味の奥様カップルに意識高い系の元夫夫婦、そして思春期拗らせティーンエイジャー。特に死んだ犬のクローンを何匹も飼ってる隣の家のヒステリー気味マダムとか、鬱陶しいのに妙に憎めないところなんてまさにジュネって感じですね。後半のヨニクスがやってきてからのドタバタも終始センス爆発で最高に面白かったです。最後のオチはいかにもB級SF映画って感じのキレの良さで思わず拍手。ポップなセンスと底意地の悪さだけでこんな愛すべき佳品を撮れちゃうジュネ監督はやっぱり凄い!うん、何処までもついていきます~~。