10.フランス革命の前年、アメリカ独立のショックもまだ残っている英国で王が狂う。『バリー・リンドン』のラストで、これはジョージ三世の治世下の出来事である、と出たのは、狂った王の下というニュアンスを含んでいたのか。多くの狂人が王になりたがるわけだが、そもそも王は狂と近い。気でも狂わなければ“絶対”なんてやってられない。人間離れしなければならぬ王と、人間である王との葛藤。狂者になることで人間になれるのかと思ったら、やはり王位の椅子のような拘束椅子に座らせられてしまう。どっちにしろ椅子に拘束される存在。彼が王であることを逃れられるのは、「リア王」の台本読みで狂王を演じるとき、という皮肉に至る。やや理が先行する脚本で、映画として酔える種類の作品ではなかった。屋外シーンは美しい。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 6点(2009-03-04 12:09:41) (良:1票) |
9.《ネタバレ》 王と王太子の仲が悪いというのは、現代まで連綿と続く英王室の伝統みたいなものなんですね。それにしても、王室の物語だというのにウンコやオシッコのネタが多いのは笑っちゃうほどです。それも国王のですからねえ、こんなもので患者の精神状態が判るなんてほんと眉つばものです。よく考えるとこのストーリーは『英国王のスピーチ』と基本的には同じ話なんですね、王族への視点が本作の方がはるかにシニカルですけど。このジョージ三世という王様はは失政が多くてアメリカ植民地の独立を招いてしまったりしてますが、悪役扱いの王太子の方が奴隷解放を唱えたりして政策的にはまともな感じなのは凄い皮肉です。この王様、精神錯乱状態のときに助けてくれた侍従や医師を回復するとクビにするなど、『英国王のスピーチ』のジョージ六世と違ってなかなか非情です。感動を呼ぶには程遠い結末ですけど、これはこれで王族という人達の本質を鋭く突いていると思います。ラストで「家族円満を見せることが王室の大事な仕事だ」と犬猿の仲のロイヤルファミリーが民衆に笑顔を振りまくところなんか皮肉がきつ過ぎです。 ナイジェル・ホーソンの演技は、狂っているというよりも強度のノイローゼという感じなのです。でも本当は正気なのに厳しい現実から逃避するために深層心理が暴走している様にも見え、なかなか優れた演出だと思いました。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2015-12-02 00:14:01) |
8.フランスではエライことになる前年に英国では狂った王様の取り扱いにてんやわんやだったのですねえ。どこも大変だ。ヨーロッパ史のお勉強にはなったものの、人間ドラマとしての広がりは乏しい。ので、あまり面白くはない。映像は美しいけれど。(もっとも、女性陣にはもう少し着飾ってほしかった。) やたらと脈を取りたがったり、病人を叱り付けたりと現代から見ると奇妙キテレツな当時の医療技術を見られるのも一興ではあります。 そしてアナ・カン時のルパート・エヴェレットファンにはこの映画はまさしく悲報となるでありましょう。もうほんと誰だか分からなかったわい。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-10-28 23:58:32) |
7.ちょっと期待はずれでした。というのもジョージ3世とシャーロット王妃に関しては喜悲劇両方のいろんなエピソードが知られているからです。まず同国王の戴冠式の日、王冠にはめてあった一番大きな宝石が抜け落ちて国民は後にこれはアメリカ独立の予兆だったんだと思ったということ、そしてドイツ貴族の娘だった容姿も中身も平凡なシャーロット妃がイギリス王妃に選ばれたので7日以内に渡英の準備を完了するよう言われてショックで気絶したこととか、結婚式で素材と縫いこまれた宝石の重さに耐え切れずに新王妃の衣装の肩の縫い合わせが万人が注視する教会のど真ん中で一気にほどけたこととか・・・。こういうエピソードも盛り込んで、国王が狂気に徐々に犯されていく過程をじっくり描いてほしかったです。英語のWikipediaを読んでも国王の持病だった代謝異常のポルフィリン症が狂気に直結するとは書いてないし、ポルフィリン症は国王の狂気の引き金だったかもしれないけれど、むしろ国王がハーノーバー朝イギリス王家で初めて英語を母国語として話したという事実やフランス大革命や産業革命を含むいろんな社会情勢や国際情勢が国王の精神を蝕んでいったという仮説にたって史実を再現してほしかったです。 ところで、Wikipediaからのおまけの知識ですが、現在知られているポルフィリン症の対症療法とは患者に直射日光を避けさせることだそうです。ポルフィリン症の怖い点は精神異常ではなく、太陽光線の作用によって臓器に結石ができることだそうで、この病気がある人は今ではみんな直射日光の下では日焼け止めなんかで完全武装するようです。ジョージ3世は狩猟きちがいみたいでしたから、頭のネジがはずれるような具合で結石ができていたのかもしれませんね。 【かわまり】さん [DVD(字幕)] 5点(2010-06-15 12:21:35) |
6.在位60年のジョージ3世の歴史物語。その間アメリカ独立もあり、内外に加え家族も含めた悩み。「もっと理想の家族らしくしろ」という台詞は今の王室にこそ必要な言葉かもしれないとあった。 【ご自由さん】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-08-25 18:51:29) |
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5.本作に出てくるイギリス首相ウィリアム・ピットは、24歳で宰相となった人物。結婚もせず生涯を政治に捧げ41歳で亡くなったのだが、汚職等のスキャンダルとは全く無縁の高潔な人物だったそうだ。こういう人が国のリーダーに選ばれるイギリスがちょっとうらやましい。 |
4.ルパートファンとしては彼の姿にちょっと悲しい気もするが、又、違った一面を見た気がした。 |
【相対性理論2】さん 7点(2002-08-16 10:23:23) |
2.痛烈な皮肉が根底にある怪作。結構よくまとまっていました。 【なな】さん 7点(2002-02-09 19:23:14) |
1.面白いといえば面白いんだけど・・・、二度見てみようとは思わないんだよね。ルパート(エヴェレットのほう)がカッコ悪すぎる。 【まき】さん 6点(2001-06-14 00:49:11) |