1.《ネタバレ》 ラストのナレーションまで一切の台詞なし。BGMのみのサイレント作品です。しかし、台詞はなくとも登場するキャラクターの表情や動作が雄弁に語りかけて来ます。
日本で生活している限り、日常の中でまず生じたり実感したりすることはないであろう「児童婚」の問題。世界の中ではまだまだ残っているのでしょうね。本作の中では父親が悪役の如く位置付けられていますが、その表情からは「解かっているが仕方ないこと」といった感情が滲み出ているように思えます。個人では抗えない社会問題。文化や伝統では説明しきれない問題。回避するにはその社会から離脱するしかない。けれども貧困にあえぐ生活からはありえない選択。
シンプルに「児童婚が少女の夢を奪っている」ことについての問題提起には留まらないテーマですね。それがまかり通る社会の根本的問題について問うている作品なのだと思います。社会にとっては小さな一歩に過ぎないとしても、妹が今後生きるであろう夢に満ちた将来に救われました。短い尺にギッシリと中身が詰まった佳作ですね。