35.観終わった瞬間の充実感、格別のものがあります。映画冒頭、暗い家の中から女性が扉を開けると、そこは広大なる荒野、観るものをいきなり別世界へといざないます。すると向こうから馬に乗ってやってくる人影、それこそが、久しぶりに現れたジョン・ウェインなのでありました。で、話は飛んで映画の最後、残念ながら冒頭シーンとは別の家なのですが、今度は人々が家の中に入って来て、カメラも屋内に下がり、ジョン・ウェインだけを外に残して扉が閉められ、THE END。↓おっさん様もご指摘の通り、誠にシビれる大団円であります。さてこの映画、先住民に身内を殺され、誘拐された男達の壮絶なる追跡劇でもあり復讐劇でもあるのですが、陰惨な雰囲気に堕していないのは、絶妙のユーモア感覚のお陰でしょう。今で言うところの、ロード・ムービーみたいな味わいすらあります。途中、エピソードと手紙朗読を交差させる等、演出の面白さにも事欠きません。そして戦闘シーンのダイナミックなこと!俯瞰の構図による立体感、カメラが全速力の馬に併走する躍動感。まさに満腹感を味わえる一本だと思います。 【鱗歌】さん 10点(2004-02-01 16:29:10) (良:4票) |
34.《ネタバレ》 先住民がほとんど人間扱いされていないのは、まあ半世紀以上前のこととして・・・それよりも一番気になったのは、数年がかりで追跡を行っている風でありながら、時の経過がまったく表現されていないこと。それと、「物心つく前に拉致され、先住民部族の中で育った」ことの重みもまた表現されていないこと(再会のシーンで英語であっさり会話している時点で違和感がある)。唯一インパクトを感じたのは、ウェディングドレスのヴェラ・マイルズが階段を降りてくるシーン(その後はグダグダでしたが)。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2017-06-15 00:54:26) (良:1票) |
33.《ネタバレ》 個人的にフォードの西部劇は「リバティ・バランスを射った男」が一番好きなのだが、この「捜索者」もフォードらしくないからこそ面白い。 イーサンは一見するとコマンチ(主にスカー)たちに対する復讐心に染まったキチガイ野郎だが、本当は自分のせいでデビーが捕らわれてしまったという責任感で自分を押し潰そうとしていた。 自分達が敵の罠に嵌ってデビーたちの家族を、デビーに地獄を見せてしまった。元々混血児として育ったマーティンはともかく、物心ついた頃にはコマンチ族と同じ習慣の中で生きてきたデビー。果たして彼女は日常生活に戻っても以前と変わらぬ生活を送れるのだろうか。それとも差別に苦しむのではないか。イーサンが最初に彼女を殺そうとしたのは、そういった事績の念があったからだろう。 そもそも、イーサンがただの差別主義者なら混血児のマーティンはとっくに殺されているだろうし(それどころか5年も一緒に生活を共にしていた)、他のインディアンたちとの公益なんてありえない。 イーサンがデビー(インディアンと共に過ごした存在)、マーティン(インディアンの混血児)、そして彼女を迎え入れる人々の“架け橋”として潔く去っていくシーンもそれを静かに物語る。 イーサンは自分が“戦争で死に損ねた過去の存在に過ぎない”という事を知っていた。そんな男に正義など何処にもない。表情もデビーに見せたあの笑顔以外はほとんど悪党面だし。戦場で消耗品に徹しきれず生き延びてしまった負い目、悲劇を繰り返してしまった重圧。それを解って去っていく。虚しい。 でもどうにか、一つだけでも何かを、誰かを救えたのかも知れない。少なくとも一緒についてきたマーティンは逞しく成長したし(嫁を殴り合いで奪い返す)、マーティンとデビーの再会もそうだし。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2013-12-24 13:25:05) (良:1票) |
32.映画では表現するのが難しい距離と時間を見事に体感できる映画です。「もういいよ。諦めようよ」と見ている方に思わせるこの説得力!西部の広大さを常に意識させる、人間なんてちっぽけであると思わせる素晴らしい構図。厳しさとその中でも決して失われる事のないユーモア。否応なく気持ちを高揚させる馬上でのスピードとアクション。そして皆々様が既にご指摘の通り、人々があるべき場所に収まっても、一人帰る所のないさすらい人、ジョン・ウェイン。いやもう最高です。私ごときが今更言うことではないかもしれないけど、ジョン・フォードは映画のなんたるかを熟知している人です。 【黒猫クロマティ】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2005-09-14 22:54:06) (良:1票) |
31.鱗歌さんもご指摘しておられるオープニングとエンディングが印象的。真っ暗な部屋の中から切り取ったようなドア枠から映し出される画はまるで映画の中の映画。美しい情景が映され、ジョン・ウェインが馬に乗り颯爽と登場。さぁ始まり始まり~。そしてエンディングもこの逆で、映画の終わりを告げてくれる。憎しみと殺戮の世界が虚構性を強調され、後味の悪い余韻を引きづらせない。映画が大衆娯楽であるための心遣いである。それでも、ハッピーエンディングの中で一人寂しいジョン・ウェインの後姿に、別の余韻を感じずにはいられない。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-07-01 15:42:50) (良:1票) |
30.西部劇の最高傑作と名高い作品。確かに一部で言われている差別的感情が存在している作品だと捉えることはできるのですが、客観的に観れば凄い映画だと思います。技巧的には優れていて「これぞ男の西部劇だ!」と言わんばかりのシーンの連続に息を呑むこと間違いなし。デビュー直後のN・ウッドも印象的でノリにノッていると感じさせます。J・フォード流の乾いたユーモアもあり、それが上手に溶け込んでいることも演出の妙か。歴史に残る名作でしょう。 【チャーリー】さん 10点(2002-07-16 08:52:40) (良:1票) |
29.これが西部劇の最高傑作?といった映画だった。 モニュメントバレーの壮大で美しい景色は伝わってくるが、肝心の復讐劇が途中でドタバタ喜劇が入ってくるせいでダレる(しかも大抵面白くない)。主人公は終始偉そうだし、やたらとテンション高めの保安官とか、違和感ありすぎ。 主人公の心の葛藤や娘の悲劇など感情を揺さぶってくるドラマに感心するところもあるけど、やっぱり先住民憎しの姿勢が前面に伝わってくるのは昔のアメリカ映画ならでは。 この時代の背景とか知っているとまた評価は変わってくるかもしれない。 【mhiro】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2024-07-21 00:05:37) |
28.《ネタバレ》 最後の翻意があっさりし過ぎで、モヤモヤする。スカーもうまく描けばキャラが立ちそうなのに活かせていない。 白人の悪さもバランス良く描く西部劇をいくつか見た後だと、やっぱりネイティブアメリカン憎しのみ の映画は辟易しちゃいますね。 【くろゆり】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-04-12 07:42:15) |
27.ジョン・フォード監督、ジョン・ウェイン主演の名コンビだが、期待はずれ。 【飛鳥】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2017-08-31 23:02:34) |
26.《ネタバレ》 ビスタサイズで撮られた映画の最高作、と言ったのはスコセッシだが、私が見 た西部劇の最高作はこれ。映画史上の真の最高傑作、と言われても不思議ではな い映画的興奮度満点の「画面と音」の映画。 とにかく、演出技術であらゆる感情 を画面に定着させる事が可能だった映画史上ただ一人(ちょっと言い過ぎ)の監督 による究極の画面を堪能することができる。 イーサン・エドワーズ(ジョン・ウェイン)の情動によってこの映画に表出して いる怒りと悲しみと誇りと、そして落伍者としての寂寥の凄み。 私が最も好きなのは前半部分、デビー(ナタリー・ウッド)捜索の長い旅に出る 前の追跡シーン。イーサンが、埋葬されたインディアンの死体、その両目を拳銃 で打ち抜くシーンがあるのだが、私は恥ずかしながら何度見てもこのシーンで必 ず目が潤んでしまう。それは決して倫理的な感情で心を揺すぶられているわけで はない。純粋に映画というメディアで、ここまで徹底したキャラクターを、俳優 の所作と撮影(繊細な照明や完璧なフレーミング!)と、こだまする銃声音の音響 効果で造型したことに心を揺すぶられているのだ。 私にとって映画とは情動を突き動かされるメディアであって、歴史や風俗なり を学ぶメディアではない。映画は「興奮」のために見るのであって、付随的に 、知識」が得られるとしても「知識」を得るために見るのではない。 映画は決して「現実」を映さない。あくまでも「虚構」しか映さない。極論を 恐れずに言えば、ドキュメンタリーというジャンルの映画であっても、ひとたび 現実をカメラが切り取ってしまった瞬間に「虚構」に転じる。 映画を「現実らしさ」の指標で論じることは決定的に間違っていると思う。 間 違っているというのが言い過ぎであれば、ナンセンスだ。現実に起こり得ない、 つじつまが合わない部分があっても当然、全ての映画は「虚構」であり「フィク ション」だからだ。勿論、つじつまの程度の問題はあるけども。 ただし、映画を道徳的、倫理的、人道的な観点や、作者の時代認識や題材に対 するスタンスでもって評価する姿勢は、これは嗜好の問題。 私のようにそんなこ とには殆ど関心が無く、「画面と音」という表層(といっても大変奥深いのよ!) を最重要視するのも嗜好。両者が並存しているからこそバランスがとれていると 認識している。 まあ極私的には映画以外のメディアで学べたり楽しめたりする事柄は映画以外 のメディアでやればいいんじゃないのって思いますが。 繰り返しますが『捜索者』は最高の「画面」を持った映画です。美しい細部を 上げていくとキリがない。 【ゑぎ】さん [映画館(字幕)] 10点(2017-03-28 05:56:26) |
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25.《ネタバレ》 エンディングの門口の外に向かうフレーム内フレームがすばらしくいい。つまり家庭の外にしかいられない無頼の徒ジョン・ウェインということ。先住民に襲われる白人の恐怖が迫真に描かれて迫力があるが、いまやわれわれは先住民の側から観てしまう。先住民こそほんとうに怖い目にあったのだ。1956年といえば、冷戦たけなわで、ハリウッドの赤狩りが吹き荒れたあとあたりか。この映画の排除されるコマンチ族とはだからコミュニストのことでもある。 【ひと3】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2015-01-18 16:16:32) |
24.古い映画ですが美しい風景が印象的でした。以上です。 【ProPace】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-08-20 22:21:39) |
23.2012.12/11 3回目?鑑賞。観る度に評価が上がる。高校生で観たときは血沸き肉踊る作品でなく心理描写も理解できなかったのだろう。ただ黄色人種としては先住民インディアンが悪者扱いされるのは気に入らないが・・。 【ご自由さん】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-12-12 00:19:02) |
【ホットチョコレート】さん [地上波(字幕)] 5点(2012-11-29 22:18:54) |
21.西部劇ではずいぶん荒野の一軒家を見てきたはずだが、本作のファーストシーンで初めてその孤絶ぶりを感じた。戸を開けるともう荒々しい「外」がそこまで来ている。開拓者たちの心細さがひしひしと伝わるカット。だからこの映画でのコマンチは、単にインディアンというだけでなく、コヨーテや砂嵐や開拓者を脅かす新世界のあらゆるものを代表して存在しているんだろう。主人公たちの一行に、砂丘を並行して進むコマンチのシーンも、「開拓される側すべて」の警戒の象徴として彼らを見たほうが迫る。今までの騎兵隊ものではインディアンはただ駆除されるために存在していただけだが、本作では憎しみの対象になっている。そのためには悪玉を白人が演じなければならないところが、ハリウッドの限界だろうが、格上げされたことは確かだ(自分を妻と思い込むコマンチ女など、まだまだ差別描写は多い)。というわけで、これ異色西部劇としての価値はあろう。ただアメリカでの絶賛は分からない。今回で二回目の観賞で、前回より大きめの画面でその自然描写には堪能できたが、フォードの最大傑作というには躊躇させられる。初めて見たときの疑点(さらわれた姪への殺意にまで膨らむイーサンの執念の根拠とか)はそのまま残った。 【なんのかんの】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-11-24 10:46:46) |
20.《ネタバレ》 ピーカン!ともかく、空。青い、青すぎる。そこにモニュメントバレーと地平線、砂漠の赤土、そして、“Ride Away”する白人。青、赤、白、え?国旗ですか?これぞ、アメリカってことですか?そんな感じでランドスケープ描写にやられちゃいました。狭い画面で見てたけど、見てると目が良くなりそう。名作と名高い映画ですが、実はコメディということに鑑賞して気付く。そして、ラスト。ゴダールが涙したと言われるジョン・ウェインが姪を許し、抱き上げる姿は、胸に迫るものがありました。見て良かった。多分、人生で数回再見することもあるだろう。 【アイランド・ジョー】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-05-15 02:36:05) |
【棘棘棘棘棘棘棘】さん [DVD(字幕)] 4点(2011-02-16 21:14:09) |
18.正しいのは白人で、一方的に先住民を敵視したアメリカらしい作りにヘドが出た。 横柄で自己中な腹の出たおっさん、ジョン・ウェインに一切の魅力なし。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(字幕)] 0点(2010-03-06 01:28:42) |
17.最初、絵に描いた様な幸せな家庭(大草原の小さな家みたいな家庭)が、インディアンに襲撃を受けて、毅然とした母親とか殺されてしまう。残酷な演出だよね。こういう話って、現代に置き換えて、たくさん創られている。「悪」がこの映画のインディアンの代わりに、ならず者だったり。アメリカって建国してまだ二百数年しか経ってないので、こういう映画で描かれているようなことを、ちょっと前に経験したんだ。あんな荒野の一軒屋って無防備もいいとこだ。アメリカ人が銃を離さないのもこの時代の恐さがDNAに刷り込まれているからかもしれない。この映画の目玉であるジョンウェインはカッコよかった。 (2度目鑑賞) 西部劇は何も決闘シーンの映画ばかりではない。 インディアンとの熾烈な争いも西部劇のポイントである。 これは後者。 ジョンウエインが演技している貴重な映画。何せそこにいるだけで映画になる俳優だから、こういうのは貴重になる。 ちょっと捻たカーボーイを演じている。 しかし、唯一の肉親の妹を助け出して、一言「家に帰ろう」と優しい声でいう。 これが、今まで嫌な奴だった分、ドカンと効く。 結婚式での喧嘩の場面も「静かなる男」同様、好きですね~、フォード監督♪ 【トント】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-02-02 12:29:33) |
16.《ネタバレ》 DVDで見直すと、映像の汚さに本当にがっかりしてしまった。昼のテレビ放送にあったあのすすけた雰囲気が完全に台無しだ。懐かしさを感じる様なたぐいの映画を液晶テレビ+DVDで見るときには気をつけた方が良い。 本作の背景にある、ネイティブアメリカンへの嫌悪や憎悪というのは、1956年当時実在のものだったのだろうか。それともアメリカ人が映画を見るときだけ発生させる一時的な感情なのだろうか。ネット上では英文の資料を見てさえ、書き手の恣意が見え見えでよく分からない。 小学生の時に夢中で見た本作だが、やはり面白い。しかし当時あこがれたあの汚らしさ、美しさ、西部の日常といった部分が大型液晶のせいでかなり台無しになった感があり、そのせいで過去様々な時期、時間帯でみた本作と全く違う印象になってしまった。 ジョンウェインの演じる主人公の性格が、相対的に情報量としての体積を持ってしまったがため、仇敵であるネイティブアメリカンのもつ、古典映画的なネイティブの像と釣り合わなくなってしまった。舞台の美しさがすべてを内包できていたがために、それが欠けてしまうと必然的に憎しみの造形が現実性と描写性とを行ったり来たりしてしまう。そもそもが、一度として私はこの作品を現実的にはとらえていないので、焼き付いていたはずの主人公のキャラクター設定に当惑してしまった。 この映画が持っていたはずの雄大な美しさと、セットが発する劇ですよという安心感。予定調和の中でジョンウェインがジョンウェインらしく暴れるという部分が少なからず失われてしまっていたのは残念だった。 やっぱり西部劇はブラウン管のテレビ放送かBDに限る。いつ何時何がスポイルされるか全く分からない。あと、英語をしゃべるジョンウェインにはいつも違和感を感じる(笑)。 【黒猫クック】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2009-10-02 19:44:21) |