184.淡々と進むストーリーにここまで感情を揺さぶられるとは良い意味で予想を裏切られた。ヒロインの子ども達が年代的に自分の子に重なることもあって、とにかく泣けて泣けて。端から見れば貧しく悲惨な家庭環境であっても、愛する家族を得てささやかな幸せを享受できることが、なんと有り難いことか。思わず自分自身の現況を省みて、この先失う可能性のあるものの大きさに愕然とした。逃れられない運命を受け入れるべく、自分に正直に向き合い、メソメソと惨めに死なない為に精一杯のリストを作り、それをたった一人で遂行していくアンの強さに感動した。私が彼女なら、一人で死んでいく孤独に耐えきれず周りの人間を巻き込んでしまうだろう。そして自分がいない未来に目を向ける余裕などないまま、今の幸せにしがみついて残された時間の短さを嘆いて過ごすのだろうが、それは残される人々を苦しめることでもある。愛する人が余命幾ばくもないと知ったとき、残される者は凄まじい無力感に苛まれることだろう。だからこそ、誰に甘えることなく自力で己の人生を全うさせようとする彼女の潔さは、尊敬に値するものと思える。不倫を責める声も多いようだが、私は死に臨んで自分に正直であることは潔くて良いと思う。アンの夫への愛情の深さはきちんと描かれていたし、残される家族の幸せを願い、そこに自分が居ない運命を受け入れた若きアンにそれぐらいのご褒美はあげたい。 【lady wolf】さん [映画館(字幕)] 10点(2005-01-30 10:50:15) (良:6票) |
183.《ネタバレ》 この映画を「観よう」と思う人は、きっと世の中にそう多くはないだろうし、感情移入できる人もそんなに多くはないだろう。未婚の男の人は、まず、見ようと思わないだろうし、キャリアウーマンの人も見ないかも。マトリックスとかハリーポッターとかみたいに、壮大な映画でもないし、賞もとらないだろうし、ごく普通の生活の中の、ごく小さなストーリーだ。だけど、「結婚してて」「主婦で」「娘(子ども)がいて」+「婦人科系の病気の経験がある(これはオプション)」という私には、ほんとにツボだった。はあ・・・・・っっ(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)お誕生日のテープのシーンでは号泣・・・(映画館だから声を出さずにね) 細かい事を言えば、そんなにうまく行く訳ないじゃん!と思うところもあるんだけど、すごく気持ちを重ねられた。 原題が「MY LIFE WITHOUT ME」って言うんだけど、ラストの方に、玉のれん(英語でなんて言うのかわかんない。もっとかわいい名前なんだろうけど)の向こう側で、みんなが食事をしているシーンを、こちら側のBedから、彼女が見ているシーンがあるの。それがすごく「MY LIFE WITHOUT ME」な感じを象徴しているように思えたなー。 【むぎむぎ♪】さん 9点(2003-10-30 21:29:13) (良:4票) |
182.《ネタバレ》 とてもグッとくる映画だった。この映画は一種のファンタジーだと思う。 彼女はまだ23歳の女性だ。17歳で子供ができ、まともな恋愛も経験していない2児の母親である。夫は失業しており、自身は夜勤パート。昼間は寝ていて夕方と朝に夫と子供に触れ合う生活。低所得居住の象徴たるトレーラー暮らし。母親も父親もそれぞれ別々の移民系で、父親は刑務所にいる。ただ、生活に追われながらもそれなりに充足する毎日。それが主人公のバックグラウンドとしての現実である。僕らはその現実を理解できるだろうか? 感情移入できるだろうか? それはそれとして、実はその現実そのものを描くようなシリアスな作品を作るのは容易いことだ。しかし、それは当然のことながら製作者の本意ではない。それと同じように彼女の死に至る過程、病状や告知、闘病生活を描くこと(いわゆる難病もの?)も本意ではないと僕は思う。 「私のいない私の生活」それが原題である。さて、私がいなくても私の生活があるのだろうか? それがこの映画のタイトルに込められた作品のテーマではないかな。その時の「私」とは一体誰のことだろうか? この作品の主人公の境遇は上記に述べた通りであるが、何故、彼女が主人公に選ばれたのだろう? この映画で印象的だったのは最初と最後のモノローグである。 人は死ぬ時にひとりであることを強烈に自覚するに違いない。私がひとりの私であること。孤独。普段、僕らは生活の中でいろいろな関係性を生きている。(それが人間というものだから) しかし、その関係性の中にいる自分という人間、「私」を疎かにしていないだろうか。孤独を感じたくないが故に「私」を見殺しにしていないだろうか。 「死ぬまでにしたい10のこと」というのは印象的なタイトルであるがそれほど重要なことのように僕には思えない。彼女は「私のいない私の生活」を想像し、それを生きる決意をすることにより、「私」を得たのだと思う。それは楽しいことではない、とても辛いことでもあるのだけど、その実感こそが、彼女の現実を価値あるものにしたのではないだろうか。 最後に、、、母親役のデボラ・ハリー。存在感がありました。そして、隣人のアン役のレオノール・ワトリング。すごく魅力的な人だと思ったら、『トーク・トゥ・ハー』の彼女だったのですね。ショートカットもよく似合います。 【onomichi】さん [DVD(字幕)] 10点(2008-03-06 02:07:48) (良:3票) |
181.《ネタバレ》 いいひとしか出てこないので泣けてしまってしょうがなかった。人生の最後を過ごす主人公にとっての最後の贈り物のように。もし自分だったら?と言われても子供もいないし主人公より歳くってるしもう想像を絶している。でも友達を見てるとほんと子供を育てるって大変。きっと自分のことなんて気をつかう暇がなくここまできちゃったんだろうなということは想像がつきます。だからこそ自分が死んだら残された人達が悲しむかな?とかではなくて、純粋に自分が愛した人達にどうなって欲しいかというささやかな希望とやりたくても出来なかったことをやりたいという自分の欲望に忠実で正直なリストにかなり好感がもてた。人間ってどこかしら周りを自分好みにしたいという欲望を誰しも持っていて、子供に口やかましく怒鳴ったり旦那にちくりといやみを言ったり、子供の結婚に反対したり・・・そういうことで生きている部分って実は大きいのじゃないかな。それも愛だったりして。そういうところを丁寧に描いているところもいい。それにしても自分がいなくなった世界を考えるってなんて寂しくつらいことだろうか。子供が成長した姿とか、愛する人が歳をとった姿とか見たくても見れないものがあるってつらい。誰に言ったらいいかわからないけど誰かなんとかして、どうにかならないものかな?という気持ちになります。だから時間って命って大切。それを若者らしく淡々と爽やかに演じた女優さんに拍手。 【momonoki】さん 9点(2004-04-27 17:47:56) (良:3票) |
180.《ネタバレ》 死とはすべてを失う事ではない。死を受け入れるからこそ見えてくる大切なものがあるはずだ。いざ死ぬからって、好き勝手な事をするというのは違うだろ。何故、家族を裏切ってまで他の男と寝る必要がある? 死に直面しているからこそ、守るべきは「魂の高潔さ」でなくてはならない。自分にとって本当に大切な人たちに対し、一切の「負い目」無く逝くこと。それこそが大切なはずだ。 本来は家族と共に自分の死と直面すべきなのに、最後まで家族には自分の死を知らせる事をしない。心の整理をする間もなく先立たれた家族の気持ちを考えてるのか? また、家族を大切に思っていながら、昨日今日出会った素性も分からない男を本気で愛してしまうという浅薄な思考形態。その夫や子供に対する裏切りを死によって正当化している主人公の欺瞞と未熟な精神性にはウンザリさせられる。 浮気相手の男も最初はクールに接していながら、結局「やっぱり君の事が好きなんだ~。離れられないよ~」と情けない泣き言を言う始末。みっともない。死に際した者に対する「一夜限りの関係」として自分の「役割」を認識していると思いきや、まるっきり分かってない体たらく。お互い本気で心を奪われてどうすんだ。 しかも、その「浮気相手との交流」をメインに描く気色の悪さ。あくまで「したい事」の一つとして「いっぺん死ぬ前に他の男とセックスしたかったのよね~。さ~て次は…」と、さらっと流すなら良い。だが浮気が本気になったら、それは「裏切り」と呼ぶものだ。やる事はやっといて、その行為を殊更に奇麗事のように描く醜悪さには我慢できない。心を裏切られ、死を共有する事もさせてもらえなかった夫の気持ちを考えると居たたまれない。私も最後のキスシーンには背筋が寒くなった。 最期にこんな生き方と死に方で本人は満足に逝けたのか?疚しい気持ちを持たずに死ねたのか?もっと他にやるべき事は無かったのか? 【FSS】さん [ビデオ(字幕)] 1点(2005-03-20 13:56:30) (良:2票) |
179.《ネタバレ》 観る前はタイトル負けしてないかどうかがすごく心配な映画でした。 原題は全然違うのに、日本のスタッフが余計なことをしてただ人の目を引くだけの邦題をつけたんじゃないだろうなとか、すごく疑りぶかくなりながら観始めましたが、 もうこれは素晴らしいものでした!初めて邦題をつけた人に「グッジョブ!」と心で叫びました(笑) 何が素晴らしいってまず、全ての人物一人ひとりにそれぞれの人情味のようなものがすごくわかりやすく描かれているところです。感情移入と言うとその人物を完全に理解してないと言えないようなことですが、オレはそれぞれの人物に部分的に感情移入できたと思います。 これを観た他の人も完全にじゃなくても理解できる所はあったんじゃないでしょうか。 主役のほうのアン(=サラ・ポーリー)の「死ぬまでにしたい10のこと」もとても共感できました。<旦那以外の男と寝る>という項目は当然ふざけんなという人も多いでしょうが、これ、ちゃんと英語で映画を観てると、<旦那以外の男と寝る>のあとに<それがどんなものか知りたい>って書いてあるんですよ。これと合わせて22歳というアンの若さを考えたとき、オレには共感できるものとなりました。 自分が好きな話を聞かせたいアンの母の気持ちもわかったし、監獄にいるアンの父がせめて自分にもできることをと、アンの子供の靴を作らせて欲しいというのもうなづけました。 もう一つの素晴らしい所として、映画の中での主人公アンの詩的な語りがすごく良かったと思います。映画が始まってすぐに、雨に打たれるアンとその淡々とした語りに引き込まれてしまいました。心身ともに、なんというのか、染みました。 あのゆきずりのにーちゃんはあの程度の扱いでちょうど良かったと思います。 だってなんかずうずうしい。コーヒーはともかくジャケットなんか人にあげたら絶対相手は申し訳なく思って返しに来るだろうし、「ジャケットは返しに来なくていい」なんていいながらしっかり電話番号を書いた本を相手の洗濯物に仕込むそのずうずうしさ。まあアンも勝手だとは思うが、そう言う点ではこの男も自業自得である。 作中にはなかったですが、家族にビーチに行ったりしてるシーンや、アンが死んだその後みたいなのももっと見たかったですね。 【TANTO】さん 10点(2004-09-25 22:07:53) (良:2票) |
178.《ネタバレ》 私が彼女の立場だったら、「夫以外の男とセックス」をリストに入れるかなと思った。でも、人それぞれだし、死に直面した人間の気持ちはわからないなと思った。また、「夫以外の男」と「自分の後釜」が身近でホイホイ見つかっちゃうので、うまくいきすぎて気持ちが引いた。原題のMy Life Without Meのとおり、自分の死後のお膳立てをしていくわけだが、残された人たちが彼女の計画・アドバイスに素直に従ってるのが「あり得ない」と思った。夫は、彼女を看病して死の恐怖を分かち合いたかったかもしれない。再婚せずに死んだ妻のことを思い続けたいかもしれない。死後のことは残された人たちの気持ちに任すべき。彼女の計画どおりにすることが、残された人たちにとっても幸せかどうかわからない。全部自分の思いどおりにしようとするのは自己満足では? そして、なぜ赤の他人である医者にあのような負担を強いるのだろう。また、死ぬ前に夫以外の男とセックスしたいという理由だけで彼女は付き合ったのに、相手は本気になってしまい、大きな哀しみを負ってしまった。娘たちへの毎年のメッセージは、うれしいかもしれないけど、ある意味負担になるかもしれない。自分がいかに満足いくかでなく、残された人たちがどんな気持ちになるかを考えてほしいと思った。「死ぬ前にスカイダイビングがしてみたい」とかいうちょっとバカバカしい希望をかなえるようなストーリーのほうが私は現実味を感じる。最後に、彼女が死ぬシーンは描かれていないが、どのように死んで行ったのかなと思った。ラストを見ると、彼女は自分が死ぬということを最期まで周囲に明かさなかったことになっている。末期のがんなのに、一緒に暮らす家族にそれが最期までバレないなんてあり得るのだろうか。ナースである隣人も気付かなかったのか? ひょっとしたら自然に死ぬ前に命を絶ったのかなあと思った。いろいろ考えさせられる映画だった。 【チョコレクター】さん 6点(2004-09-10 22:37:38) (良:2票) |
177.《ネタバレ》 激ボロ泣き。。自分で抱える彼女が強いのか、周囲の反応を恐れる彼女が弱いのか。実際こういう状況になればまずできないわ、若いのにえらいなぁ。彼女が取り乱したり、酷い病状に苦しむシーンはあまり出てこない。そんなことわかっているから私たちは見たくないのよ、この辺は女性監督だなぁと、感謝。また「いい人たち」しか出てこないのは、実際この人たちに対して’だけ’こう願っている、という意味なのではないかなあ。私はこういう出し方好きです(イヤな人たちのことはどうでもよくなるわよ、時間がないもの!)。彼女が挙げた10個のうち、「母」「娘」としての望みがささやかで泣ける~。問題は「女」としての望み・・お互いの家庭・身体へのトラブルがない限り、私はこの場合許したいなぁ。彼を好きになれてよかったね。(女性は、母・妻・娘である立場より「女」を優先してしまうイットキがあるのです。ダメ?甘い? でも男性なら・・でしょ!)。それから「妻」としての望みは・・実現してもそうでなくても彼女はいいと思っているんじゃないかなぁ、彼女をとりあえず安心させてくれた玉のれんさんに効果賞あげてほしいです(むぎむぎ♪さんに同感)。喋るレオノール・ワトリング(「トークトゥー~」強烈。お願い、これ以上ゴッツくならないで~)・喋るアマンダ・プラマー(「ガープ~」強烈。この人はゴッツい顔がいい)を見れました。私はウェイトレスさんがフツーすぎて大好き。労働する喜びさえをも教えてくれる涙作。若いママさんはかなり共感できるんじゃないかなぁ。 【かーすけ】さん 9点(2004-06-08 16:40:39) (良:2票) |
176.《ネタバレ》 思わず号泣してしまった作品。みなさんの投稿を見ると、ヒロインが浮気をするエピソードが好きじゃない、という意見も多いみたいだけど、私はそこが、この映画をより素晴らしいものにしている、と思った。死ぬまでに夫以外の誰かと、と思うヒロインの気持ちが私はとてもよくわかったし、死の宣告を受けてから夫とのシーンが少ないのは、或る程度の距離をとらないと決心がくずれてしまいそうなヒロインの心理の表れなのでは、と思った。映画を見た後、私だったら死ぬまでにどんな10のことをしようかな、などと考えてしまった。さりげない演出が、思い切り私のツボをつきました。 【ジャスミン】さん 10点(2003-12-23 04:30:04) (良:2票) |
175.《ネタバレ》 24歳な妻投稿。他者の死生観にあれこれ言う権利はないですし、現実にそういう人が周りにいても、私はその人の意志や価値観を尊重するよう努めるでしょう。でも映画は映画の中の主人公と映画を見ている観客という主人公がいて、それがある意味で一心同体になるものだと私は思っています。つまりこれは「私ならそうする」価値観で、その前提で書きたいと思います。■■■人が死ぬという事は「何でもしていい」と言えるほど重たいことではない・・・という事です。「死ぬまでにしたい10のこと」は余命宣告された人間の専売特許ではありません。人間は誰でも明日生きていられる保証はないんです。それなのに「何でもしていい」なんて言ったら社会秩序はなくなるし、倫理や愛や信頼もなくなると思います。この映画は何だかんだで「人間の命は愛や倫理よりも大事」と言っているんじゃないかと・・・。■■■じゃあ、私ならどう生きるべきか・・。知的障害者、AIDS患者、精神病者な私が「死ぬまでにしたい10のこと」を作るとしたら、「これが出来るまで死ねるか」という内容のものにします。だから旦那や友達に堂々と自慢できるような事にしたいです。 【はち-ご=】さん [DVD(吹替)] 4点(2009-01-24 19:58:49) (良:1票) |
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174.《ネタバレ》 主人公の不倫に、不満な意見が多いですね。裕福じゃないけど幸せな結婚生活。彼女はこの生活を守る為に無意識に我慢してきた事もたくさんあったんではないでしょうか。いつしか守りの生活を強いられてきた彼女。自分の死期を知り、彼女の中の押さえつけていた何かが崩れ、別の男性と恋に落ちてしまう。夫は男性ではなく家族なんです。彼女はもう一度家族ではない誰かと恋に落ちてみたかったのではないでしょうか。家族に対する愛はまた、別物だと思います。観てる間中何度も涙をぬぐいました。 【hinasakusu】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-06-29 16:54:00) (良:1票) |
173.人生まだまだこれからというときに突然、死を宣告されたら、そのときの、そして死ぬまでの行動って案外この映画のアンのようにジタバタしないものかもしれません。もちろん人それぞれだし、その人の今置かれている環境や立場、これまでどのような人生を送ってきたかによっても変わってくるだろう。でも少なくともアンはそうするだろう、と思わせてくれる。それはアンの家族との関係、生活ぶり、そして旦那以外の男を知らないだとか若くして結婚しているだとか普段は見せない不満だとかをきっちりと描いているから。しかも説明っぽくせずにさりげなく話の流れの中で描いているのがこの映画は素晴らしい。もう一つ大きいのはアンを演じたサラ・ポーリーの自然な演技。子供とじゃれあう姿、子供を嗜める姿がすごく自然で、けして感動を煽る過剰な愛情表現を見せない。だからこそアンならそうするだろうと。そしてだからこそ「死ぬまでにしたいこと」のリストの一番先に書かれた「娘達に毎日愛してると言う」が心に響くのです。 【R&A】さん 7点(2004-11-19 10:59:33) (良:1票) |
172.《ネタバレ》 出演俳優はサラ・ポーリーしか知らなかったし彼女の作品を見るのも初めて。どことなくスーザン・サランドンに似ている気がするサラ、母親はブロンディのあのデボラ・ハリーではないの、マリア・デ・メディロスが美容師になって登場するは、ダイエットおたくの友人はアマンダ・プラマーと驚きの連続という見始めでした。 とにかく設定の全てがなんと悲しいのか。アンの若さに泣けた。娘たちの幼さに泣けた。若い夫婦が貧しいけれど愛情いっぱいに暮らしているのに泣けた。そして死ぬまでにしておこうと書き出したことのほとんどがなんら特別なことではなく、日常普通にしていることなのが泣けた。告知されてからラストまでうるうるしながら見ていました。ラスト、残された人たちが新たな人生をスタートさせている様を見たとたん号泣。 若くして母親になり、夫しか知らず、貧しいトレーラー暮らしをグチらなくとも満足しているわけがない、彼女はまだ23才だもの。自分がこうなりたい、ああもしたいと望んでいたことを皆に託し、自分がそこにいない家族の光景を眺めながらひとり死んでいったアン、浮気に対して厳しいご意見もありますが、私的にはこの映画に関しては死を宣告された彼女の選択は完全に「有り」です。 語り継がれるようなことを成し得て死ぬ人もいますよ、それはそれで凄い。けれど変わり映えのしない平凡で退屈な日常もまた、どれほどの幸福であるかを思い知らされる映画でした。 【envy】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2004-09-01 09:49:25) (良:1票) |
171.《ネタバレ》 ぐうたら大学生を続けている僕にとって、同じ年代で2人のこどもを育てながら一生懸命に働いている主人公の姿が衝撃的だった。ある意味非常にきつい境遇にあるのに前向きに働いているサラ・ポーリーの姿は、多くの「自分が何をやりたいか分からない」と思っている人に訴えるところがあるように思う。この映画はもちろん一人の若い女性の選択を描いているわけで、多くの人が賛同できるような話ではないかもしれない。けれど、単なる家族を愛する「いい人」という型に縛られず、夫以外の男性と恋愛する「自分」中心の人間観は、既成の道徳を再検討する機会を提供してくれている。「自分」中心の人間観はラストで主人公の死後を描かない点においても貫徹されている。死者を悼むのは残された生者である。悼むのは、死者のためのようでいて、実は生者のためなのだ。死ぬものにとって、自分の死後の事実は分かり得ない。そういう、静かで力強い人間観がこの映画を貫いている。そんなことを感じた。 |
170.この作品を観ながら「メメント・モリ」という言葉を思い出した。ミスチルがアルバムのタイトルにしたりしていたのでご存知の方も多いと思うけれど「死を想え」、すなわち死を感じる事で今生きている事を実感し、充実させよう、という意味(だと僕は思っている)。で、主人公は死の恐怖、独りで死んでいくという孤独感・絶望感に苛まれながらも、余命を自分と、そして周囲の人々を愛する事に捧げようとする。「死」という事実を前にして人は初めて、「本当に大切な事」に気づくのだろうか。こういうことを言うのは気恥ずかしいけれど、やはり「充実した生」とは、どれだけ多く愛し、そして愛されたか、という事なのだと、思う。 【ぐるぐる】さん 9点(2004-07-06 17:32:59) (良:1票) |
169.《ネタバレ》 夫を愛し、未来の娘達にメッセージを送りつつ、別の男と寝、 自分の後釜となる女性を探す・・・・・女性って追いこまれると 強いなあと思いました。。。 誕生日が来るたびに今は亡き愛する 母から送られてくるバースデーメッセージを聞く子供達の気持ちを 考えると胸が熱くなります。俺的には ノレンごしに アンが 旦那と後釜となるべき女性そして二人の子供達の夕食準備を 夢見心地で見ているシーンが なんとも言えず、印象に残りました。 アンはあれを見て 安心したんだろう・・・( ´Д⊂ヽ 【アキト】さん 7点(2004-06-29 14:57:49) |
168.《ネタバレ》 ネタばれ大ありです。ご注意を!邦題やネットの情報で「主人公が死ぬ」「それをわかってからどう生きるか」ていう内容ってのはわかってた。実際観てみて、自分がもしこの人の立場ならと考えた。たぶんまったく違う。絶対家族に言ってるし、あんなにカラッと行動できない。とことんマイナス思考になると思う。この人はものすごく冷静に行動できてすごいと思う。心の中は冷静じゃなかったと思うけど。 この人は23歳で愛する子供を二人持ち、貧乏かもしれないけど夫もいて、母親も近くに住み、死ぬとわかってから恋にも落ち、父親にも会い、みんなに直接お別れは言わなかったけどテープで録っておくなんて、この人からしたらものすごい幸せやったんと違うかな。みんなに愛を与えられたし。ただ残された人が何で言ってくれなかったんやと思うかもしれん。 突然大切な人が亡くなったらいつまで悲しみでいっぱいやろうけど、この人のように自分はいなくなるってわかってて後から考えれば静かに別れを言ってくれてて、それを思い出して愛を確信できるのかな。この人に共感できるっていうんではなかったが、途中から涙が止まらんかった。ジーーンときた。なんて言えばいいんやろ。切ない映画。あたしなら何を10挙げるか・・・わからん。そんな余裕あるかな。 コインランドリーで彼女が寝てしまってそれを見つめるシーンの音楽が特によかった。あの恋人セクシーやったわー。え?その感想が最後かよ。って感じ? 【mamik】さん 8点(2004-05-26 22:21:58) (良:1票) |
167.死期を悟ってからやりたいことをやろう ってのも哀しいことだ。 何かやるせないな。 美容院の店員の髪型を褒めるシーンがいい。 ささいなことでも、思ったことを口に出すことで周りが幸せになるときもあるのだろう。 【michell】さん 6点(2004-05-23 19:22:49) (良:1票) |
166.まず、自分が余命わずかだったとしたら絶対に黙っていることなんてできない。23歳の彼女は私より年下なのにすごいと思った。特に母としての彼女が見せる鋭いまでの力強い眼には泣かされた。ラストの流れもいい。極力自然に自然にフェイドアウトしていこうとする様に号泣。映画が終わった後もなおじわじわと涙がこみあげてくる映画は初めてだった。賛否両論ある浮気に関しては、私は理解できる気がする。優しい旦那への愛情と違うタイプの男性への恋は、どちらも純粋な感情として両立できるものだと思う。人にもよるけど女とはそういうものだ。 【pb】さん 8点(2004-04-30 10:24:21) (良:1票) |
165.リストアップしていく内容が再婚相手など重要事項から、髪やら爪やらどうでも良さそうなことまで雑多なところに好感が持てます。優先順位はあるにせよ、どの項目も彼女の中では等価値であったように思えますね。旦那さんが凄くいい人だから、浮気はどうかなとも感じるけれど、これまで育児と仕事に追いまくられて、それで23歳で死んじゃうとしたら1回くらいその気になっても仕方がないでしょう。選んだ男性も決して悪い人ではないし。さらに隣にいい人が引っ越してくるし、最後の最後で人の縁には恵まれましたね。あえて、ご都合主義とは言いません。こういうもんだと思います。人生ってのは。 【山岳蘭人】さん 7点(2004-03-28 22:05:08) (良:1票) |