295.《ネタバレ》 今や過去の遺物となりつつある電話ボックスを題材に取り上げたところまでは良かったのだけど、正直ハラハラドキドキするよりもずっとイライラしどおしでした。やはりチンピラプロモーターの人生再生物語とサスペンス映画の両方を一緒に描こうとしたのが間違い。前者をテーマにするなら真犯人はピザ屋さんで十分(下積み者を虫けらのように扱った報いという動機)。でも監督はそれじゃあ観客呼べないと思ったのか、真犯人とやらが最後に出てきたけど、あんた誰?どこにいたの?二人も殺して(ピザ屋と最初の用心棒)こんな手の込んだ仕掛けをしてチンピラを懲らしめる動機は何?など意味不明なことばかり。そうなると、最初に殺した用心棒男とコリンの胸のレーザービームは弾道が違うだろうとか、ビルの窓からブースの一帯を全て見渡せるのかとか、警察に包囲されたビルからピザ屋を殺した後どうやって真犯人は逃げたのか、など細かな矛盾までもが湧いてきてしまうのでした。人生再生のテーマは棄ててサスペンスに徹して、ターゲットをもっと大物で憎憎しい男にして、気の利いた落ちを一つ加えると、ずっと面白い作品になったと思うのだけど残念です。 【キムリン】さん 4点(2004-05-07 22:54:32) (良:3票) |
294.《ネタバレ》 ジャンルとしてはサスペンスなのですが、個人的には結構コメディ。 もちろんハラハラもするのですが、なんか笑えちゃう部分があって。 どこで笑えるのか? 一番のポイントは、主人公スチュの告白シーン。 犯人に命令され、奥さんとパム(浮気相手?)の前で、自分がしてきたことを泣きながら告白する。この情けなさがちょっと面白いです。 でも一番おかしかったのは、奥さんの対応。 『あなたが何をしても平気よ。』 まじか奥さん。かっこよすぎ。 同じく騙されていた浮気相手のパムはというと、泣きながら真実を話すスチュに感動して、ちょっと泣きそうになっています。 この茶番、もう最高に面白いです。 犯人がなんだかんだ言いながらも、無関係な人を殺さなければ、脚本の完成度の高さを絶賛できたのですが。 客引きの兄ちゃんとピザ屋殺しちゃうんだもんなー。 いくらでも、どうとでもできそうなシチュエーションなのに、どうにもできないように思わせる演出は上手かもしれません。 それに、いざと言うときに人間の本性が出ると言いますが、その本性を逆に『善良』に描くという発想は、何となく好感がもてます。 こーゆー限られた空間、限られた状況下でのシチュエーションサスペンスって面白いですよねー。 まあ蓋を開けてみれば、引退したプロの殺し屋の暇つぶしにつきあわされただけのような気もしますが。 でも面白かったので、ま、いいか。という感じです。 残念ながら、全体的に良作ではありますが、傑作とまではいかず。 多くを望まなければ、娯楽作品としては十分及第点でしょう。 【たきたて】さん [DVD(字幕)] 7点(2016-10-23 15:06:37) (良:2票) |
293.《ネタバレ》 この映画、途中まではものすんごく面白いんですよ。公衆電話を利用した演出にぐいぐい引き込まれます。でもね、ラストがなぁ。いきなり真犯人が出てきて「お前誰?」って感じですよ。なぜ主人公を狙ったのか?なぜピザ屋を犯人に仕立てたのか?理由があったのか?それとも単なる愉快犯で誰でも良かったのか?その辺が何にも説明されないまま終わっちゃった。「この映画では犯人が誰かということや動機は何かということは些細なことで、気にしちゃいけない。この映画が言いたかったことは、今までの生き方を顧みろ、ということだ」という解説を見たことがありますが、この映画はそんな崇高なことを言いたい映画じゃないですよ。エンターテイメントならエンターテイメントらしくちゃんと説明して観客をすっきりさせて帰さなきゃ。その辺が完璧なら8点だったのになぁ。 【MASS】さん [映画館(字幕)] 6点(2014-01-22 22:09:31) (良:2票) |
292.《ネタバレ》 終盤までのハラハラドキドキ感を見事に裏切ってくれました。 程度は関係なく、とにかく目に付いた『悪い人間』を脅して更生させるチャンスを与え、従えば釈放、断れば射殺する。 終盤トリックを見破り警察が突入するが、主人公の懺悔は終了し、犯人も自殺して万事解決・・・・と思いきや生きていました(しかも赤の他人)。と素人でも使わない様なオチを持ってこられ台無し。どうせなら主人公の付き人をやっていた若者(下調べで雇われているふりをしていた)を犯人とかの方がマシだったんじゃない? 犯人も主人公とのやり取りの間に2人殺しており、少なくとも一人に関しては悪人でもなさそう(悪く見ても町のチンピラ)だし更生のチャンスも与えず殺しており、行動目的と行動内容に大きなギャップを感じた。 犯人の位置特定も、電話ボックスは逆探知防止システムを使っているのに、事件直前に主人公の奥さんに電話した際は使用せず位置がバレてしまう上、意図的にお行ったわけでもなさそうなので作中のシリアスな雰囲気に水を差されゲンナリ。 総評 最終盤からオチに掛けての出来がそれまで積み上げてきた全てを台無しにしてしまった。 電話ボックスを使ったアイディアと大事を介して小心者の主人公を改心させると言う構成は悪くないが、そう言った事を強要する犯人の設定とオチに関する良いネタが思いつかずやっつけで台無しに。 【ムラン】さん [ブルーレイ(吹替)] 3点(2013-05-08 21:38:00) (良:2票) |
291.正体も動機も不明の敵に理不尽に狙われる。状況は全く違いますが、僕はスピルバーグの「激突!」を思い出しながら見ていました。移動する「激突!」と全く移動しない本作。逃げることによる追いつ追われつ、逃げられないことにより追いつめられる本作。どちらにもその利点を活かした面白さがあります。ラストがスッキリといかなかったですが、それでもなかなか楽しめた不条理サスペンスでした。 【とらや】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-08-29 21:27:54) (良:2票) |
290.《ネタバレ》 ある種思いつきでスタートした企画モノのようなノリだけど ギューッと濃縮された中身とこれまた「濃ゆい」コリンのキャスティングが大成功した一作 チャラい男っぽいイメージのコリン そこまで思ってなかったけど ほぼ全編に渡っての一人舞台 は俳優としてのレベルの高さを証明しましたね キィファーはあえて声だけにして警官・奥さん・彼女を地味目なキャスティングにしたのもナイス 視点がぶれずコリンに集中できる状況を造った脚本もナイス 81分というものすごく短い時間もナイス 長けりゃいいってもんじゃないとある意味挑戦状を叩き付けてるかのよう 実験的で斬新な電話ボックス密室劇 なかなかお見事でゴザイマシタ 【Kaname】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2012-07-23 08:44:03) (良:2票) |
289.《ネタバレ》 面白い。おすすめです。 短編小説のように詳述をさけ、一時間ちょっとの間に、ギュッと詰まったサスペンスをさあどうぞと提供してくれるのはとても便利ですね。よくできてます。 電話から出られなくなってからの小競り合いや、顛末までの流れもちょうど良いストレスを与えてくれるので、ラストのどんでん返しには参りましたね。こういうぼかし方があるかと。 真犯人の犯人像というものを想像すると、単に無関係というのではなく、最後の電話ボックスを盗聴することが日常であった男が、たまたま標的にしたということなんでしょう。その電話ボックスの利用者は、その網に掛かったら徹底的にマークされ、長い時間を掛けて狩られます。 この男のやっていることは要するに、自分だけに通用する正義なんでしょうが、そのテロリズムに付け狙われるヴァルネラビリティをその電話ボックスでたまたま披露してしまった主人公の運の悪さと、観客と犯人だけが真犯人を知っているが、永遠に生殺与奪のチャンスを窺われる気持ちの悪さという後味というのがまた良いのです。 【黒猫クック】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2009-11-24 14:29:27) (良:2票) |
288.《ネタバレ》 とても見やすくて見ている間もどうなるのかドキドキしながら見れました。コリン・ファレル演じるいい加減な男性が謎の脅迫者によってどんどん不利な方向へ追い詰められ、やがていい加減な自分の日頃の行動を悔い改め懺悔することによって、もう一度人生をやり直すチャンスをもらえることになるというオチまで、テンションが下がることなく一気に見せるところがとても魅力的だとおもいます。コリン・ファレルの実生活も噂によるとこの映画に出てくる主人公のように女性にだらしがないようなので、一度は本当に電話ボックスに閉じ込めてあげた方が良さそうですね(笑) 【はがっち】さん 7点(2004-05-03 18:35:17) (笑:2票) |
287.《ネタバレ》 最初の鑑賞時、急に仕事で呼ばれ、ラスト10分を見逃してしまった。―何と言う失態!―というのも、観た方ならお分かりであろう、斬新な映像実験をきっちり90分以内に収めてきたこの映画の、ジ・エンドに向けて加速するスピードに勝負をかけたこの映画の、ラスト10分の「欠かざるべき度」の高さたるや、ユージュアル・サスペクツにおける「あの人」の独白の「クライマックス度」に比するものがあるのだ……。しかし、告白しよう、この「おあずけ」状態の苦しくも何と甘美であったことか!正直な話、ラストを見てしまった今より、想像のつかぬ結末の存在にヤキモキしたこの一週間の方が、ずっとこの映画の魅力を享受できていたように思う。あたかも、銃口を向けられ座ることも立つこともままならなくなった主人公の焦燥感を疑似体験したような、この「おあずけ」状態。下記の一連のレビューを読み、ラストに不満が残ることを危惧される未鑑賞の方には、この「寸止め鑑賞」をお勧めしたい。もしかしたらもしかすると、主人公のように人格すら変えらる衝撃が貴方を襲うかも知れない(ただし、単に欲求不満が爆発するという末路も安易に想像されますので、ご注意下さい)。 【中山家】さん 8点(2004-01-30 08:32:55) (笑:2票) |
286.携帯電話では決して成立し得ない、昨今では珍しい“公衆電話ボックス”という小さな小さな空間から、やがてこの作品世界は際限なくグローバルに広がっていくという、今までにない独自性をまず感じさせられる。無差別犯罪のターゲットにされ、極限状態に追い詰められた男の恐怖を描く本作は、まさに監督J・シューマカーの得意分野でもある。で、およそ映画的スケール感とは無縁の限定された世界の話であり、しかもプロットは極めてシンプルなだけに誤魔化しが効かず、より演出の緻密さが要求される。そういう意味においては、小品だが彼の本領が存分に発揮された佳作となっている。とりわけ分割画面の効果を最大限に生かしている点などは、上映時間の短縮には実に有効だったと思う。また、F・ウィティカー演じる警部を機知に富んだ聡明な人物として配置するなど、バランス感覚にも細やかな配慮がなされている。しかしそれも、全編のほとんどを一人芝居で演じきったC・ファレルの的確な演技があってこそ。世の中はすべて金!といった傲慢で世渡り上手な面がある一方、脅迫で自身の人間性を曝け出すような弱さも併せ持っているという、この何処にでもいるような男=スチュを演じて見応え十分。ただ警察より一枚も二枚もうわ手で、すべてが計算ずくで、ゲームを楽しんでいるような犯人の動機や真の目的が謎である以上、ラストにチラッと姿を見せたのはやはり間違いで、謎は謎のままにしておいたほうが、より不気味さが出たように思う。 【ドラえもん】さん 8点(2003-12-17 17:02:37) (良:2票) |
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285.「オメェ、なんとかせんかいっ!」とハリセン持って駆けつけたくなる主人公泥沼系一人芝居。たまたま鳴っている公衆電話に出てしまったら、電話の向こうから不気味な声が、「切ったら殺す」ですもんね。かような事情で公衆電話ボックスから出られなくなってしまった主人公が繰り広げる緊迫の81分。この短さ、メインキャラがたった1人の密室劇としてはギリギリのところだと思いますが、こういう映画をハリウッドで、しかも監督ジョエル・シューマカーでやっちゃう時代が遂に来たんだナ~と感動しました。無駄にスターが大勢出て来て無駄に爆薬がばんばん吹っ飛び、無駄に長い映画をさんざん見せられた後にこういう映画は新鮮です。面白いと思います。非常に実験的で、なんかやたらインディーズのニオイが漂うんですが監督はジョエル・シューマカーで主演はコリン・ファレルです。この組み合わせが新しいです。人間が集中していられるのは大脳生理学的に見てきっかり90分。だから昔の映画には傑作が多い。この映画は私のようなばかでもちゃんと集中して最後まで観れます。拍手喝采。願わくばディレクターズカット160分バージョンなんか公開されませんように。キチンと整理すれば短くできるのよ。誰とは言わないけど最近3時間以上の映画撮った監督たちはコレを観て思いっきり反省するべき。ビューティフル。 【anemone】さん 9点(2003-12-07 22:14:46) (良:2票) |
284.《ネタバレ》 うーーーん。って感じ。 設定からして、もっと面白く料理出来たろうになぁ。という感じ。 あの、含みを残したラストのために話が広げられなかったのだとしたら、本末転倒と言うか。 狙いとしてる部分は理解できるのだけど、 なんで、主人公そして妻は、犯人に心当たりが、あそこまでない状態で、犯人は主人公夫婦のことをあそこまで知り得ていたのか?という疑問。 ストーカーもプロフェッショナルとまで、なると自分の存在も知らせずあそこまでできるのだろうか?そもそもストーカーかどうかも触れられてないし。 あそこまで事態が転がったら「真犯人こいつだったのかよー!うへーー!!」みたいなオチの方が良いと思う。あんな「いつでも俺はお前を殺せるんだぜ」的なラストを付けられてもこのストーリー展開でゾッとする客なんて居るのか?? からくりが思いつかなかった「逃げ」としか思えん。 そして、この茶番に無関係の人間が二人も殺されてるし。 設定ありきで浅い脚本という感じかな。 尺の短さからして、綺麗にまとめたと思いきや、この内容なら120分フルラウンドで戦えよ、って感じ。 【バニーボーイ】さん [DVD(吹替)] 3点(2013-03-17 19:01:59) (良:1票) |
283.《ネタバレ》 や、面白かったです。80分の短さで、きりりとやりたいことやった感じ。不条理型の攻撃者は絶対的に強くないとイケナイのだけど、こいつも及第点。正体不明&高層ビルからの攻撃って圧倒的に有利だぁ。うーん不条理だ。追い詰められる主人公が自分の内面と向き合うことになって妻に告白するシーン、人が必死に訴える姿というのは周りの人間にもきちんと伝わるもので、警察も野次馬もそして観客の私もちょっと「しん」、となったりするのでした。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-12-27 01:47:26) (良:1票) |
282.《ネタバレ》 冒頭、スカした主人公。あったま良くって、二枚目で。舌先三寸、向かうところオレにかなうモノなしって感じ、っすか?真実を叫ぶシーンすら、薄っぺらい。これだけ、同情できない被害者もない。もっと酷い目にあえば良かったのに、と思っているオレは、いま、あんまり良くないかもしれない。 【なたね】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-04-25 13:29:30) (良:1票) |
281.《ネタバレ》 コリン・ファレルが欧米でイケメン扱いなのがどうにもこうにも納得できなかったのだがこれ見てちょっとイケメンの片鱗を見出した。ちょっとだけ。特典映像のメイキングを見てわぁすげぇなと思ったのが、長台詞一発撮りのあのシーン、スタッフのあんな棒読みのセリフに合わせてあの演技を叩き出していたのか、と。役者ってすごいなぁ。犯人の扱いは最後まで「激突」よろしくな感じで、一応ストーリーも破綻してないし、「新しい密室モノ」という謳いはまぁ確かに、なのですが、いかんせん狙われる動機がみっともないよね。愉快犯すぎるだろ。 【らいぜん】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-06-07 14:55:14) (良:1票) |
280.《ネタバレ》 興味を惹き付けるシチュエーションと、テンポ良く進む物語。あれよあれよという間に事件に引き込まれていきます。ただ、冷静になってみると結構粗い。パッと見はイイけど、結構安普請だったりします。蜘蛛の糸に絡み取られていくような恐怖を感じたいところですが、そうでもない。何度でも電話を切るチャンスがありました。自分なら絶対切っている。そう思えるということは、ご都合主義があるということ。銃で狙われていることが判明する前の段階で、もう一つ主人公が電話を切れない仕掛けが欲しいと思いました。生還の方法もあっけない。真犯人の大オチに至っては、オマケみたいなもの。伏線が無いから驚きもない。脚本はまだ練り込めたと思います。ただ、サラッと楽しむ分には十分な出来です。 【目隠シスト】さん [DVD(字幕)] 6点(2008-03-14 22:44:17) (良:1票) |
279.《ネタバレ》 電話ボックスで1時間半持たせたのはさすが。よくこんな題材思いついたもんだ。発想についてはある意味「CUBE」並。身近なものでうまく仕上げている。 ただもっとコリンに反撃に出て欲しかったかな。あれじゃやられっぱなしだし。24見てないから最後は「コイツ誰???」だし。 【θ】さん [DVD(吹替)] 9点(2006-12-30 20:39:03) (良:1票) |
278.あの空間だけで1時間半(実質1時間弱)飽きる事なく展開していったのは面白かった。こりんの困った顔に警官ももっと早く気づいてあげろよって話ですが、まぁストーリーを盛り上げるためって事ですよね。しかし改めてこりんの眉毛力の強さに驚かされました。眉毛で演技ができる珍しい俳優ですね。 【亜空間】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-12-02 21:13:17) (笑:1票) |
277.おもしろかったです。この映画、舞台はニューヨークの公衆電話ということになっていますが、ロサンゼルスで撮影をしたそうですね。ものすごくニューヨークニューヨークしてるので全然わかりませんでした。この犯人、別段スチュに恨みがあったわけでもなんでもないのでしょう。無作為に選ばれたスチュはいたってフツーの人。その彼が恥も外聞もかなぐり捨てて命乞いをする…それを笑って見てる犯人はかなり変態。この映画、コリン・ファレルよりキーファー・サザーランドのギャラの方が多かったら、イヤだな~~~ 【ふぉんだ】さん [DVD(吹替)] 7点(2006-05-24 14:50:18) (笑:1票) |
276.映画としてはたいしたコトなくても、エスねこ的には高い点をつけなきゃならん作品というのがありまして、これなんかはそう、ド真ん中ストレートな「変格」映画ですな。なんかポール・オースターのスッカスカな純文小説をアクション満載で映画化したみたいな感じ。コリン・眉毛・ファレルの演技力で80分保たせ続けるのはチト厳しかったとは思うけれど、フォレスト・お人好し・ウィテカーの演技もいつも通りで飽きるんだけど、そのあたりは監督も犯人も先刻ご承知、いろいろ先手を打ってオイラをハラハラさせ続けてくれました。 この映画は(売り文句とは違って)各キャラのパワーバランスを楽しむ群像劇なので、演技はスタニスラフスキー・システムがよく似合う。役作りが全てと言っていいかも。その意味での本作の見所はエキストラの表情です。普通はエキストラって、ただ引っ張ってこられてバックで歩いてるだけの群衆なワケですけど、この映画での群集は完全に事件にのめり込んでいる。メイキングを見て納得しましたが、コレってある種の擬似イベントとして撮影してるんですね。エキストラは当日撮影分のシナリオしか渡されず、しかも時間順に撮影されたため、全員が事件を実体験してるような一体感があります。観客の代わりにスクリーンに入り込み、事件の展開に呆然とする顔・顔・顔…。これに勝る画は滅多にありやせんぜ。映画好きより演劇好きの方が楽しめるような気がする、B級実験ムービーだったと思うのです。 【エスねこ】さん [DVD(吹替)] 8点(2006-03-15 19:14:24) (良:1票) |