7.《ネタバレ》 森雅之だが、本作では職人風情の荒っぽい男を演じていた。
これがどうも無理があるように見えてならない。
熱演により、何とかそれらしくは見えたが、ミスキャストなのは否定できないところ。
やはり、森雅之には「脂ぎった陰気なオヤジ」が良く似合う。
しかしながら、「妹を本心では愛しつつも、表向きは邪険に振舞い、そして妹を孕ませた船越英二を殴り飛ばす」、このシーンには感動できた。
京マチ子だが、以前からどうも苦手な女優だ。
ボリュームがありすぎるし、どうも好みに合わない。
むしろ、気持ち悪いとさえ感じてしまう。
久我美子だが、やっぱりナインティナインの岡村に似ていた。
浦辺粂子は実にいい味を出していた。
野暮ったくてノロマな田舎のばあちゃんだけど、実に人情味があって、家族思い。
そんな役をこれ以上なく自然に演じていて見事だった。
特別に出来がいい成瀬作品とは思わないが、パワーを感じた。
成瀬作品としては、力作の部類に入るのではないだろうか。