1.《ネタバレ》 「アラビアのロレンス」になんとなく似ているんですよね。
歴史的に見ても先にロレンスを観ておくとこの作品がわかりやすいです。
さてこの作品はその後のアラブを描いております。
アラビアのロレンスが長い作品なのですが、今作はなんと212分!
いやぁ・・やはりややこしい時代背景ゆえこれは見ごたえある。
モーゼになったニューマンは故郷に帰るのですが、
冷静に客観的に見ると、このイギリス統治下のままでよかったのではと思うんですが・・
アラブのひとユダヤのひとが仲良く共存しています。
そこに時代を変えた流れが政治という見えない支配によって、
イギリスの力は失せ代わりに触れてはいませんがアメリカの力が見えます。
アメリカに触れずあえて看護婦をアメリカ人としたところが、
これは絶対ハリウッド現代版十戒を描きたかったんだなぁと・・
客観的に描いていると思わせ実はアメリカ映画だというのがわかります。
アラブやイギリスのことをあまり悪く描いていない(むしろ善)のに対して、
最期の方でなぜかドイツが出てくるさまはアメリカ人はドイツは悪役と見ていたのでしょう。
この時代にこの映画というのは勇気があるというか、
作品中にニューマンが言う「これは宣伝だ」実際プロバガンダ映画なのでしょう。
ラストはもろ「アラビアのロレンス」です。
ジープはどこに向かっているのか?
彼らは本当の自由を手に入れられたのか?
私たちはすでに現在を知っていて歴史は繰り返される。
確かに一方的な描き方かもしれませんが、
そのおかげで逆に娯楽性もあり長い作品を観ることが出来るのです。
いや、こういう政治民族問題は色々な方向から描いていくのは難しい。
栄光への脱出という日本タイトルは無神経でセンスがありません。
本当は船の名前であり深い別な意味があるのです。
アメリカがいかに自由で正義で弱者に手を差し伸べているという演出は、
看護婦がアメリカ人であることでもう十分でした。
アメリカ女性との恋愛を絡めなくても十分伝わったのではないでしょうか。
こういうロマンスを省いて骨太な実は宗教が根付く土地という争いを、
じっくりわかりやすくシリアスに描いてほしかったのです。