7.天才がこの世に誕生した映画。キムギドク監督処女作。観た人なら絶対に忘れないラストシーン。監督のこだわりの愛の形の原点を思い切り見せつけられた。
鰐と呼ばれる男。汚い川の水の中を自在に泳ぐ。橋から飛び降りた自殺者の財布などを頂戴するホームレス。ともに暮らす少年にガムを街頭売りさせ売り上げをはねる。金はギャンブルと酒に。じいさんも一緒に暮らす。機械に強く、まっとうな感覚を持つじいさん。3人の元に身投げした一人の女が。鰐は女を犯すが、女は少年やじいさんの人となりに感じるものがあったのかともに生活を。
そしてドラマは始まる。
絵・水・亀・手鎖。
キムギドク監督は、今後の作品でも続く「暴力と性愛」表現をこれでもかと詰め込み、究極のラブストーリーを紡ぎ出す。芸術的な映像をはさみながら、物語は平坦に進む。しかし、けっして画面から目を離すことはできなかった。荒削り、それもまたとんでもないまでの魅力に。映画を観る喜びを私に与えてくれた。
鰐は謝ることを覚えた。女は本当の意味での愛と決別を。
少年はこの後いったいどうなるのか。