21.《ネタバレ》 パトリス・ルコントをも軽く超えた「男性用」純愛ファンタジーの傑作。娼婦として男に抱かれれば抱かれる程、女にとって肉体は意味を成さなくなり、心の中では徐々に愛だけが純化されていく。そして以前の自分は海の中に消え、新たな自分が誕生する。そんな女をじっと眺めるだけの男にとっては、もはや言葉すら意味を成さない。男の愛も肉体や言葉を超越する苦しみの中で、徐々に純化していく。そして男は文字通り一度死に、この世に再生する。生まれ変わった二人には、金もセックスも言葉も要らない。二人でただ一緒にいるだけ。純粋なる愛を獲得した二人は今後、何ものにも悩まされることはない。このラスト・シーンは余りにも切なく、しかし余りにも幸福。物語の辻褄なんかどーでも良い、8点献上。 【sayzin】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-10-08 00:02:58) (良:2票) |
20.《ネタバレ》 悪い男というほど悪い男でもないんだが。 女は一度、道を踏み外したら元の世界には戻れないってことかな? 内容がディープな割には、そこまで刺激もなく、かと言ってつまらない訳でもなく。 特別な作品とは感じなかった。 【にじばぶ】さん [インターネット(字幕)] 6点(2020-08-18 00:09:10) |
19.《ネタバレ》 ガラスは傷つきやすい心の象徴で、同時に凶器でもある。ハンギは何度も怒りにまかせてガラスを叩き割り、ガラスで刺された。これは心が傷ついたままということ。マジックミラー越しに見ることは、傷ついた不安の心で見ること。ソンファがミラーを破ったとき、心は癒され、二人の魂は結ばれた。男は女を思い遣って出逢いのベンチで別れた。海に入水する女は、ソンファが過去を捨て去ったことの象徴。シーレの絵は、恋愛願望の象徴で、女は体を求める恋人ではなく、魂が結び付く真の恋愛を欲していた。顔の欠けた写真は、結ばれた男女の象徴で、女には、未来に誰かと結ばれる予感があった。それがハンギと分かったとき、写真のパズルが完成した。現実と虚構の入り混じった独特の表現方法だ。男の心は深く傷ついており、もはや底辺でしか生きられない。言葉を発しないのは、意志を伝えられないことの象徴。男は、女が穢れ、自分と同じ底辺にまで堕ちないと愛しあえないと思っている。女は男を憎んだが、男が死刑判決を受けた時、男が自分のことをずっと見守っていてくれたことに思い当たり、男を愛していることに気づいた。手下のジョンテだけが二人の気持ちを理解しており、殺人を名乗り出て、男を救った。キューピット役である。ハンギは手下のミョンスに刺殺されたのか、蘇生したのかはっきりしない。その後の展開が無理算段なので、死んだと考える方が合理的だろう。二人の魂が共同で夢を見ているという解釈だ。二人が目を合せないのもその証左。結ばれた二人は売春稼業で暮らす。これが、二人にとって最も自然な形、底辺としての暮しだ。女は男と同じで言葉を発しなくなっている。色彩に意味があり、白が純潔で、赤が穢れ。トラックは赤い幌で覆われる。女を売春婦にして純愛を完成させるという奇想天外な恋愛幻想劇で、絵力や演技力があり、ある程度成功している。底辺の男が高嶺の花と結ばれるところに妙味がある。しかし、女優に華がなく、退屈だった。綺麗な花が落ちてこそ見甲斐がある。男を一瞬にして魅了する美しさが必要条件。平凡な容姿では成立しない。映像表現には長けているが、脚本が甘い。女が売春宿に沈められる過程で、親や警察が出て来ない。自首してすぐに死刑実行。女が男の愛を知るには、自己犠牲が必要で、女を守るために刺されるような事件が欲しい。とってつけたような悪徳警官。ナイフは埋めずとも海に捨てればよい。 【よしのぶ】さん [DVD(吹替)] 6点(2014-09-14 04:32:48) |
18.観ていないギドク作品を制覇してやろうと思い、休日だったので朝からギドク作品を連続で鑑賞。この作品は実は初めて観たギドク作品なのだが、忘れていたので改めて再見。しかし、朝から観る作品じゃあないねこれは。この映画の持つ熱量がハンパなく、どぎつすぎて疲れる。 女子大生を罠に嵌めて売春宿に監禁し売春させるという設定自体凄く、初めて観たときはあまりの酷い内容に辟易した。しかし、他の作品を観てギドク慣れした私には問題はなかった。ギドク作品には売春婦が良く出て来るのでこれくらいの展開ではもはや驚かない。この映画はよく純愛だ純愛だと叫ばれているが、『うつせみ』こそ究極の純愛映画だと信じる私にはやや疑問が残る純愛だ。主人公の男は歪んだ愛の果てに無理矢理に純愛を手にしようとした。それは理解できなくもないが、女に対しては全く共感できるところが無く。何故、男を愛するようになったのか謎が多い。特に捕まった主人公に面会に行った女が泣いて戻ってきてと懇願シーンはゲラゲラ笑いながら見るしかないね。もうちょっと、ヒロインサイドの心情の変化を丁寧に描いていたらわかりやすかったと思う。 まあ、ギドク映画にわかりやすさを求めても仕方ないのだが。 【ヴレア】さん [DVD(字幕)] 6点(2014-08-13 10:36:13) |
17.《ネタバレ》 共感するところがどこにもない。 主人公は悪い男というより、ひたすら気持ち悪い男。 ヒロインはワナにハマって悲惨な目に遭ったけれど、もともと財布をネコババするような女。 自分を酷い目に遭わせてマジックミラーで覗き見をしてるような男とのラブストーリーなんて考えられない。 なにもかもが不快で、関わりたくない世界。 【飛鳥】さん [DVD(吹替)] 1点(2014-04-21 18:39:32) |
16.ギドク監督って本作のようなドラマチックな展開を好む人だと感じた。味が濃いけど濃いだけの内容な感じがした。 |
15.《ネタバレ》 男として気持ちはよくわかる。歪んではいるがイノセントとも言える。女はどうか?ボクにはわからんっすわ。止め画で終わればスッキリするものをそこで終わらせないのがミソ。不器用なアウトサイダーの営み。 |
14.男の夢がたくさん詰まった映画ですね。キム・ギドクはほんとにこういうシチュエーションが好きなんだね。映画監督じゃなかったらと思うと恐ろしいわい。 【らいぜん】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-06-07 14:58:26) |
【Yoshi】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2008-03-29 15:14:43) |
12.《ネタバレ》 私はかなりひねくれた人間だけど、コレって純愛かなあ。単純に歪んでるとしか思えないが。純愛の定義は人それぞれで、私にもなんだかよくわからんけど・・・。(歪んだ純愛ってのもあるのかな?)ストーカーが「愛してる?」という自己チューな感情で相手を嵌めて実力行使に出てるだけだし。まあヤクザなら仕方ないか?が、どうも自殺した?昔の女に似ているから追っかけてただけみたいだけど。ってのもダサイよなあ。まあ最終的には女の方も都合よく自分の思い通り?になってメデタシ・メデタシみたいだけど、世の中そんなわけねーだろ??? |
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11.《ネタバレ》 はっきりいって、暴力的でストーカーという最悪な男(極道としては男前ですが)による最悪な物語です。しかし、そんな最悪な物語に魅力を感じてしまうのが男って生き物なんですよね・・・・。 【TM】さん [DVD(吹替)] 6点(2007-12-09 22:10:06) |
10.いかにもな展開をあえて裏切る長々しいエンディングはちょっとどうかと思ったが、「魚と寝る女」ほどシュールではない。オールドボーイとともに、「韓国映画らしい」力強い作品。 【小原一馬】さん [地上波(字幕)] 8点(2007-03-22 12:48:40) |
9.《ネタバレ》 悪い男は、ホントに悪い男だった。悪い男はのっけから飛ばしてた。でも、出だしからいきなり引き込まれてしまった。「何なんだ?」 と、思って見てるうちに、どんどん悪い男にハマっていた。あんな形でしか人を愛せない男と、そんな男を憎みながら愛しちゃう女。 凄い。いろんな解釈があると思うが、ハンギは喋れないのではなく、喋らないのだと思う。首の大きな傷がある。あのせいで声のトーンがおかしくなり、彼が一言発する言葉でも分かるように、ヤクザからの風情からは想像もつかないような高い声になってしまったのだ。だからハンギはソナに話しかける事もしない。「好きだ、好きだ」とばかり言う弟分とは対照的なハンギの愛情表現には、理解できない部分もあったが、自分につばを吐いた女が他の男に抱かれている様を覗いている時の表情は苦悶に満ちて、とても復讐を楽しんでいるとは思えない。ソナとハンギが鏡越しでキスするシーンはとても美しい。そして、2人が鏡を破り抱き合うシーンは見ていてとても胸が痛くなった。この時のソナの驚きから愛情に変わる表情の変化がとても素晴らしい。ラストシーンはね、もしかしたらハンギの夢の中の話なのかもしれない。弟分に刺された時点でハンギは死に、ソナとの海のシーンも空想の世界だったのでは、と私は解釈した。ラストシーンの捉え方はさまざまかもしれないが、あのまま2人で幸せでいてほしいと素直に思った。でも、やはりハンギはソナの体を売らせ、最後の最後まで悪い男だった。 韓国映画は、他のどの国にもないリアルさ、衝撃さを追求し、また韓国映画ほどの体を張った女優さんは日本にはいないだろう。 【アンナ】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-11-05 15:38:43) |
8.《ネタバレ》 キムギドク監督ってのはいまだによくわからないなあ。なにか変な魅力があるのは事実だし、どこかに才能はあるような気がするけど。少なくともストーリーテラーではないな。演出の才能もあるのかどうか。「春夏秋冬」でもどっきりするような場面や映像はあるにせよ、なにか紙一枚ずれているような、ツボをはずしているような。もちろん意図的だろうけれど。 本作では、チョ・ジェヒョン演ずるマゾヒステティックやくざの、純な女の子に対するとんでもなく屈折・倒錯した愛情を描いているのだが、到底尋常な人々の支持を得られるものではないだろう。かといって変質者の異常性欲犯罪という切り口でもない。異常なことは異常だが、変に暖かいのも事実だ。マゾ的趣味に関してはだいぶ徹底してもいる。敵方のやくざが大きいガラス板を切り出し、身の丈もあるほどのナイフを作り、腰溜にしてジェヒョンの腹部を突き差し、そのままひねってバリバリとガラスが割れるシーンでは観ている私も呻き声を上げた。女が自分の位置まで堕ちてこなければ愛せないロクデナシ男の気持ちはわからないでもない。ラストのその根性は純粋で無垢な愛の極限かもしれんなぁ。ジェヒョンの目がいい。獰猛な中にうさぎのような無垢を秘めた表情は寒気がするほどだ。この変な魅力はなににも似てない。 【ただすけ】さん [DVD(字幕)] 10点(2006-05-11 00:53:53) |
7.強く心に残る映画でした。チョ・ジェヒョンのしゃべらない演技が素晴らしいです。キム・ギドクの映画は細かいことを気にしだしたらきりがないですけど気にならないくらい強く訴えかけるものがありました。それだけで十分です。 |
6.まず売春宿に売り飛ばされて、なぜ彼氏は死ぬ気で探さない、警察に通報しない?親は?友人は?・・・、それでも極限に追い込まれて生まれる愛って確かにあるのかも。ただしこんな女性は今時いません、あしからず。 【はげねずみ】さん [DVD(字幕)] 4点(2005-07-23 02:04:46) |
5.タイトルからして、かなり激しい暴力シーンの多い作品だが、その中でも再度に渡って腹部を刺される主人公のハンギ。その苦悶の表情が象徴するるように、無表情で寡黙なはずの彼が場面場面で見せる様々な表情の変化。それは、ときに凶暴なほど激しく。ときに恍惚感溢れるほどに愛おしく。キム・ギドク作品には“ある痛み”を伴うというのが特徴としてあるのだが、ハンギにとっては致命傷とも思える大ケガよりも、女を失ってしまう心の痛みの方が遥かに大きいのだろう。映画は、愛に飢えたひとりの男の揺れ動く心情を描くことで、彼の壮絶な人生を浮び上がらせてみせる。なにかと設定に無理があったり、辻褄が合わなかったりの作品だが、この不条理劇も一種の寓話として捉えれば、終盤のシチュエーションなどは男の願望(=夢)として説得力も帯びてくるというもの。倒錯した愛の表現といった難しい役どころを(蛍雪次朗と山本太郎をミックスしたような)チョ・ジェヒョンが好演し、本作をより魅力あるものにしている。 【ドラえもん】さん 7点(2004-07-15 15:20:28) |
4.もはやこれは獣。女優だってただの無垢じゃあないのだ。 【SUM】さん 8点(2004-05-06 10:54:49) |
3.結構期待してたんであまりの薄っぺらさショックでした。石井監督のような濃厚な劇画タッチを勝手に想像していた私が悪いのかな。2人を隔てるガラスの壁、ガラスでまた傷付け合ってみたいな部分がありながら離れられなくなっていくって感じかな。女の子がまだ上品さを捨て切れていないし、取り敢えずシャブぐらい打って貰って、どん底まで落ちてもらわないと迫力でない。男も可笑しな声してるし、すっかり良い人ヤクザになってるし中途半端。結局つまらない韓国ラブストーリーの域を脱していない。 【亜流派 十五郎】さん 1点(2004-04-28 17:17:41) |
2.《ネタバレ》 一言も言葉を発してなかった主人公が、終盤に初めて話す。その声がヤクザとは思えぬ裏声。その奇異な光景。その後、部下のヤクザに刺される場面では、血まみれの中、仲間の落としていったナイフを砂の中に隠してやる。その兄貴としての優しさ。その瞬間、この主人公が好きになった。彼は寡黙なのではない、黙祷を捧げて生きているんだと思う。それが彼の人生なのだ。見終わった後、「凶暴な純愛」という、「レオン」のキャッチコピーを思い出した。売春婦、ヤクザ、セックス、その末に描かれているのは、凶暴に荒れ狂う純愛だと思う。ちょっと大げさな場面や暴力シーンが多すぎたので-2点。 【ダブロン】さん 8点(2004-04-12 17:47:26) |