634.《ネタバレ》 悔しいかな大好きな映画。ホロコーストをまじめに扱っていないと言ってお怒りになる人もいるのもわかりますが、この映画は歴史的事実を告発したり風化させないように後の世に伝えていく、というようなものではないと思うのです。深い霧の中から不意に現れる人骨の山、なんて表現をするくらいなんですから。もっともっと小さな想いを伝えるファンタジーだと思うのです。すごく小さいけれど、生きていくために絶対に必要な小さな幻想。それは、他の人から見たらただの嘘なのかもしれません。けれど、その嘘がつかの間でも人を笑わせてくれたり、楽しませてくれたり、生きていく事をあきらめるのを押しとどめてくれる。小さいけれど確かに前に進む力をくれる。”人生は美しい”。そんなタイトルです。でもこの映画は、人生は美しい、なんてちっとも言ってません。人生は残酷で、理不尽で、いびつに歪んでて、人間は時に醜くて、常に救いようがないほど愚かなもの、として物語の底に横たわっています。けれど、いや、だからこそ、”人生は美しいんだ!”ってたとえ何があろうと言い続ける勇気こそが、人を絶望の縁から引き上げてくれるんだ、たとえ自分自身が人生の美しさを信じていなくたって。世界の中心で愛を叫ぶ奴なんて信用できないけど、世界の真ん中になんにも無いのを知ってしまった後で、それでもなお笑って嘘を突き通そうとする勇気の中だけに、ほんとのことがあるんだろう、そんな風に思わせてくれた映画です。僕が必ず泣いてしまうのは、ベニーニが大雨の中階段で赤い布地を転がすシーンです。人生は美しくなんかない。でも、世界はほんの一瞬かもしれないけれど美しい時があるんだ、そう思わせてくれるすごく大好きなシーンです。 【am】さん 9点(2004-01-21 01:28:31) (良:5票) |
633.《ネタバレ》 ホロコーストという重い史実をコメディとして扱うという試みを勇気と評価するかそれとも軽薄と見るか。筆者は後者である。六百万人ものユダヤ民族が殺害された史実をここまで軽薄に扱えるものなのか。正直、ロベルト・ベニーニの蛮勇ぶりに驚いた。ナチスの強制収容所を当然のことながら体験したことのない戦後生まれ日本人である私には、この映画について「偽善だ」「史実と異なる」「実際の生存者がこの映画を観たらどう思うか」などと批判する資格は無い。しかしながらホロコーストに対するベニーニの認識があまりに浅はかという印象がどうしても拭えないのだ。ナチスの強制収容所において子供はガス室で真っ先に殺害されるか人体実験の道具にされる末路を迎えたという。それを「かくれんぼ」と言う感覚がどうにも理解できない。勘違いしている人が多いのだが、ナチス・ドイツはユダヤ人と「戦争」をしていたのではない。連合軍との戦争を遂行する傍らホロコーストという民族浄化を行っていたところにナチスの異常さがある。民族浄化=戦争ではないのだ。更に言えば民族浄化を戦争という手段でしか止めることができなかった史実。戦争には反対しても民族浄化には何も言わないという矛盾。果たしてこの映画は本当に感動作なのだろうか。 |
632.《ネタバレ》 再見。だから、どうせ「10点」だと思いながら見直してみたのだが、あらためて気づいたことが二つある。その1、ラストを知りつつ見ると、初見時にはダルかった前半のコメディパートがものすごくいい。その2、11点を献上できるなら、本作にこそあげたい。 【なたね】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2014-03-20 22:37:09) (良:3票) |
631.この映画大嫌い!軽~いノリにイラッッときてしまう。収容所にはあなた方親子だけが収容されてんじゃないのよ?周りの同じ辛い境遇の人達に迷惑かけてもいいの?あまりの自己主義に感動より怒りが勝るね!嘘は決して美しくありません!!辛い現実を受け止め、乗り越えようとしてる方がよっぽど美しいよ!! 【にう】さん [DVD(邦画)] 0点(2006-11-18 03:53:58) (良:2票)(笑:1票) |
630.世渡り上手な父親の妄想を描く舞台として絶滅収容所を利用するのは不適切だと思いました。子供も純真(?)なんでしょうか。気づくってば、普通! 【MEL】さん [DVD(字幕)] 1点(2006-05-07 03:38:40) (良:1票)(笑:2票) |
629.人類史上屈指の過ちをファンタジーにしてはいけない。 【anemone】さん 0点(2003-11-22 20:23:45) (良:3票) |
628.お調子者のロベルト・ベニーニは、コメディアン=俳優としてなら悪くないのだが、映画監督としては最悪を通り越して、とうとうネオナチにもできないことをしでかしてくれました。すべての間違いは、「アウシュヴィッツ」=絶滅収容所を、お涙頂戴の舞台に利用しようとしたこと。これまで「アウシュヴィッツ」に言及した映画は無数にあっても、これほどまでにデタラメで破廉恥でお粗末な描写は見たことがない。虐殺された死体の山を風呂屋のペンキ絵にしてしまったのは、もはや映画ではなく犯罪だ。早い話が、「アウシュヴィッツなんてただのウソ」。そう信じることが希望なのだね。まことに人生はすばらしい。ハイル・ヒトラー! こんなスキャンダルに拍手を送った感動依存症たちよ、「シンドラー」ですら忘却しようと決めたアカデミー賞よ、君たちに必要なのは映画などではない。恥を知れ! 【青人】さん 0点(2003-04-30 08:15:39) (良:1票) |
627.《ネタバレ》 ウソをつくことはいけないと思います。これは、僕も含めてですけど、他の皆さんも子供のころから、知らないうちに自然に学んできたことだと思います。この映画、父親グイドは、我が子を守るために、ウソをつきます。ジョズエは、父を尊敬して、素直に”ゲーム”のルールを守ろうとします。グイドは、一人でいるときは、ユダヤ人の迫害について、絶望を感じてしまいますが、愛息子ジョズエの前では、決して悲しい顔を見せない。現実の不幸から息子を守るグイドの姿、ウソの中にも、「絶対に信じちゃダメだ」など、さりげなく世間の厳しさを教え込むグイドの姿に、序盤、あんなヘラヘラしていた陽気なおじさんが、父親としての覚悟を立派に努めあげたことに涙が出ます。どうしようもない絶望を、父親グイドのウソをホントに変えた戦車がもたらした希望、そして父からの贈り物に感謝し、立派に成長したジョズエが語るラストに、感動してしまいました。理想の父親像ってのは、友達感覚だったり、厳格だったり、これだ、という理想像は一概に決められないと思います。共通して言えるのは、子供を一人前に立派に育て上げたいと願う、父親としての覚悟にあると思います。ウソをつくことはいけないことです。しかし僕は、この愛に溢れた”ウソつき父さん”の物語がとっても大好きです。 【どんぶり侍・剣道5級】さん [DVD(吹替)] 10点(2005-09-16 13:28:28) (良:2票) |
626.「ホロコーストをコメディにするなんて!」「時代考証がメチャクチャ!」こんな意見が多いようだが、それは野暮というものであろう。この映画はホロコースト自体を笑いものにしているわけでは決してないし、映画には常に正しい時代考証が求められるなら、歴史ものをあつかう映画は全て学術的なものになってしまう。この映画のテーマは、あくまで「どん底でも生きる望みを失わずにいること」なのではないだろうか。そして、それは充分伝わってきた。ただ、確かに前半部分はいくらか退屈で、もう少しコンパクトにまとめることもできたように思う。 【デューク】さん 9点(2004-06-29 22:09:47) (良:2票) |
625.評価できるのは前半のコメディ部分まで。ここはまあまだ見るに耐える代物ではあるけど、問題は親子共々強制収容所へと送られるところからガラガラガラと崩れ去っていく。「極限の状況下でも希望を持つ事はこれほど大事だ」「親とはこういう状況でも愛する子供を守るものだ」って言いたい事は判らんでもないけども、かといってこれほどにも重大な惨事をこんなコメディに使うってのは、やっちゃあいけない事だよ。『そう云うことを考えるのはナンセンス」「映画はフィクションなんだから、その中でくらい現実味がなくても良いじゃないか」という意見が出そうだが、それじゃあ自分が体験した悲惨な事をこんな形で描かれたら、果たしてどうだろう。残念ながらそこら辺の思慮があんたにゃ欠けているようだよ、ベニーニさんよ!Arrivederci!(さよならだ!) |
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624.陰惨な歴史的事実というものは、こうして軽く描かれて風化していくんだな、というのが最大の印象。時代への警鐘の意味も込めて、この点数。 【眉山】さん 0点(2004-01-07 15:49:21) (良:1票)(笑:1票) |
623.《ネタバレ》 本っっっ当に”あざとい”なぁ~ベニーニ。こういう絵空事の泣かせまっせストーリーを描きたいなら、アウシュヴィッツなんて途方も無く歴史的重みのある現実の地名なんか迂闊に出すなよ。マルクス兄弟が「我輩はカモである」でフリードニア、チャップリンが「独裁者」でトメニアと敢えて架空の国を設定しながらも現実のナチスを笑いに包んで批判してのけた秀抜な手本があるにも拘わらず、だ。ホロコースト絡みで感動の名作にしたいのなら、もっと過去の偉大な諸作に学べ!4点。 【へちょちょ】さん 4点(2003-12-04 01:36:47) (良:2票) |
622.うまく作られてはいるので、途中シラけずに観ることができれば、最後感動できたのかも知れませんが、シラけてしまった私には無理でした。さすがにそこまでやっちゃウソ、という一線を超えてしまってて、ちょっとイライラ。幾ら何でも私はあそこまで前向きには生きられない。もはや前向きというよりは薄っぺらな感じ。それに、最後になって突然彼等に厳しい現実を突き付ける描き方も、アニメ『風が吹くとき』の後味の悪さを思い出しました。例えばね、サザエさん一家が何の脈絡もなく戦争で虐殺される映画作りゃあ、間違いなくショッキングな反戦映画になりますよ、でもそれは著しくバランスを欠いた姑息な手段で、不快感しか残らない。本作は、テーマ上の必然性があるから、そこまでヒドくはないですが・・・。 【鱗歌】さん 6点(2003-09-14 11:04:53) (良:2票) |
621.この作品が公開された時、「ホロコーストを誤って伝えている」、といわれていましたが、今作は「偶然」負の時代に「恋愛をし」「結婚し」「子供が生まれた」「愛情深い父親」が主体であり、ホロコーストは世界観でのみ描かれています。「ホロコーストの伝え方」に疑問があれば、自ら進んで歴史を学べばすむ事です。映画一本見て「戦争を理解する」なんてこと自体、不可能なんですから・・・。今作は「どんな時でも、深い愛情を絶やす事無く、素晴らしい人生を・・・」のメッセージを感じる事ができる素晴らしい作品です。それだけは、間違いないと思います。 【sirou92】さん 10点(2003-08-14 18:15:11) (良:2票) |
620.《ネタバレ》 ~La Vita è Bella~人生は美しい。どんな生涯であっても、その人の捉え方、与え方次第なんだな。 息子ジョズエに優しい嘘を言い続けるグィド。ドーラと付き合っていた時からそうだった。人を楽しませる嘘。 空から鍵が降る、乾いた帽子に取り替えられるなど、種明かしをすれば『なぁんだ』ってなる。 映画では描かれていないけど、ドーラも後々、あれがどうして起きたか知るんだろうけど、起きたその瞬間に奇跡を感じることが、人生の美しさなのかもしれない。 それは収容所での優しい嘘にも言えて、映画では描かれてないけど、ジョズエも後々、あれがどうして起きたのか知ることになるだろう。 子供と老人が粛清された収容所で、本当に息子を隠し続けて生きられるのか?とかリアリティを追求されると、冷めてしまう人も出るかもしれないが、ホロコーストを後年に伝える手段として、この作品は例えるなら伝記や小説ではなく絵本のような作品だ。 若い子がこの作品をキッカケに、後々映画やドキュメンタリーなどで、なんでホロコーストが起きたのか知ればいい。興味があるなら。 今は戦中とかではないけど、コロナとか仕事とか色々大変みたいなんだけど、今日は何をしても良い休日で、いま私は素晴らしい映画を観て、こんな駄文をノンキに書いている。 もしかしたら後々「あの日あのとき、実はね…」『え!そうだったの?』なんて種明かしがあるかもしれない。 どんなカタチであれ、きっと人生は美しいんだな。 ところで、なぞなぞの答えは何だったんだろう? 【K&K】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-04-18 10:53:08) (良:1票) |
619.《ネタバレ》 感動させようとしないところが好感を持てます。前半のラブロマンスも日本人には結構抵抗あるかもしれないけど、ラテンのあのいい加減なノリも地球上にはあるということで。若干ご都合的だなと思うのはジョズエがガス室に送られずに生き延びるというところ。ああいう極限の状態だと自分の息子は殺されたのにという嫉妬でチクリが余裕であると思うので1点減点。うまいなと思うのは収容所解放後、連合軍の戦車が来たのを本当の賞品だとジョズエに思わせたところ。そして最後の感動の母との再会で「勝った」のセリフがゲームと戦争ですれちがっているところ。この伏線回収と落ちの2点のすばらしさで1点プラス。 【エリア加算】さん [地上波(吹替)] 7点(2021-02-06 22:07:12) (良:1票) |
618.10年以上前に観て凄く感動した映画(珍しく2、3度観ている)。 今回、改めて観なおした。映画の構成を気にしながら観たら、やはり作り方が上手いと思う。でも、以前感じたほどの感動は無かった。 自分が10年前とは違う感覚になっているのかもしれない、と認識できた映画だった。人生において同じ映画に常に同じ感想を持つわけではないのかも。 【simple】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-03-07 13:49:40) (良:1票) |
617.《ネタバレ》 物陰に連れ込まれて銃声が響いた時、まさかこの男に限って殺されるなんてことがあるとは思えなかった。それほど奇跡的なお話だった訳です。でも、ステキなお話だったと思います。 収容所の現実を踏まえると、フィクション色が強いストーリーです。以前に「縞模様のパジャマの少年」で、収容所で起こったことの脚色に否定的なレビューを書いたこともあります。でも、コチラはすんなりと観られました。本作のテーマが収容所の悲劇の描出では無いからです。収容所は、あくまで主人公の姿勢を描くための背景だったと思います。 映画的なご都合と偶然が連なり続けますが、そこに対してさほど嫌な気分にならない。むしろ、これくらいポジティブであれば、ホントに運が廻って来そうな気さえする。そう思わせるところが本作のパワーだと思います。性格的に、私には決して真似が出来ない態度だけど、ちょっと多めに喋ってみる気になります。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-07-30 03:40:41) (良:1票) |
616.《ネタバレ》 これはもう奇跡の映画としか言いようがありません。「吉本新喜劇」のような底抜けに明るいコメディから始まり、次第に時代のうねりのなかで悲劇の強制収容所へと舞台が変わるところの自然な見せ方にはびっくりさせられました。そして常に笑いを失わない父親の息子への小さな嘘が、どんどんと悲愴感を増していくのにそのギャグがどれもが高クオリティなのも素晴らしい。誰もが指摘しているだろうけど、あの髭軍曹の通訳のシーンにはやっぱり笑わせられました。そして、映画は笑いを失わないまま、とても悲劇的な最後へとなだれ込んでいく。もう、涙なくしては見れません。ロベルト・ベニーニのコメディアン魂が創りあげた、この奇跡の感動作をぜひ多くの人に観てもらいたいと切に願います。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 10点(2013-05-13 20:07:10) (良:1票) |
615.前半はまったくのコメディだが、後半はコメディの中にもユダヤ人迫害の悲惨さが滲み出てくる。戦争や迫害の悲惨さから息子を必死に守ろうとした父、息子は父が亡くなり戦争が終わって初めて父親の深い愛情を感じたことだろう。私も映画を見終わって涙が止まらなかった。 映画は前半はつまらなく感じていたが、後半一挙に盛り上がる。言葉が通じないことを逆手にとって、都合良く息子に話して聞かせる、そのおかしさがたまらなく良い。またそれが逆に、悲惨さの裏返しであることに気づかされた。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 9点(2011-10-18 08:53:49) (良:1票) |