4.《ネタバレ》 「女は男の未来だ」もそうだったが、ホン・サンス監督は男女の機微をリアルに描き出す。ただ、そこで描かれる人間の嫌なところが目についてしまう。
前半のミョンスク、後半のソニョン。どちらもベッドインするのは同じ。でも、二人の好対照な女性にその後の反応がまったく違ってくるギョンス。売れてなくても映画俳優のイケメン。ギョンスのとってミョンスクは今まで寝た数ある女のうちの一人だろう。簡単に手に入れて、簡単に手放せる。ソニョンは違う。気のある素振りを見せたかと思えば、素っ気なく遠ざかる。そうして知らないうちに女のペースに乗せられていく。二人の女とのことを対比的に描きながら、ラストでは美しい姫に付きまとって蛇になった男の伝説が効いてくる。
とても緻密な構成だとは思うんだけど、ギョンスを好きになれない時点で入り込めない。この男はいつも下半身の欲望を充たすために、息を吐くように嘘をついてきたのだろう。「こんなことをするのは初めて」とか「何もしないから」とか白々しい。誘いの手口が下心丸見えで、見ているこちらのほうが恥ずかしくなってくるほど。ストーカーのように家まで付けたり、中傷する手紙を出したりするのもただただ気持ちが悪い。こんな男を相手にする女もバカだと思ったが、結局この人妻のほうが一枚上手で男のことはお見通しだったか。それでもやっぱり関わり合いにはなりたくないタイプの男だ。魅力を感じない。
邦画や洋画でダメ男や悪い奴の中には結構親しみを覚えるような好きなキャラもあるが、韓国のダメ男や悪人は本当に嫌悪感しか沸かないケースが多い。