20.《ネタバレ》 有名なエドワード・オールビーのデビュー戯曲の映画化。エリザベス・テイラーとリチャード・バートンの主人公夫妻は、まるでゲームのようにたがいをののしり傷つけ合い、そのなかに奇妙な共生感(愛情?なのだろうか)を見い出しているように見える(冒頭の二人だけのシーン)。ここに無防備な若い夫婦が加わることで、若い夫婦は主人公夫婦のゲームのいけにえにされていく。しかし、他者の加わった主人公夫婦のゲームはいつしかゲームの範疇を逸脱していき、どうやら踏み込んではいけない、ゲームが破たんするような領域をあらわにしてしまう。これは彼らの関係の破たんをも暗示しているようにも見えるけれども、そうではなく、常にそのゲーム自体が破たんしてしまう地点までゲームを追い込むことこそが、このゲーム(いや、二人の関係)のきわどいルールなのではないか、と思わせられる。常に関係が壊れる淵を覗き込まないと関係を維持できないというのは理解できるが、こうやって作品で見せられるのはやはりこわい。 マイク・ニコルズはこの作品の前までは舞台演出をやっていて、これが初めての映画作品らしい。おそらく彼がここで試みているのは、舞台を観客席から観るのではなくて、観客にも舞台に上がってもらって、もっと間近に観てもらおう、そういう演出姿勢なのではないかと思う。だからクローズアップ、俳優の顔の大きなアップが多くなっている。部屋の中を動き回るカメラは、そのまま観客が部屋の中を動いて、起こっていることを見ているような臨場感につながっているだろう。エリザベス・テイラーとリチャード・バートンのセリフの多い演技は、スクリューボール・コメディを彷佛とさせるものであって、その線で云えば「スクリューボール・トラジティ」と呼べるような雰囲気。リチャード・バートンという人は、やはりすごい役者なんだなあ、などと思った。 【keiji】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-04-27 10:56:39) (良:1票) |
19.《ネタバレ》 夢と現実が混在した夫婦喧嘩に2時間付き合わされる。 でもその夫婦喧嘩はとてもパワフルで圧倒された。 登場人物の会話の中で、見ている誰しもが心当たりがあるであろうエピソードが幾つも出てくる。 これがまた居心地の悪い気分になる。 気分はすぐれないけど、なんだか物凄いものを見た気分にもなる。 二人の気合いの入った夫婦喧嘩に引き込まれ、退屈はしなかった。 見た後に健やかな気分になれないので評価は分かれるであろう作品。 私は案外好み。 【にじばぶ】さん [インターネット(字幕)] 7点(2023-10-28 22:43:23) |
18.《ネタバレ》 何でこんな品のない夫婦喧嘩を延々と見せつけられなければならんのだ?と、見ているときは思っているわけです。しかし、終わってみると、あの罵り合いやけなし合いこそがこの夫婦の生来的コミュニケーションなのであり(それはあとの2人も本質的に同じ)、むしろ当事者はそこに平穏すら感じており、そのように精神的に病んでいる部分を壮大に展開していたことに気付かされる、怖い作品。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 6点(2014-02-18 03:43:01) |
17.最初から最後まで、ひどい夫婦喧嘩を舞台劇のような作りで見せた映画。 画面の向こうで飛び交う罵詈雑言の嵐。主役二人以外で登場してくる若い夫婦も、 火に油を注ぐだけの存在で、何の役にも立たず。リズのまるで素でやっているような、 怒気に溢れた演技はとても印象に残っている。"夫婦喧嘩は犬も喰わない"ではないが、 鑑賞者はひたすら傍観者になるばかり。二人はいったいどんな結末を迎えるのか。 実験映画のようなドラマで、なかなか面白かった。 【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 5点(2012-07-03 01:24:58) |
16.《ネタバレ》 婚約中のカップルにとっては、まさに悪夢のホラー映画。最初から最後まで醜悪な夫婦ゲンカを延々と見せつけられ、結婚に関して夢も希望も失せる話だが、キワ物見たさでつい最後までぐいぐい見てしまう。4人の登場人物がそれぞれにタイプの異なる不快キャラなので、いかに醜悪な人間を演じるかという意味で名優達のこれでもかという力の入った競演を恐る恐る拝見させていただいた感。特にリズの毒気が凄まじいので再見するならよほど元気な時でないと無理。 【lady wolf】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-06-10 17:15:22) |
15.《ネタバレ》 言葉には暴力性があることは承知していますが、同じフレーズでも「文字にして紙に書く」のと「言葉を音声として発する」のではコミュニケーションの手法としていかに性格が違うのかと考えさせられました。テイラーとバートンの血が出るような罵り合いは、まさに「セリフのボクシング」と呼べるのでは。たった四人しか登場人物がいないのに、四人ともオスカーにノミネートされて二人が受賞って、ちょっとすごくないですか? 四人の中でもテイラー・バートンの毒気にあてられて、冒頭とラストでは同じ人格とは思えないほどボロボロになっちゃうS・デニスの演技の上手さには感心させられました。ちなみに本作はハリウッド映画で初めて“Fuck”というセリフが使われた記念すべき作品だそうです。実際のところどこで使われたか気がつかないほどですが、まさか40年後には“Fuck”だらけの映画が量産されるとは、当時の観客は想像もしなかったでしょうね。 【S&S】さん [DVD(字幕)] 9点(2010-05-20 20:56:42) |
14.《ネタバレ》 気疲れする映画でした。舞台の評価も高い劇作だそうですが、私には理解不能。ひたすらがなりたてる妻と夫の応酬を延々見せられても退屈至極。挙句、妄想の息子まで出てきて、夫が殺しちゃう。もうゲップが出て来そう・・・。セリフもあんまり印象に残るものはなかったし。私にセンサーがないだけなんだろうけど、夫婦愛だの何だのとか考えるまでもなく、だから何なんだ?って感じ。こういうのを舞台にしろ映画にしろ、作品にする意義がよく分からない。ゼッフィレッリの自伝によると、この夫婦はプライベートでもこの映画のまんまだったらしい。・・・こんな夫婦ヤだ。こんなパートナーでも側にいてくれることが大事ってか? まあ、そういう意見もアリだろうけど、私なら孤独のほうがマシ。どうせ人間死んでいくときゃ独りだし。とにかく嫌悪感しか後に残らないスポイル映画でした。 【すねこすり】さん [ビデオ(字幕)] 4点(2010-05-10 22:16:18) |
13.《ネタバレ》 戯曲の映画化はセリフの応酬がずっと続く映画がよくあるので、前半は持ちこたえた。でもずっとののしりあっているので、これは本当に名画なのかい?と思い、このレビューを見て、高得点なので、きっとラストがいいのだろうと思い、後半我慢して観た。ラストまで見た感想は、なるほどいろんな夫婦がいるものだなあ、と思った。いろんな「幸せ」な家庭の築き方があるのだ。考えてみれば、夫婦といえど、赤の他人だもんね。そこには一緒に暮らしていく上でのルール見たいのも出来てくるだろう。最後、「子どもを殺さなきゃいけなかったの?」というセリフを言うリズが愛らしく見えた。この教授のつくるストーリーを愛していたのだ。とても素敵な夫婦に見えた。一方、若い夫婦の旦那はしょーもな! 【トント】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-02-01 14:23:53) |
12.醜悪な会話のやりとりはえげつなくて,字幕でなく英語でしっかり理解できれば(したくないけど)もっとスゴいのでしょう。この毒気にまみれた言葉の応酬,かなり不快なはずなのに目を背けることができない,むしろ夫妻のことが心配で視線をそらせない。観客が見守る中で,あわれな中年夫婦はやっと一歩を踏み出すことが出来る。本当に哀れとしか言いようがないけれど,ラストの空気が憎悪からかすかな光へと一変してしまうところは神がかっていた。そばにいてくれる人の存在は宝。なかなか普段実感できないけれど,心の奥底では大切に思っているんだよ。 【さそりタイガー】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-09-30 00:13:06) |
11.ただ迫力に圧倒されましたが、ひどい話だしそれ以上の感想はありません。あんな状態には陥りたくないですね。 【色鉛筆】さん [DVD(字幕)] 4点(2009-03-21 23:07:58) |
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10.見終わってから、楽しかったとか面白かったとか、そういった感想は出てこないのですが、凝った台詞回しとストーリーは一見の価値があると思います。こんなお話は見たことも聞いたこともありません。人によっては、まるっきり受け入れられないと感じてしまうかもしれませんが、映画史の一遍を垣間見るという意味でも、鑑賞してみてはいかがでしょうか。 【shoukan】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-05-05 00:16:07) |
9.《ネタバレ》 4人の俳優が4人とも素晴らしい演技を見せてくれる作品です。エリザベス・テーラーは、この作品を撮影したときはまだ三十代前半だったと聞きます。この一作でそれまでのイメージを180度転換させた、それも大成功のうちに。たいした女優さんですね。オープニングシーンの歩き方からきっちり決まってますもの。バートンの、押さえ込んだ激しさが時々噴出する演技も光ります。この作品は何度も見ていますが、観るたびにGeorgeとMarthaの悲しみが少しずつ理解できるように感じます。未だになぜバーチャルで育てた子供を、Georgeが殺してしまわないといけないか、それはわかりませんが、そのうち理解できると思います。本作品には満点をつけました。俳優の演技に対しての満点です。ところで、原題のなかの"Virginia Woolf"は、狼"wolf"ではなくて、作家のヴァージニア・ウルフですよねえ。「バージニア・ウルフなんかこわくない」ってどういう意味になるのでしょうか。西洋人はこういう言い回しが当たり前で理解できるのかなあ。 【ひよりん】さん [DVD(字幕)] 10点(2006-05-07 18:38:19) |
8.主要人物4人ろくにツマミも食べず、何時間もジンのストレートをガブガブ飲み続け。これはもう、基本的に我々日本人の胃や肝臓とは強靭さやスタミナが違うと思われる。だからこそ泥沼状態の結婚にも長期間耐えられるわけで。ダーティワードの連発で公開当時はセンセーションを起こした作品らしいが、刺激に慣れすぎた今の観客にとってはどうって事もない。引きの構図が多い中、時たまサンディ・デニスの吐きそうになった表情とか、バートンのキレた瞬間の顔の大写しが挿入されるのが観ていて異常に怖い。エリザベス・テイラーはいつもの、聴きようによってはかなり耳障りな声質を極力押さえ、役作りに相当苦心したであろう跡が窺える。「バターフィールド8」はともかくこの作品での受賞なら大いに納得。ところで冒頭の会話にあったべティ・デイヴィスとジョセフ・コットン主演の映画のタイトルって何なんですか?(追記)かーすけ様、いつもフォローありがとうございます! |
7.「哀しい目をした俳優は?」と聞かれたら私はジミーかバートンをあげます。そのバートンと、これがリズの声?と思うほどつぶして熱演の二人。まくしたてて、ののしりあってのこの長い息はこの夫婦でないとうまくできませんわ。夜が明けるラストの二人には涙。月が消えると日が昇ってまた一日が始まるんや、と励まされます。再見のときは初っ端から泣けてしょうがない。サスペンスをぼんやり見る私の中では傑作。/↑TV映画「森の彼方に」(’49)ですか? 私も観たとき検索するもわからずじまいでした。 【かーすけ】さん 9点(2004-10-15 21:47:28) |
6.社交生活が何事も夫婦単位で行われる社会って、息苦しい。酒くらい気楽に気のおけない奴と飲んでいたい。我がニッポンはいい国だと再認識できる作品。ジョージが長いものを持ち出したシーンは、それまでの流れで十分説得力があり、本当に怖かった。 |
5.《ネタバレ》 役者の方々は熱演していると思うのですが、終始言い争いが続くので、観ていて飽き飽きしてきます。金や権力のために好きでもない相手と結婚生活を続ける事は不可能なんでしょうね。偶像の息子を作り上げなければならないほど結婚生活が維持できなかった2人には哀れみを感じます。 |
4.だから何って感じだけどおもしろかった。なんかほとんどが家の中のシーンで舞台みたいな雰囲気あった。酔ってるっていうのもあるんだろうけど、みんな狂ってるみたいでスリラー映画のような感じで見れた。 【バカ王子】さん 7点(2004-03-04 04:57:22) |
3.オープニングが静かなのは、嵐の前の静けさ。本編が始まると激しい口喧嘩。ほぼ4人の出演者がずっと言い争っている。こんなに口喧嘩だけでストーリーを進めた映画って過去にあったんですかね。4人とも酔っ払いでハイテンションなので、面白い反面、大丈夫かと思う時もありました。リズの顔立ちは相変わらず美しいけど、役が役だからすごい勢いだなぁ。 【べんちゃんず】さん 8点(2003-10-26 12:39:42) |
2.バージニア・ウルフはこわくないけど、リズはメチャ怖い。バートンはバートンでまた、怖い。この時二人はホントの夫婦だというのが、また怖い。 【愚物】さん 9点(2002-11-06 02:05:34) |
1.夫婦げんかもあそこまで言い合うとは・・・・何かパワーが違いすぎてついていけないと言う感じですね。 【リトルキャット】さん 6点(2002-09-13 12:16:22) |