4.というわけで、時々ニコラス・ケイジの顔が発作的に見たくなるのですが、彼の出演作は無数にあり、さらに見るより作られる早さの方が上なので、ニコラス・ケイジ切れを起こす心配が無いってのは有難い話です。
そのニコラス・ケイジという俳優の、集大成、というか、彼を総括したような、この作品。
思えばかつてのシュワは紛れもなくシュワという隔絶された存在であったので、つきつめればその姿は「ラストアクションヒーロー」にまで昇華されるのですが、今のニコラス・ケイジはというと、中途半端の極致、とでもいいますか。これも一種の「隔絶」と言えなくもないけど、存在自体がパロディみたいなこの人が自身をパロって見せたとて、ほぼ出オチにしかならないのが、作品の弱さ。
いや、彼だって幾つも超大作アクションをこなしているし、この作品でも言及されているのだから、ラストアクションヒーローのごとく本気モードのアクションを繰り広げるべきだったのでは? こんな自虐的なノリだけでお茶を濁すのではなく・・・?
いや、それは、無いですね。今のニコラス・ケイジには誰もそんなこと期待してない。「また今回もやらかしちまったか」と思わせつつ、時には意外な当たりで我々を楽しませてくれて、時にはそのやらかし具合で我々を楽しませてくれる。今回も、その一本。
変化球も、打者がそれを待っていたなら、打たれてしまう。というレベルの、いまいち煮え切らない緩~い変化球どまりの作品で、もうちょっと意外性があればなあ、と思いつつ、やっぱりこれは、他の人には作れない特異な作品、ジャンルとしてはニコラスケイジ映画と呼ぶしか無い作品。我々のニコラスケイジ切れを防ぐ貴重な一本です。