1.《ネタバレ》 前半部分は、船長である父親とその息子との確執を描いている。
これが何とも陰惨で、観ていて辛くなった。
しかし、中盤からは恋愛の要素も絡んできて、面白くなってくる。
息子と彼女(父親の情婦)との水車小屋における戯れは、とてもすがすがしく、それまでの暗い展開のせいで、どんよりしていた気分が多少なりとも上がっていった。
それにしても、ベルイマンらしい暗すぎる映像。
これは何度観ても、単に観づらいだけで、どうも好きになれない。
、、とここまでみてくると単なる凡作のようだが、そんなことはなく、ラストがとても良かった。
愛する女性を8年もの間想い続け、8年ぶりに帰郷した息子。
しかしそこには精神的に病んでしまった彼女がいた。
息子は必死に連れ出そうとするが、自閉的になってしまった彼女はそれを拒む。
だが、彼女に一途な愛情を持つ彼は、彼女を救いたい一心で、必死に説得をする。
その想い通じてか、彼女は結局、彼と旅に出る。
女性を愛する気持ちがあれば、どんな苦難でも乗り越えられる。
そして、その女性がどんな状態だろうとも、身を呈して救うことができる。
愛の持つ力が、ストレートに伝わってくる見事なラストだ。