22.ひょっとして、映画というジャンルで「テーマ」は何か、という事を語るのはナンセンスなのかもしれないのだけれど、それを承知であえて書くと、この作品のテーマ、それは「果たして、人と人は分かり合えるのか」という事ではないだろうか?作品の冒頭ではストリップの馬鹿騒ぎの中に佇むフレディ(J・ニコルソン)と、その元妻が参加する遺族の集いとが交互に映される。これは、人と人との間にある、容易には埋められない「溝」を象徴しているように思える。娘を轢き殺した犯人に対する復讐を誓うフレディは遊び仲間にも、また同じ立場である筈の元妻にも理解されない。尚且つ自分に想いを寄せるストリッパーに対しても心を完全に開くことは出来ず、一人自閉的な孤独を抱えている。一方犯人のジョンもまた、友人にその心中を理解されてはいないし、彼の出所後に出来た恋人(ロビン・ライト)は彼に寄り添いながらも、彼を罪悪感から解放することが出来ない(ただ、彼がある意味フレディより救われているのは、彼には彼を無条件で愛し、受け止める存在―両親―がいるということである)。しかし、そんな被害者・加害者の関係にある二人はラスト、「亡くなった娘を悼む」という点で分かり合えたのではないだろうか?両者の関係は一般的ではない、極端なものだが、人と人とが「分かり合う」ためには、単なる思いやり・同情だけでなく時に暴力的であるような「格闘」も必要なのかもしれない。余談だが、戦争前イラクを訪れたショーン・ペンはその理由を問われ「イラクにも自分達と同じような人間がいて、同じように子供がいるという事をこの目で確かめたかった」という意味のことを語っていたと記憶している。ショーン・ペン、有言実行の男である。 【ぐるぐる】さん 9点(2004-05-06 18:37:16) (良:2票) |
21.ジャックニコルソン、ちょっと濃すぎるか。それはさておき、このショーンペン監督2作目は、彼の前作<傑作でもある>「インディアンランナー」と同一線上にある作品といえる。「兄は弟を追いながらそのことの意味を理解できない。弟は兄に追われながらその理由を失っている。」「インディアン~」のレビューで僕はこのように書いた。人が理由なく分り合えないという切実さを描いたのが「インディアン~」であれば、「クロッシング~」はその地平をさらに一歩進め、そして反転させ、そこからポジティブな回路を模索しているように思える。追う者と追われる者という図式は同じだが、双方にはそれぞれ、そうするための理由が存在する、加害者と被害者という明確な理由があり、それは、お互いが分かり合える足場を既に失っていることを意味するのだ。にもかかわらず、お互いがその「分かり合えなさ」に対する信憑すら持てず、失った足場の上空でもがきながらも理解への希望を捨てていないようにみえる。絶望的な立場を超えて、人と人はどうコミットし得るのか。いや、絶望的だからこそ、意味を求めてコミットする、その向こうに何があるのか。それは非常に難しいモチーフだ。この作品ではっきりとその答えが示されているとは言えないし、作品自体も1作目に比べて散漫な印象がある。ただ、目指すべきところには大いに共感できるし、正直、ぐっときたんだなぁ。この監督、やっぱり只者ではない。ショーンペンは今後も注目すべき監督であることは間違いないだろうね。 【onomichi】さん 9点(2003-10-09 23:55:34) (良:2票) |
20.被害者の苦悩と加害者の苦悩をどちらか選べと言われたら、昔は絶対被害者の苦悩を選んだ。加害者の非難を浴びながらも一生罪を背負う苦悩など、私には絶えられないと思ったから。でも娘が生まれて変わった。娘を奪われるくらいなら、加害者を選ぶ。この映画は娯楽として第三者的に見れば全く面白くないが、感情移入できればググッとくるものがあります。日ごろから車の運転をし、小さい娘もいる私はそれが出きる。それから私の場合、兄が3歳で交通事故で亡くなっているということもあり、この手の作品を真面目に作られていることにまず敬意を表したい。ロビン・ライトの存在は生への執着の対象として重要な役どころなのだが、そのあたりの描写が駆け足で描かれており残念な部分。被害者夫婦の葛藤は壮絶で、ささえ合うことの重要性を見た。 【R&A】さん 7点(2004-03-09 11:58:47) (良:1票) |
19.「お父さんがきたよ」に涙 ダーーーーーー。です。 |
18.こういう映画を本当に「美しい」というのだ。幼い娘を飲酒運転でひき殺した男が、その復讐を果たそうとする父親(ジャック・ニコルソン)に言う。「事故の直後、その子はこう言ったんだ。『私が悪かっったんです。おじさん、ごめんなさい』と。…」こういう台詞に何も感じない人間は、映画はもちろん、人生からも見放されているに違いない。『アバウト・シュミット』のジャック・ニコルソンを”準備”したのはこの映画だったことが、あらためて思い知らされる傑作。ショーン・ペンは、役者として以上に圧倒的にすぐれた「映画作家」として、アメリカ映画の偉大な精神を継承しつつある。 【やましんの巻】さん 9点(2003-09-29 15:57:41) (良:1票) |
17.ジャック・ニコルソンの百面相は流石の名優振りではありましたが、現実離れが過ぎる喪失感に白けたまま観終わりました。 |
16.ストーリーも良かったですし、とにかくジャック・ニコルソンのシーンが多く、彼の演技を楽しみました。ラストはやっと2人が救われた感があり良かったです。ショーン・ペンは映像作家としても素晴らしいですね。 【みるちゃん】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2022-05-01 12:17:59) |
15.《ネタバレ》 いざ、5年待って いざ、やつを目の前にしながら、銃を向ける前のズッコケやら いざ、銃を向けてからの『チクショー 弾が入ってねえや』だとか そんなグタグタ感がギャグなのかと思ってしまい、重たい空気やら緊張感とやらが一瞬にして吹っ飛んだ。でもそれは良い方面に転んだと思える。そして持ってきた最後の追いかけっこのダラダラ感。まあとにかく二人してグタグタなんだが実はそこ、このシーンこそ名シーンだったと思ってよいのじゃないかと思える。体が重くて走りが不得手そうな中年男のけして見映えはよくない哀れな逃げ姿、そしてその男を千鳥足で息を切らしながら追いかけてくるジョーカーのようなシャイニングのようなジャック・ニコルソン。もうダラダラなんだがそこに逃げる者と追う者の決して足を止める事が出来ない事情とへべれけながらも必死な形相がすごくよく撮れていたかと思います。そしてそこに時間を割いた監督ショーン・ペン。ラストショットに選んだ場所が最高の場所であったし、《許し》と《和解》にみえたラストにホッとした。 【3737】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-04-09 20:18:41) |
14.《ネタバレ》 交通事故で娘を亡くした父親が、出所した加害者の命を狙うという、どうやっても面白くなりそうな最高の題材なのですが、これが何とも言えない中途半端な出来でガッカリさせられました。まず、キャスティングがいい加減すぎます。娘を交通事故で亡くした父親役がジャック・ニコルソン、母親役がアンジェリカ・ヒューストンなのですが、二人とも歳をとりすぎておじいちゃん、おばあちゃんにしか見えません。また、ニコルソンがヒューストンに向かって「君は相変わらず綺麗だ」と言う場面があるのですが、ここでもまた混乱。ヒューストンは美人扱いを受けるタイプの女優さんではないので、これがどういう意図をもった発言だったのかを直感的に理解できないのです。映画の序盤では、誰が何のことを話しているのかがサッパリ分からないほど混乱しました。若い俳優が演じるべき役柄に無理やりジャック・ニコルソンを当ててしまい、そのニコルソンとのバランスをとるために他の出演者の年齢層も上がっていった結果として、上記のような混乱が発生したのではないかと思います。。。 映画全体としても、バイオレンスにも人間ドラマにも振れていない中途半端な内容で、イマイチ感情が乗りませんでした。例えば、ラストの追いかけっこ。この場面は中年親父の悲哀を出すためにあえて鈍重に、滑稽に撮られているのですが、これが笑えるわけでもなければ涙を誘うわけでもなく、どういう心境で見ればいいのかを掴みかねました。本作は万事がこの調子で、あえて外した演出をしたはいいものの、その意図がうまく観客の心情に届かずもどかしいことになっています。その後、『プレッジ』『イントゥ・ザ・ワイルド』で素晴らしい手腕を披露するショーン・ペンも、本作の制作時点では映画という媒体をうまく使いこなす術を持っていなかったようです。。。 最後に、ブルーレイのジャケットに書かれた「サスペンスに満ちたアクションスリラー」という一文は一体何なのでしょうか。ジャック・ニコルソンとデビッド・モース共演の復讐アクションと聞けば、たいていの映画ファンはあらぬ期待を抱くでしょう。作品の本質から乖離したこの宣伝文句は、もはや詐欺的とも言えます。 【ザ・チャンバラ】さん [ブルーレイ(吹替)] 4点(2013-06-22 01:52:19) |
13.《ネタバレ》 デヴィッド・モースがいい役してますなぁ。彼ってガタイがいいのに優しい顔が出来る結構珍しい俳優さん、ショーン・ペンが好きそうな過去に闇を持つ役柄を彼に演じさせるとかほんとキャスティングが素晴らしい。とまぁその辺はよかったのに見た目がいかついジャック・ニコルソンが娘を殺された復讐を狙ってるっていう設定は分かるんだけどちょいと荒れすぎ感が強いんでそこまで感情移入はできませんでした。せっかく犯人と共に亡くなった娘の墓の前で「和解」し、今までの自分を後悔してキズを治したのにいらんことをしちゃったお陰で今度はフレディが逆に警察に捕まっちゃうんだしなぁ~とか思いながら。 |
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12.《ネタバレ》 最初「クロッシング・ガード」という意味が解らなかったんですけど、日本で言えば交通指導員、通称「みどりのおばさん」のこと。つまりこのタイトルは、本作のジャック・ニコルソンを心の安全地帯へと導いたデヴィッド・モースのことを指してたんですね。ところで、最初から全く普通の人に見えないニコルソンは、本作では明らかなミス・キャスト。この役は「イン・ザ・ベッドルーム」のトム・ウィルキンソンみたいな人でないと、普通の人が背負わされた悲劇に見えない。そんなこともあって、中々興味深いテーマではありましたけど、今一つ感動には至りませんでした、6点献上。 【sayzin】さん [DVD(字幕)] 6点(2005-06-20 00:38:56) |
11.ジャック・ニコルソンが生き生きとしてる、所謂はまり役であった。 【スルフィスタ】さん 7点(2004-11-30 00:25:44) |
10.子どもを亡くした親と、その子どもを殺してしまった男。双方が心に深いキズを負っている設定なのだが、ジャック・ニコルソンの自暴自棄っぷりに違和感を覚え、感情移入できずに引いてしまいました。 【tantan】さん 5点(2004-11-14 18:27:16) |
9.ショーン・ペンは好きなので2点。親友のジャック・ニコルソンに2点。作品的には読め読めな展開なので1点。 【ぷー太。】さん 5点(2004-08-27 23:06:24) |
8.本当に何もかもドン臭い作品だ。特にラストの追いかけっこのシーンなんてもうほんとに野暮ったい演出なんだよ……けどやっぱり号泣しちゃうんだよなぁ。 【ナクサライト】さん 9点(2004-02-06 07:35:35) |
7.思想的にかなり偏った描き方のようにも思うが、そこがショーン・ペンらしいといえばそうで、監督として彼の持ち味なのだと思う。ジャック・ニコルソンの存在感が高く、彼を尊敬してやまないペンだからこそ描き出せた悲哀に満ちたダンディズムがそこにある。 【鉄腕麗人】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2004-01-30 22:02:24) |
6.生きてる家族を省みず娘を轢き殺した犯人への復讐心に悶え苦しむニコルソンのオーバーアクションは、ただただ暑苦しかった。 【mimi】さん 4点(2003-11-08 21:25:50) |
5.加害者と被害者、1つの事故により前へ進めない両者がぶつかり合いやっと前へと動き出す。チョッとキレイ事過ぎやしませんかね。今までの時間は何だったのだろう。あと凌はナゼ?? 優作が泣いてるよ。 【亜流派 十五郎】さん 4点(2003-10-29 23:07:33) |
【ケンジ】さん 1点(2003-10-26 12:56:29) |
3.《ネタバレ》 娘を轢き殺された父親の心理的な部分を描写し、感動を誘うという映画なんだろうが、実話であろうが、ニコルソンの演技が上手かろうが、こんな退屈な映画じゃまったくおもしろくない。 展開もラストも簡単に読めてしまうのに、めっちゃダラダラしててテンポも悪い。 デヴィッド・モースは罪の意識で苦しんでいる役だったが、偽善者っぽく感じてしまったのは私だけ? 笑った部分は石橋凌の役がもさかったところ。 【アキラ】さん 1点(2003-10-26 00:11:44) |