6.《ネタバレ》 二人の主人公の一人称視点で、交互に違うドラマが同時進行する不思議なテイストの作品。
ピージョ視点。ルシル視点。かたやポリティカルサスペンス?かたやコメディサスペンス。
終盤になると、どちらも同じテーマを扱っていることがわかります。テーマは『自由』そしてその『自由』と天秤にかけられるものが、『人の命』なんですよね。
でも逆に言えば、それが『自由の価値の重さ』をより印象づけることに成功しています。
映画としては、ルシルサイドのストーリーのファンタジー色が強くなりすぎてしまったために、やたらリアルに描かれたピージョサイドのストーリーとの不協和音を感じてしまうのが残念です。
また、ラストの裁判はどちらかと言えばエンタメ重視です。どちらかと言えばルシルカラーが強く出過ぎてしまっています。二つの異なるストーリーが、最後に一つの流れとなって、社会に大きな潮流を作りだすことを予感させるストーリーテリングが見事だっただけに、コメディ色をもう少し押さえてくれたほうが良かったかもしれません。
ちなみに、陪審員に有罪を選択させたのはあっぱれでした。