12.この設定と進行で、倍賞美津子と桃井かおりっていうキャスティングが・・・いや、この2人だったら、最初から三癖も四癖もありそうな気配満載で、一見平凡そうな目立たない人々の裏にはこういうことが、という作品世界の根本が出てこないのですよ。いや、お客さんは呼べるんでしょうけど。ただ、長塚京三の魅力が引き出されていないところからしても、この雰囲気だけで流してしまう演出からすると、誰が出ても一緒だった、という気もしなくもない。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2018-03-21 23:22:46) |
11.たぶん「ハリウッド映画こそが映画の王道」と思っている人が見たら、スクリーンにポップコーンを投げつけるレベルの作品かなと。私はそこまではしませんが、とにかくナイーブで不親切。ストーリーもセリフもどうでもいい感じ。そのへんの喫茶店に行けばいくらでも見られるような光景を、延々と見せられるだけ。内向きで閉鎖的な世界観に、誰もが関心を払うと思うなよと。「東京」というより地方都市のほうが似合いそうだし。 観客にとっては、無機質でしかないシーンの数々の中から、有機的なつながりを見つけて堪能しろと要求されているような感じです。なるほどスティーブ・ジョブズの言う「点と点をつなげ」とはこういうことかと一瞬得心しましたが、何もこんな映画にそんな労力を投下する義理も必要もなかろう。 ただし、「大地の子」の出演から間もない上川隆也が、中国語を習っているシーンには笑いました。 【眉山】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2018-03-20 18:16:01) |
10.《ネタバレ》 市川準って何故だか昔、すごい魅力を感じてた。なんだか感情移入をたやすくさせぬ洗練さといったとこか。もう監督も亡くなってしまった。(早かったなぁ・・)東京地元民の話を観てみたいと思い、この映画を選んだ。さびれゆく商店街の人の感情の流れ。でもタミさんって地方の(岡山?の)人だったんだね。地方から出てきて、東京の地元の男性ときちんとしてから、帰って行った。それまで、そこに踏みとどまった女性らしい生き様。桃井かおりの疲れ切った表情が長いこと頭から離れなかった。「ねぇお茶漬け食べてかない?」なんてあんな表情で言われたら、俺どうしよう?(笑) 【トント】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2016-01-30 23:16:29) |
9.《ネタバレ》 結ばれぬ二人、叶わぬ恋。そんな胸を痛める激しいラブストーリーが幕を閉じた後も、男と女それぞれのその人生は延々と続いていく。この映画が描くのはそんな、ラブストーリーのその後だ。あとがきのような人生を日々に埋もれるようにひっそりと生きる康一もたみも久子も、かつての輝かしい恋愛物語の忘れられたその主人公たちである。彼らは、まさに市川準映画の主人公にふさわしい。市川が描くのは常に、世界の片隅で忘れられたように日々を暮らすそんな人々の姿だからだ。様式ばった美しさで切り取られる東京下町の風景、作為的なまでに静謐な時の流れ、そうした市川準映画の悪癖とも言える人工臭や退屈さが拭い去れない本作だが、それでもその中に主人公たちの灯す情感をゆっくりと滲ませていくその描写の繊細さには、心惹かれずにはいられない。商店街の人々に噂され、時にヤクザのようだと揶揄される康一は、実際粗野で無口なうえ、陰気な男だ。けれど、思いをよせあったはずの青年の結婚に打ちひしがれ宴席で所在無く一人唇をかみしめる近所の娘に、そんな彼が真っ先に声をかける。こっちにおいで。その声の別人のようなやさしさ。現在進行形の悲しみを必死に堪える若い娘は、かつての康一であり、たみであり、久子なのだろう。うれしそうに顔をほころばせる娘。その様子を柔らかな表情で見守るたみ。ただそれだけのそのショットに、たみがなぜかつて彼を愛したのか、言葉少なな彼女の思いが静かに滲むのだ。映画は東京をはなれ岡山で新たな暮らしをはじめるたみの姿で終わる。でこぼこ道を走る衝撃で自転車のカゴから飛びだすジャガイモに、不恰好な声をあげるたみ。ラブストーリーのその後を終えた彼女が行くのは、ラブストーリーのその後のその後だ。そうしてその後のその後のその後まで、彼女の人生はまだまだ続いていく。ひたすらに生き続ける、ただそれだけのことのなんというすばらしさ。人々をそんなふうに見つめる市川の視線は、限りなくやさしい。現在は過去のあとがきなどでは決してない。今を慈しむこと、それこそが、生きるということに違いないのだから。 【BOWWOW】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-11-14 23:18:18) |
8.《ネタバレ》 市川準が監督を務めたサントリーウィスキーCMのコピーに「恋は遠い日の花火ではない」というのはありましたが、まさにこの映画はその雰囲気を漂わせていますね(長塚京三も出てますし)。 とにかく、キャスティング良し、映像良し、音楽良しの見事な「市川準ワールド」が繰り広げられていて、心地よい時間を過ごすことができました。しかし、本当に街の風景や空気を撮るのが巧い監督ですね。 ただ、まだこの作品のストーリーを噛みしめるにはもう少し人生経験が必要かなと個人的には感じました。 【TM】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2009-05-20 08:47:07) |
7.蒸し暑さの和らいだ夜更けに網戸越しに聞こえる蛙の合唱をBGMに鑑賞した。退屈さを遥か通り越して、最高に心地良かった。もうここまでくるとストーリーはいらない。どのシーンの画も惚れ惚れするほどに美しい。その辺にあるような街角や店先を撮ってはいるのだけれど、構図の取り方に悉く唸らされる。それは溝口健二監督を想い出すほどですが、それ以上に市川監督の作品は光の使われ方が印象に残ります。芸術の域だと感じました。それにしても良い晩に見ることができて良かったです。 【カリプソ】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-07-01 01:38:56) |
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6.市川準監督って、時のうつりかわりを描写させたらピカイチだなぁと。 【クー】さん 8点(2003-03-23 10:31:27) |
5.微妙なボタンの掛け違い、月日の流れ、それぞれの思い。なんともしれん、いいですね。大人のための映画です。この映画のタマコを演じていた桃井かおりには、桃井かおり臭さが微塵も感じられません。そこがたまらなくいい。倍賞美津子演じる妻の、何事も無かったかのように、淡々と日々を送ることに心を砕く静かな演技にも魅了されました。「ねえ、お茶漬けたべてかない?」という台詞がとても印象に残りました。市川監督の作品の中でもベストの出来です 【ノブ】さん 9点(2003-02-01 15:58:10) |
【リュウマン】さん 1点(2003-01-29 14:21:57) |
3.淡々とした日常生活、その中にある人と人の関係や感情がなんとも言えない上質な描き方。余韻が長くつづく。 【dan】さん 9点(2002-10-30 19:12:32) |
2.なぜこういう作品を最近誰も観ないのだろう?こんなに大人を感じさせ、生きていくせつなさとか強さとかを説教臭くなく伝えている絶妙なバランスに乗った作品だ。上川のキャスティング以外はまるでイチローの筋肉よりも美しい。 【matsu】さん 10点(2002-05-18 06:19:47) |
1.とても静かでいい映画です。静かだけど、揺れのある、振幅は狭いけれど、たえず微かに揺れている、そんな映画です。出ている人達は何故か皆な照れていて?!、とても微妙な表情をしている。(僕には生き生きして見えるんだなぁ。これが。) そんな微妙さの中に様々な情動が見え隠れして、それがなんとも言えないリアルな色気を感じさせるのです。結構ぐっときます。桃井かおりに長塚京三、そして倍賞美津子、キャスティングも秀逸。「東京兄妹」もよかったけど、こっちもかなりいいですね。 |