ウンベルトDのシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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ウンベルトD

[ウンベルトディー]
Umberto D.
1951年上映時間:87分
平均点:8.00 / 10(Review 8人) (点数分布表示)
公開開始日(1962-10-01)
ドラマモノクロ映画
新規登録(2003-12-13)【オオカミ】さん
タイトル情報更新(2024-07-27)【にじばぶ】さん
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監督ヴィットリオ・デ・シーカ
キャストカルロ・バティスティ(男優)ウンベルト
ランベルト・マッジォラーニ(男優)(ノンクレジット)
原作チェザーレ・ザヴァッティーニ
脚本チェザーレ・ザヴァッティーニ
ヴィットリオ・デ・シーカ(ノンクレジット)
音楽アレッサンドロ・チコニーニ
撮影G・R・アルド
製作ヴィットリオ・デ・シーカ
配給イタリフィルム
編集エラルド・ダ・ローマ
動物フライク
あらすじ
退職した老公務員ウンベルトは、年金生活者だ。家賃を滞納し追い出されてしまい、物乞いをするにもプライドが許さず、ついに決意した彼は、最愛の犬を抱いて線路に立つ。迫り来る列車。彼の運命は・・・。
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1
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8.《ネタバレ》 <ストーリー> ユーロコミュニズムの隆盛はまだ数年後のことであるが、年金値上げを求めるデモ隊の中にウンベルト(カルロ・バティスティ)はいた。永年勤めた公務員を首になり、その年金だけでは生活が苦しく、今もまさに家賃滞納で部屋を追い出されようとしていた。もとが手に職を持っているわけでもなく、70過ぎの老人には退職後の仕事も何もない。唯一の記念品である金時計を売ろうとするが、友人連中を回っても、相手にしてもらえない。飼い犬のフランクや、数少ない顔見知りの女性マリアと無頼を慰め合うのがせめてもの救いだが、彼女も妊娠した挙げ句男に捨てられた身の上である。家賃の取り立てをせまる業突張りの大家は、彼が体調を壊して慈善病院に入院したのをいいことに、勝手に部屋を改造し、愛犬を追い出していた。鬼気迫る表情で大家に迫り、犬を探し回るウンベルト。ようやく探し当てたフランクを抱きしめ、今後のことに思いをはせる彼。職もなく住処も追い出された老人は、物乞いをしてみることを考えるが、妙なプライドがあってそれを許せない。仕方なく愛犬フランクが芸をしてみせるのだが、金にはならない。そして、いよいよ意を決した彼は、鉄道の線路に立ち自殺を図ろうとする。しかし、愛犬が彼の腕から逃げ出し一命を取り留める。そして・・・。 <感想>なんとも暗い雰囲気の映画ですが、半世紀以上経った今、非常に現実的な内容を持った傑作だと思います。主人公のカルロ・バティスティは本物の大学教授だった素人で、演技の経験はないはずなのですが、ウンベルトを熱演しています。また犬のフランクがとっても可愛い。後半、追い出されたウンベルトの足元で芸を魅せる健気な姿には、思わず涙を禁じ得ません。年金問題が日本でも議論され、誰もが将来に漠然とした不安を持っています。女性が強くなったとは言え、マリアのように妊娠して捨てられれば困ってしまうのは事実でしょう。孤独な老人が自殺を考えるというのも、あんな状態になったらわからないでもありません。50年以上前にこんなに鋭い問題提起をした映画があったことは凄いことだと思います。今だからこそ、観るべき作品なのではないでしょうか。
オオカミさん 9点(2003-12-13 09:10:08)(良:1票)
7.《ネタバレ》 「自転車泥棒」デ・シーカ監督のネオリアリズム映画。

公務員勤め上げた老人の年金額の不足による、もの哀しい映画。
家賃滞納のなか、年金日までどうやって暮らすかという切なさが来る。

老人とペットといえば、アメリカの「ハリーとトント」を思い出す。
あちらは、元気にやっていたが、こちらは戦争前のイタリア。
ただでさえ、戦争に敗けたイタリアのモノぐるしい空気が手厳しい。

自分に身を置き換えて観てしまう。
現代に置き換えるなら、ケンローチの「ダニエル・ブレイク」だろうなぁ。
寒い。うぅ・・
トントさん [DVD(字幕)] 8点(2023-11-07 22:03:14)
6.《ネタバレ》 ヴィットリオ・デ・シーカのネオレアリズモ映画。
戦争も、不景気による国の政策の転換も、いつも弱者にしわ寄せがいく。
年金の減額と、それによる困窮。決して昔話とは思えません。
「自転車泥棒」では主人公の男にはまだ小さな息子がいた。
本作の老人ウンベルトも一人ぼっちのようでもあるけど、ついて来てくれる可愛い愛犬がいる。
どちらの作品も1人ではない、寄り添ってくれる者と一緒のラストを迎えます。
いつも心配してくれる心優しいマリアの存在も良かった。
どうしようもない現実の厳しさはありますが、デ・シーカという人の優しさが感じられます。
とらやさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-03-16 22:37:07)
5.あの犬はズルい。黒澤明の「生きる」と何となく似ている作品だけど、俺はコッチの方が好きかな。ヴィットリオ・デ・シーカ最高傑作の一つ。
すかあふえいすさん [DVD(字幕)] 9点(2014-03-15 17:23:27)
4.この歳になると身につまされる映画だ。戦後のイタリアと現在の日本でどれくらい違うだろうか。愛犬フライクが救い。
ESPERANZAさん [DVD(字幕)] 7点(2013-09-03 20:47:20)
3.《ネタバレ》 念願かなっての鑑賞で、シネマヴェーラ渋谷にて鑑賞した。
恩給で生活している社会の一線を退いた老人が主人公で、生活の頼みの綱であるその恩給が、不景気にともなって減少し、老人達の生活を逼迫していくという、現代日本においては実に現実感のあるお話である。

その老人は、ブチ模様をした小さな犬を飼っている。
妻も死に、孤独を癒す唯一のパートナーだ。

居を構えていた古アパートは、次第に売春宿と化していき、昔から住んでいたというのに、その老人は追い出しの圧力を受けている。
僅かな額の恩給では、アパートを出たとしても生きていくアテもない。
経済的に窮地に追い込まれた老人には、もはや生きる希望も失い、死を考えはじめる。
そこで唯一の心残りは、愛犬のブチ犬で、自分の亡き後に面倒をみてくれる場所を探したりもするが、全くアテがみつからない。

そこで、老人はブチ犬と無理心中を思いつく。
犬は当然嫌がり、怖がる。
寸での所で死を免れた老人とブチ犬であったが、犬の方は飼い主に恐れをなし、かつてのようになつかなくなってしまう。
必死に、ブチ犬の興味をひこうとする老人。
最後には、ブチ犬は老人にシッポを振ってついていき、その二人(?)の後ろ姿で「FINE」の文字。

いやぁ、なんて心温まるラストシーンだろう。
犬好きにはたまらないラストだ。
いったん飼い主である老人を避けるが、今までのご恩を思い出したんだろうか、また老人になつくまでの過程を描いたラストは、名作に相応しい出来栄えである。

ヴィットリオ・デ・シーカと言えば、『自転車泥棒』と『靴みがき』辺りが代表作かもしれないが、本作こそ、デ・シーカの最高傑作に推したい。
イタリアン・ネオ・レアリズモの名手として、現実の厳しさをうったえつつ、そこに人間と飼い犬(伴侶や家族に当てはめて考えてもよい)との絆を描いてみせた本作は、バランスもよく、まさに名作に値する。
にじばぶさん [映画館(字幕)] 8点(2010-02-27 23:34:37)
2.《ネタバレ》 50年代のネオレアリズモ映画で描かれた高齢者の孤独、貧困問題、年金問題が古びるどころか普遍性を増し、新しくさえあることに驚かされる。とはいってもけして社会問題を描いた映画ではなく、それらは背景に過ぎないことはネオレアリズモ映画に共通する。主人公の老人はけして弱々しい老人ではない。実に人間らしいずるさも見せる。頑なに弱者とならんとするプライドもある。そこがネオレアリズモであり生々しさの源泉となっている。老人だけでなくアパートで働く若い女もまた社会的弱者として登場するところがまた「現実」の非情さを助長している。「暗い」と言われるネオレアリズモ映画にあって老人の庇護すべき子供のような、それでいて最高の理解者であり友人である雑種犬の健気な仕草が作品全体を和やかな雰囲気にしている。と同時にラストの感動的なシーンを見事に演じている。
R&Aさん [映画館(字幕)] 7点(2009-06-02 14:04:41)
1.ウンベルトの金銭的な問題だけでなく孤独も描かれているから不安にさせられます。社会的弱者となると居場所すら不安定であり周囲の理解も得られない哀しみ寂しさ恐怖を味わいます。将来への不安が募る現代日本社会を思うと他人事ではすまされない悲惨な状況が刻々と描き出され悲痛な心持になります。それでも完全に悲劇的でなく希望を存在させたことが救いとなっています。人間は一人で生きていけるほど強くはないが、何であれ支えがあれば生きていくことが出来る。デ・シーカ監督は本作で「自転車泥棒」と「靴みがき」の二作で描かなかった救いを描いています。愛犬フライクが実に愛らしいです。
ミスター・グレイさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-04-12 17:23:55)
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【点数情報】

Review人数 8人
平均点数 8.00点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
500.00%
600.00%
7225.00%
8450.00%
9225.00%
1000.00%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 10.00点 Review1人
2 ストーリー評価 10.00点 Review1人
3 鑑賞後の後味 10.00点 Review1人
4 音楽評価 10.00点 Review1人
5 感泣評価 10.00点 Review1人
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【アカデミー賞 情報】

1956年 29回
脚本賞チェザーレ・ザヴァッティーニ候補(ノミネート)原案賞

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