1.《ネタバレ》 ラストのボレロを踊るシーンの力強さ、美しさは圧巻で、ダンスパートナーとの唇が重なり合いそうで触れない微妙な距離がストイックでありながら官能的です。そんな決してピッタリと寄り添うことの無い主人公とパートナーの映画であり、美しい女優たちが次々とピカピカフワフワ艶やかに着飾って出てくるのも見所で誰もが魅力的ですが(ヘレンこそブッ千切り美しくなきゃいけないのでは?とも思うが)、ベストカップル賞に選出したいのはラオールとその兄貴の男のコンビです。わざわざ異母兄弟という設定までついておりホモセクシャルな雰囲気はないものの、炭坑夫時代から戦時中まで行動を共にし、兄貴が欲しがっている指輪を買ってあげたり、喧嘩をすれば〝実家に帰らせていただきます〟とばかりに荷造りを始め、二人同時に謝り仲直りする様子は微笑ましく長年連れ添った夫婦のようで、ラオールにとっては兄貴が一番の理解者なのです。そう思って見てしまうと最も感動してしまうのは、兄貴が伯爵夫人となってしまったヘレンに無理を承知の上で弟と踊ってほしいと頼む場面で、ラオールから貰った指輪をいじりながら懇願する姿は胸に迫るものがあります。