18.《ネタバレ》 若いうちに見る印象と 歳をとってから見た印象 当然違うはずです 若い頃これを目にしたなら、きっとこう思う事でしょう 職を選べる人間になりたい 家族に好かれる人間になりたい 愛を注ぐのは家族だけでいい 家族以外の者に手出しはしない その為には心優しい伴侶を選ぶ 広い家に暮らす 自由な時間が持てる職を選ぶ その為には今勉強しておこう、良い仕事に就こう こうは成りたくない これは他人事なんだぞと。 しかし、ある程度歳をとった今これを見る現状。 彼の場合はもうハンドルを握り走り続けるのしかない現状。 休めないのだ。職を選べないのだ。 すべての悪循環により、嫁や娘たちと素直に向き合い良好な状態を保つ事さえ既に難しいのだ。 こんな心苦しいメロドラマ 見ていて楽しくなってこようはずもない。 でも理由じゃないんだ。この切なさと心苦しさがじわりじわりと身に染み侵食されてしまう。そうなってくると、もはや他人事ではなくなってしまったという現状。 道中、運転手同様に眠たくなる者は眠ってその時点で脱落すればよい。 でもその逆で、彼の瞼の重さと心のだるさを一緒に背負って見ること出来たならば これほど心地良いものもそうはない。 なぜなら、結局は、他人事だからという安息な日常を自分が過ごせているからではないだろか。 【3737】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2014-01-02 18:26:41) (良:2票) |
17.《ネタバレ》 霧と暴風雨にさらされた果てし無きトラックの長距離輸送、度重なるエンジンの故障と睡魔との闘い、その哀愁を帯びた見事な映像。自分もトラックの運転席に座っているかのようあ錯覚に陥り、あの狭い空間での振動を感じて気持ちを共感せざるを得ない程に切なくなってくる。空しく切実なジャンの日々、そしてくたびれた妻と軽薄な娘と、傷ついた仔猫のような薄幸の女クロ、この三人の女の描き分け。安らぎを求めるジャン、しかし家畜を乗せた500kmの逃避行で、全く笑わず、傷つき憔悴しきったクロを乗せハンドルを握り、ただひたすらトラックを走らせるジャンの心情。容態が悪化したクロの為に停車した田舎道のあの映像、真っ暗で静かな景観にただ家畜の鳴き声だけが響く、このやるせなさ、このどうしようも無さが胸を打つ。 【よし坊】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2007-05-23 06:16:36) (良:2票) |
16.寝る間もなく暗闇の中を走り続ける長距離トラックのドライバー。希望も安らぎも無い好転しない日々を生きる中年男の悲哀。そんな男が出会う薄幸の女。彼女もまた安らぎの無い日々を生きていた。 冒頭、暗闇の中を眠気をこらえて運転するジャン。ヘッドライトに照らされてぼんやりと見えてくる路傍の看板。まるで先に希望の見えない日々を生きる登場人物の日々のようでもある。 冒頭から結末まで虚しさが支配する映画は好みではないですが、妻だけでなく、娘とも関係が冷え切っている中年男ジャンと家庭に恵まれず父がいない若い女性クロ。こんな2人の日常描写から抑え気味の台詞の中にも一見釣り合わない父と娘ほど年の離れた男と女が互いを必要とし、安らぎを求め合う思いが伝わってくるギャバンとアルヌールの2人の姿が印象に残る作品です。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-06-19 00:07:52) (良:1票) |
15.《ネタバレ》 フランス映画を代表する二人の俳優、ジャン・ギャバンとフランソワーズ・アルヌールの「フレンチカンカン」コンビによる大人の恋愛映画です。人間の刹那さ、やるせなさ、哀しみ、そして人としてどう生きるべきか?この映画ではそういった要素が描かれています。フランス映画を見るといつも思うのは哀愁漂う雰囲気作りが本当に上手い。ハリウッド映画にはない独自の静けさ、悲しさみたいなものが素晴らしい音楽と心に染み入る。親子ほど歳の離れた二人が愛し合うという話そのものは古く感じるし、また派手さがない分、退屈に感じる人もいるかもしれないけれど、人間の深い愛情を本当に二人の好演によって見せる辺りはいかにもフランス映画です。ジャン・ギャバンの背中から感じる男の哀愁、そして、フランソワーズ・アルヌールの女性としての哀しみ、ラスト、霧の立ち込める中、トラックに乗って去っていくジャン・ギャバンが何とも言えない男の悲しさを表しているようで、本当に切なくてやるせないそんな映画として、いつまでも心に残りそうです。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2007-10-21 11:47:40) (良:1票) |
14.本当の意味での「やるせなさ」が説得力をもって描けた時代があった。いや、時代じゃないか。役者がよい。カメラワークが良い。饒舌でない語り口、静かに美しい男女、醜い道行き。「映画」を感じさせる映画。 【あにさきすR】さん 9点(2003-10-03 10:02:13) (良:1票) |
13.《ネタバレ》 「重要ではない人」という身もフタもない原題の本作。たしかにスーパーマンは登場しないし、奇跡も起こりません。しかし、その当たり前な感じがいい。楽しかったのはほんの一瞬で、あとはずっと苦しいのみ。仕事は辛いし、貧しいし、天気は悪いし、画面は終始どんよりしています。苛烈をきわめる長距離トラックの運転手という設定がまた、非常に今日的でリアルです。 で、最悪の結末を迎えるわけですが、ジャン・ギャバンが元のサヤに収まってサバサバしているところが、救いでもあり、薄情な印象も残します。結局、彼にとってヒロインが夢うつつの中で思い出す程度の「no importance」な存在でしかなかったとしたら、それはそれで哀しいですね。 ちなみに本作を邦画にリメイクした「道」という作品を大昔に見ました。仲代達矢と藤谷美和子の主演だったのですが、本サイトにも載っていないくらいなので、大コケしたのでしょう。たしかに何も覚えていません。しかしテーマ音楽だけすごく印象に残っています。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-01-21 03:02:24) |
12.《ネタバレ》 もっと切ない大人のラブロマンスを想像していたのですが・・・全体的に、演技がゴツゴツしていて、不倫という設定がもたらすはずの高揚感とか逸脱感が感じられないのです。したがって、平坦な印象になってしまいますし、悲劇的なはずの終幕も、予定調和に見えてしまいます。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-12-02 23:56:08) |
11.《ネタバレ》 昔のフランス映画は小難しい印象があったが、本作は大変わかりやすく容易に見れた。 現代は「取るに足りない人々」と言う意味だそうだが、まさにこのタイトルにふさわしく、 どこにでもあるような不倫のお話。でもその等身大の人たちを等身大に描いているからこそ感情移入ができますね。 彼女との馴れ初めはすごくあっさりしてんだけど、家族や妊娠後の展開はしっかりと描かれていて、 おっちゃんの切なさにヘッドライトが当てられております。 【あろえりーな】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-11-21 15:28:34) |
10.不倫の物語だが、それに合わせて上手くいかない人生の寂しさが初老の雰囲気と混じり合っている。 何度も観たいとは思わないが、記憶には残る映画。 【simple】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-11-18 12:07:25) |
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9.ずいぶんやるせない映画で心苦しくなりますが、登場人物がみんな人間臭いので救われます。 【ProPace】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-11-15 22:01:06) |
8.《ネタバレ》 文学的なメロドラマとでも申しましょうか、暗くて深い語り口調が印象的。しかし、妻や娘をあからさまに悪く描いているのは、いかがなものかと思います。そうでなければ、もっと悲哀が出ただろうに。ままならない世の中でなんとか生きようとしても、うまく行かない人生模様はよく描けていたと思います。しかし個人的には、もっと明るいお話が好みですねぇ。フランソワーズ・アルヌールはとってもきれいでした。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-12-28 20:05:33) |
7.《ネタバレ》 先の見えない霧の中を走り、気付いたら行き止まり・・・ 『道を間違えたらしい・・・』 このセリフ一言に全て集約されていると思う。 家庭のある中年男と若い女中の不倫の成れの果て・・・不倫なんて、そんなものと。 そんな中年男をジャン・ギャバン、若い女中をフランソワーズ・アルヌールが好演。 モノクロの中、人生の悲哀が良く描かれている名作だと思う。 それにしても主人公に近い年代の私にとっちゃ、娘ほどの年の差の女性との恋なんて羨ましい・・・と思いつつも、色々シミュレーションすると、妄想の中だけで悲哀を感じてしまう今日この頃です。 【ぐうたらパパ】さん [インターネット(字幕)] 8点(2014-07-05 14:17:13) |
6.《ネタバレ》 ギャバンは相変わらずシブイし、哀愁漂う感じがたまりません。ま、内容的にはあまり好きではない不倫のお話なのでアレなんですがね。フランス映画らしい独特の雰囲気はなかなかのものでゴザイマシタ 【Kaname】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-12-24 08:37:14) |
5.泥臭い中年男の哀愁と、暗い映像がやけに物悲しいメロドラマ。 不倫愛を題材にした内容ということで、お話自体に引き込まれるような魅力は覚えないが、 一番の見所はやっぱりジャン・ギャバンの渋くて重厚な演技。寡黙で家庭に安息を見出せない、 主人公の悲哀さをたっぷりと表現してくれている。陰のあるヒロイン役の女優さんも美しい。 "ヘッドライトは、二人の行く末をも照らしたか?"が、本作のキャッチフレーズかな。 フランス映画らしく、映像から伝わる雰囲気に情緒を感じさせる作品だった。 【MAHITO】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2012-07-28 07:11:09) |
4.《ネタバレ》 要するに不倫の話。 個人的には嫌いなテーマだ。 しかし、雰囲気作りがとても良い。 長距離トラック運転手の寂寥感と退廃的な雰囲気が哀しく、そして巧く描かれていて見事。 最後、トラックは道に迷い、田舎の袋小路に停車する。 そこでは妊娠中絶で瀕死の女性がトラックに乗っており、ジャン・ギャバンはふらふらと家の灯りを頼りに、救急車を呼ぼうと農家に向かう。 この時の何たる侘しさよ。 絶望感に包まれながら、ジャン・ギャバンは深い夜霧の中を彷徨い歩く。 こういった雰囲気作りはフランス映画特有の魅力が感じられたが、「不倫=破滅」という、どうにもならないテーマが個人的には合わなかった。 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2008-04-25 22:50:13) |
3.これはメロドラマです。 主人公はトラック運転手のおやじ、単調な仕事に明け暮れる毎日、帰る家は貧しく、家族は冷たい。 仕事中国道沿いの宿に寄ると、以前とは違う従業員。 その子は若くかわいく、何度も会う内に、2人は次第に大切に想い合う関係になる。 日々に疲れたおっさん(ギャバン)が女の子に惹かれるのはわかるが、逆は、無いだろうなと思う。それほどこのヒロイン、かわいらしいです。 原題は取るに足らない人々。というらしいが、なんともやるせないラストを観、邦題も悪くないと思う。 内容は今となってはありきたりだが、ギャバンの存在感が、他がかすむ程強いように感じた。名優だと知ってるからかな。 ヒロイン(女性)がただの彩りにすぎなかったり、良くも悪くも昔のフランス映画という感じ。 しかし私の中で、映画とはこういうイメージ。 観るのも悪くない と思う。 【祥子】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-09-13 12:50:56) |
2.若い時は悲しい恋に感じましたが、今は情けない恋に軽蔑の思いです。家族を幸せに出来ない男は彼女も幸せに出来ない事を知らしめてくれます。これは、男と女が本作とは逆の立場であったとしても言える事でしょう。 |
1.音楽がいい。バイオリンの震えるような旋律が、胸をしめつけてくる。「むせびなく」とはこういうのを言うのだろう。主人公の男の心は、死ぬまで喪失と孤独にむせびなき続けるに違いない。娘は親とは口もきかず、妻は生活に追われて夫に当たり散らし、仕事から疲れて帰ってきた男は話す力さえ失っている。彼が唯一自分の時間を生きるのは、ドライブイン?の娘との短い逢瀬だけだったのだが。映画を見ずとも、このテーマ音楽だけでも一度聞いてみてください。 【駆けてゆく雲】さん 8点(2004-01-25 14:58:26) |