2.《ネタバレ》 作曲家ロベルト・シューマンと妻クララの愛の物語は、結構有名であり、クラシック音楽ファンならずとも知っている人も多いのではないだろうか。この映画はロベルトとクララの出会いから始まり、彼女の父親から反対されながらも、裁判で結婚を勝ち取り、翌年交響曲第1番「春」を完成させるまでの10年間を描いている。その意味では史実に近く、パガニーニや親友メンデルスゾーンも登場するし、シューマンはもちろん彼以外の同世代の作曲家の有名な曲も、世界一流の演奏で聴くことができる。
ところで、クララの父親がどうして結婚に反対したかであるが、クララはその当時すでに超一流のピアニストであったのに対し、ロベルトは20歳過ぎてからクララの父親の弟子になった駆け出しの音楽家、やむをえなかったのではなかろうか。それにロベルトとクララは年齢が10歳も違い、初めてキスしたときクララはまだ16歳の少女だったはず。
史実と違うのは有名なピアノ協奏曲、この曲は結婚よりずっと後。
なお邦題の「哀愁のトロイメライ」はいかがなものか、原題の「春の交響曲」ではいけなかったのだろうか。