17.《ネタバレ》 こういう作品って、ほんと評価しにくい。
見終えた後の気持ちの悪さといったらないし、やっぱり見終えた後に爽快感が残る映画が好きだし、ブサイクよりかわいいコが出ている映画の方が良い。
だけど、最初から最後まで緊張感を持って、時間を忘れて没頭できる映画ってのも、そうはない。
本作は、その両方を満たしている。
だからこそ、評価するのが難しい。
「文化住宅」なる汚らしいアパートで、共同生活を営む左翼運動に傾倒する若者たち。
その汚らしさ、猥雑さ、密閉感などがとてもリアルで、臨場感たっぷり。
ここでの生活が地味に描かれる前半部分が、ある意味、一番面白かったかも。
高度成長期の若者たちが、同じ思想信念を持って共同生活する様。
これは観ているだけで興味をそそられる。
高度成長期だからこそ、こんな生活が成り立つのであって、沈没し始めた現代の日本経済下においては、こういったあらゆる意味で自由な生活を実践するのは、極めて困難である。
後半に怒涛のごとく押し寄せる残虐シーンの数々は、噂どおりの凄惨さだった。
中でも、個人的に一番キタのは、アソコを切られてずっと口から泡ぶく出している男のシーン。
しかもそれだけでは解放されず、廃墟にまで連れていかれ、流し台みたいなところで缶詰をむさぼり食うシーンなんかは、ほんとに気持ちが悪くなった。
しかも、最後もまた泡ぶくを口から出すし(苦笑)。
女が一人出てくるが、これまた生理的嫌悪感を刺激する、きわめて悪質なキャラと外見。
男なら、こんな女を見ているだけでも、ヘドが出るだろう。
卒業制作でここまでリアルに作ったのは見事である。
だけど、大学生活の最後に、こんな気分の悪い映画を作って卒業はしたくないもんだ。
いずれにしても、「日本映画史に残るグロ映画」であろうことだけは間違いない。
(P.S.)
昨日の土曜日に『女優霊』、そして本日、日曜日は『鬼畜大宴会』と、明日からの活力を見事に奪われた。なので、お口直しに、中野裕之監督の『SF Short Films』の中の一編、「Slow is Beautiful」を観てから床に着きました。