風立ちぬ(2013)のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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風立ちぬ(2013)

[カゼタチヌ]
The Wind Rises
2013年上映時間:126分
平均点:6.54 / 10(Review 184人) (点数分布表示)
公開開始日(2013-07-20)
ドラマ戦争ものアニメ伝記ものロマンス漫画の映画化
新規登録(2013-05-14)【イニシャルK】さん
タイトル情報更新(2023-08-22)【イニシャルK】さん
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監督宮崎駿
庵野秀明堀越二郎
瀧本美織里見菜穂子
西島秀俊本庄季郎
西村雅彦黒川
風間杜夫里見
竹下景子二郎の母
大竹しのぶ黒川夫人
志田未来堀越加代
國村隼服部
野村萬斎カプローニ
ジョセフ・ゴードン=レヴィット堀越二郎(英語吹き替え版)
エミリー・ブラント里見菜穂子(英語吹き替え版)
ジェニファー・グレイ黒川夫人(英語吹き替え版)
スタンリー・トゥッチカプローニ(英語吹き替え版)
メイ・ホイットマン堀越加代(英語吹き替え版)
マーティン・ショート黒川(英語吹き替え版)
ウィリアム・H・メイシー里見(英語吹き替え版)
ヴェルナー・ヘルツォークカストルプ(英語吹き替え版)
ジョン・クラシンスキー本庄季郎(英語吹き替え版)
原作宮崎駿「風立ちぬ」(原作掲載 月刊モデルグラフィックス)
脚本宮崎駿
音楽久石譲
作詞荒井由実「ひこうき雲」
西條八十「風」(訳詩)
作曲荒井由実「ひこうき雲」
ウェルナー・リヒャルト・ハイマン「Das gibt's nur einmal」(邦題「唯一度だけ」)
主題歌荒井由実「ひこうき雲」
撮影奥井敦(撮影監督)
製作奥田誠治(製作担当)
日本テレビ(「風立ちぬ」製作委員会)
電通(「風立ちぬ」製作委員会)
博報堂DYメディアパートナーズ(「風立ちぬ」製作委員会)
三菱商事(「風立ちぬ」製作委員会)
東宝(「風立ちぬ」製作委員会)
高井英幸(「風立ちぬ」製作委員会)
島谷能成(「風立ちぬ」製作委員会)
市川南〔製作〕(「風立ちぬ」製作委員会)
ウォルト・ディズニー・ジャパン(「風立ちぬ」製作委員会)
製作総指揮フランク・マーシャル(英語吹き替え版)
プロデューサー鈴木敏夫
川上量生(プロデューサー見習い)
制作星野康二
スタジオジブリ
配給東宝
作画高坂希太郎(作画監督)
米林宏昌(原画)
近藤勝也(原画)
友永和秀(原画)
本田雄(原画)
山下明彦(原画)
青山浩行(原画)
古屋勝悟(原画)
田中敦子〔作画〕(原画)
新井陽次郎(動画)
美術武重洋二(美術監督)
保田道世(色彩設計)
高屋法子(ハーモニー処理)
編集瀬山武司
録音東北新社(音響制作協力)
東京テレビセンター(音響制作協力)
木村絵理子(アフレコ演出)
その他スタジオジブリ(提携)
日本テレビ(提携)
電通(提携)
博報堂DYメディアパートナーズ(提携)
三菱商事(提携)
東宝(提携)
堀辰雄(堀越二郎 堀辰雄に敬意を込めて)
久石譲(指揮・ピアノ)
IMAGICA(デジタルラボ)
鈴木敏夫(キャッチコピー【ノンクレジット】)
読売新聞社(特別協力)
あらすじ
零戦の設計者堀越二郎と作家堀辰雄をモデルに、美しい飛行機を製作したいという夢を抱き情熱を注ぐ青年と、彼が愛した女性との出会いと別れを、宮崎駿監督が自身の集大成として描く。青年が生きた大正から昭和の日本社会の様子を、大震災、避暑地の田園風景から、庶民の生活に至るまで、丹念かつ綿密に、そして、圧倒的な美しさで描いていく。第71回ゴールデングローブ賞外国語映画部門・第86回アカデミー賞長編アニメ部門にノミネート
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【クチコミ・感想】

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184.《ネタバレ》 物語としては悲恋、か。
NHKスペシャルで声を庵野に決めるシーン、あれは爆笑した。
パヤオ以外誰も納得してないけど、ノーとは言えないふいんきってやつで。

てなわけで庵野の声は全然悪くないです。
こういう声のやつおる。
誰かが言ってたが、一番の難点は、へたくそだから主演にしたのに映画の最後のほうは若干うまくなってることか。

物語の筋としては、やや美化され過ぎてはいても美しくもはかないいい作品だと思う。
「まんが」としてあまりにサナトリウムとかヒロインとかがきれいに描かれ過ぎてるのが難だが、
このあたりを汚く見せては主軸がぶれるってやつなので。

で、本編自体は8点あげてもいいんだけれど、
どうしようもなく、「音」が悪い、効果音が全て人の声でそれが非常に不快。
特に関東大震災のシーンの声の演技がゴミ。
控えめに言ってゴミ。
まともなSE版を出してほしいところ。
この点で2点減点。
パヤオは、大作でこういう実験をやってしまうのが痛い。
にんじんさん [地上波(邦画)] 6点(2022-09-11 23:15:10)
183.《ネタバレ》 映画自体は主人公の半生を描いたNHKの朝ドラ的な作り。
各所にジブリ的雰囲気の良さはあるものの、病弱な女性と結婚し、彼女がいずれ死ぬであろうこと以外に盛り上がる要素もない。
主人公の飛行機づくりに対する情熱も自分にはもうひとつ伝わらなかった。
その最大の要因になっているのは起用した声優陣。
庵野秀明氏を起用しなければならなかった理由はどこにもない。
他にも俳優を多く起用しているが、これもほぼマイナスに作用している(唯一、ヒロインの瀧本だけは合格点)。
スポンサーからのお金集めなど大人の事情があり、日本のアニメ映画は話題となる俳優の起用が当たり前になっている。
宮崎監督自身もととろの糸井重里で味をしめ、ハウルでキムタクを起用して以降、率先しているように思える。
声優が存在せず俳優が声をあてるのがあたりまえの海外と日本は違う。
声優という職業は日本が誇る独特の文化であり、当然のことながらその実力はほとんどの場合で俳優を上回る。
また、あまりに外見を見すぎたため「キムタクはどう聞いてもキムタクにしか聞こえない」というビジュアル的弊害も声優の場合は少ない。
声優は見る人に安心感を与え作品に没入でき、実際裏切られる可能性も低いのだ。
日本のアニメの巨匠がそれをわからなくてどうする!?と思う。
他の監督が俳優を起用しても、宮崎氏だけには声優を使ってほしい。花形である大作アニメに「声優」を使ってほしい。
そのほうが作品がしまる可能性ははるかに高く、それが後世評価として引き継がれていく。
全部が全部とは言わないが、公開時の一時的な話題作りのために、時の人気俳優や奇をてらった起用をすることがどれだけ作品に悪影響を及ぼしているか……。
この映画の庵野秀明氏が脇役であればこういうレビューは書かなかったが、あれが主人公というのはあまりにひどいと感じたのであえて書きたくない苦言を書きました。
レイブンのかなづちさん [DVD(邦画)] 3点(2022-07-27 18:46:09)(良:2票)
182.《ネタバレ》 一人の男の人生を描いたアニメ映画。
主人公は、幼い頃に飛行機にあこがれ設計技師になり、戦闘機を設計した男。

「飛行機が作りたかった」
「戦闘機が作りたかったわけじゃない」
「人殺しの道具なんか大嫌いだ!」
そうだろうか?
人殺しのための戦闘機を作った人が何を言ってるか?
宮崎駿監督も同様だ。人が機械を使って人を殺すシーンを多数作った。

さて現実の世界は、人気者がいるし、嫌われ者がいるし、ほとんどは平凡な者。
宮崎駿が一貫して描いた主役たちは、権力者の血筋か裕福な者だけ(親が学者が多い)。
『ラピュタ』の父親は冒険家で、住居から裕福な血筋なのは明らか。
勘のいい子供は、宮崎アニメを観ても満たされない。
ひねた子供なら「ケッ」とツバを吐くんじゃないか。

この映画の主人公は設計技師。
工員じゃなく工場長でもなく、スーツで通勤するメインスタッフ。
宮崎アニメはヒーローや人気者、成功者の世界で、トッド・ソロンズ監督が描く世界とは真逆。

ところで効果音を声で表現したのは、異常な感じで面白かった。

【追記 2018年2月23日&2022年1月11日】
ジブリができる前、40代の宮崎駿は無名で不遇な頃があった。
テレビアニメの原画(だけ)を描いたりしていた(太陽の使者・鉄人28号)。
宮崎によるルパン第二期の二つの話は、傑作と言われてる(アルバトロスと最終回)。
第二期のルパンは、彼がやりたくてやった仕事ではない筈、やりたくなかった筈である。

そしてこの『風立ちぬ』にはジブリ以前の、魅力的だった「何か」が全くない。
私はそう思った。彼は試写で初めて泣いたらしいが。
長編アニメ引退宣言を反故にして今制作中の長編アニメ『君たちはどう生きるか』は2023年頃に完成予定らしい。

『君たちはどう生きるか』の原作小説はどんな作品なのか。
ウィキペディアに日本の文学者・高田里惠子氏による評価が載っている。
それを読んで寒気がした。
宮崎駿監督というのは、つまり、私の想像通りの人らしい。
激辛カレーライスさん [地上波(邦画)] 3点(2022-01-11 10:32:03)
181.時間に制約はあるが、夢は自由だ。生き方も自由だ。

貧困にあえぐ日本を目の当りにしながらも、莫大なお金をかけて、ゼロ戦を開発する。病に侵されていながら治療より、愛する人と一緒に過ごすこと優先する。
使命や愛を貫く姿は美しいが、見方を変えれば、周囲のことを考えない傲慢な姿だ。その傲慢さを本人たちもわかっている。矛盾を抱え、葛藤の中で、自分の信じる道を進む。それはどんなに苦しいことか。どれだけ強い信念を必要とするか。

今、自分の使命の傲慢さと向き合い、苦しみ、自身の道を切り開く人はどれだけいるのだろう。

平和で医学も発達して一定の安定を保障されている中、私は毎日働き、眠りにつき、そしてまた朝になれば会社にいく。自分の使命が何かを問うこともしなければ、自分の夢どころか、欲望を満たすことも考えない日々だ。自分と向き合うこともしないくせに、一般的な倫理感という意思のない価値観で、他人の生き方を批判することはできる。

矛盾のない生き方など存在しない。だからこそ、自由に自分の生き方を貫くべきなのだ。その傲慢さにもがきながらも、自身の生き方を全うしたいと思わせてくれる映画であった。
うらわっこさん [映画館(邦画)] 6点(2021-12-23 21:13:57)(良:1票)
180. 過去、日本は貧しく遅れていました。みんなで一生懸命努力しました。しかし、その努力の先に待っていたものは敗戦でした。きっと、少し努力の方向がずれてしまったのでしょう。明治維新で開国したころの欧米との科学技術の違いを思うときそれから70年ぐらいで国産兵器で欧米と肩を並べる処まで来たのは奇跡と言えます。黒船に腰を抜かした民族が世界最大の戦艦大和を建造しました。欧州から購入するだけだった航空機も世界レベルのものを生み出しました。戦闘機においては96艦戦、爆撃機では96陸攻がその嚆矢でしょう。
 物理学を研究したその先に原爆がありその実現に向け研究を重ねてい湯川秀樹がいたように飛行機に夢をかけ戦闘機を設計した堀越二郎もいたのです。欧米へのキャッチアップに成功した96艦戦は幸福な機体ですが、負け戦の前面に立たされたゼロ戦はつらいことになりました。結果にとらわれずその努力をあの時代性の中で表現できたこの作品、9点ですかね。素晴らしい作品だと思います。
たこのすさん [地上波(邦画)] 9点(2021-09-23 01:18:01)
179.確認のため、地上波で二度目の鑑賞。言いたいことは他の素晴らしきレビューの通りなので多くは語らない。子供には退屈なアニメだし、盛り上がりもなく淡々としているのは構わない。ただ、ゼロ戦完成までの苦闘を描きたかったのか、メロドラマを描きたかったのかどっちつかずで、挿入される夢のシーンも相まって、さらに支離滅裂なものに。劇中で度々描かれる"矛盾"は本作そのものと言える。もっとも「監督が自分自身のために作った」んだから、宮崎&ジブリという理由で話題に振り回されるのはもう御免。いずれにしても、『ひこうき雲』のプロモーション・ビデオとして見たら十分な出来ではないだろうか。
Cinecdockeさん [映画館(邦画)] 5点(2021-09-19 20:07:07)
178.《ネタバレ》 ふだんアニメは滅多に見ないのですが、風とか雨とか影とかの細かい描写は熟練のワザにようなものを感じます。それから飛行機とタバコに強い思い入れがあることもわかりました。
しかし残念なのは、登場人物たちにまるで人間味がないこと。容姿も含めてキレイなところだけを切り取り、ひたすら品行方正で上っ面の会話をしている感じ。今どきSiriとかAlexaのようなAIのほうが、よほど味のある回答をしてくれるんじゃないでしょうか。
同時代ということで言えば、かの山本五十六は愛人との関係を部下に咎められたとき、「君たちが屁も糞もせず、女も抱かないなら話を聞こう」と一蹴したそうです。汚い例で恐縮ながら、主人公たちは屁や糞とは無縁の世界で生きている感じ。つまり人間ではなく、無機物でしかありません。
しかも、しばしば荒唐無稽な夢の世界に逃げ、奥さんもキレイな印象だけ残して去り、技術者としてがんばるほど戦争に協力することになるという主人公の苦悩や葛藤もまるで描かれていません。結局、この作品の製作者は何を伝えたかったんでしょう? 「タバコぐらい自由に吸わせろ」という現代への批判かな。
ただ、「ひこうき雲」は名曲ですね。
眉山さん [地上波(邦画)] 4点(2021-09-04 19:55:18)(良:1票)
177.今更ながらTVで視聴。
宮崎駿は「見せたい映画」から、自分で「見たい映画」を作る人になってしまいました。
年をとるとみんな、自分のことを語りたくなっちゃうもんなんですね。
結婚したんだから、最後まで一緒にいてあげようよ。それが夫婦ってもんでしょ。
木村一号さん [地上波(邦画)] 6点(2021-08-29 17:59:05)
176.小説「風立ちぬ」「菜穂子」を読んでから観賞。久々に傑作のジブリ作品が来たと思いました。伝統の飛行描写も素晴らしいの一言ですが、やはり印象深いのは後半の恋愛要素が濃くなる部分。同じリアル寄りな作品でも、「耳をすませば」は幸せを感じますが、こちらは、切なさを味わえる。小説の重要な展開(サナトリウムからの脱走など)を上手く筋に織り込んだと感じます。菜穂子さんが気の毒と思うほど作品の評価が上がってしまう厄介さがあります。唯一の欠点は二郎の声がすごい変なこと。最終盤でようやく違和感が薄れました。
次郎丸三郎さん [DVD(邦画)] 7点(2021-08-29 08:52:49)
175.宮崎駿監督による宮崎駿のための映画な感じでした。
もちろんそれに同調する方もいるでしょう。
私は監督の作る映画の時代背景と映像は好きです。
ストーリーは毎回ハマれず今作も、、、。
movie海馬さん [地上波(邦画)] 6点(2021-08-28 23:49:17)
174.金曜ロードショーにて鑑賞。元々アニメはあまり好きではないのですが、最初から大人向けを意識した雰囲気で一度見始めると止められなくなってしまいました。

最初から静かな流れと空想描写が多く、かなり意味深な雰囲気を醸し出しています。カプローニの「飛行機は美しくて残酷な夢だ」というセリフの答えを二郎自身が開発した自分の飛行機をもって、「出かけていったパイロットは誰も帰ってこなかった」という形で観客に語ります。受け手の感受性によって異なる答えが出てきそうな意味深な問いかけで深いです。また、全体的に多くを語らない作風も素晴らしくて「結核」や「山で療養」など、モノを知っている人にはより深く考察ができる作りになっている点も素晴らしかったです。少々異質に感じた主人公のセリフ周りと感情の無さも、これはこれで慣れれば”多くを語らない”という作風には合っていたように感じました。

堀達雄の「風立ちぬ」は読んでいませんが、あの時代特有の死の病(結核)を題材にした重たい小説です。彼らの悲しい生き様を宮崎アニメ風に美しい部分だけをかいつまんで見せてくれたことは評価に値するかもしれません。ただ、今の時代の女性には「旦那さんに美しい部分だけ見せて、彼の為に自分自身(菜穂子)が身を引くシーン」はほとんど理解不能かもしれません。
問題はゼロ戦の設計士、堀越二郎の物語です。堀越二郎の歴史の中に菜穂子を落とし込んだせいで、飛行機への情熱と妻への深い愛情が両立しなくなってしまったように感じました。また物語上は二郎が大きな失敗をして逃避という形で軽井沢につながっていきますが、軽井沢での流れが冗長で時間を割いた割りに菜穂子との恋愛要素がウマく流れていなかったように感じました。もう少し二人が心を通い合わせる丁寧な描写があれば良かったのですが、これを紙飛行機のやり取りでやってしまった点がイマイチでした。あと、ドイツ人カストルプとの会話もイマイチ浮いており、ほとんどカットしても良かったような状態になってしまっています。(時代背景を組んだ形でかなり深いことは言っているんですけどね・・)

最後まで静かな流れと空想描写で意味深な流れを作った割に、結局はよく判らずに終わってしまったような作品です。実際、あの時代は結核が流行った時代だし、戦争や震災など、彼らのように短い幸せを噛みしめて生きた人たちもたくさんいたハズです。随所に素晴らしい描写・表現があっただけに本当に惜しい、名作に一歩届かずといった作品でした。(ただ、もう一度落ち着いてスクリーンで見てみようとは思っています)
アラジン2014さん [地上波(邦画)] 7点(2021-08-28 18:34:42)
173.《ネタバレ》 子供よりも大人向けですかね、説教臭さや教訓めいたいことがほとんど無いのが良いですね、声についても心配していたほど悪くは無かったかな。

制作秘話的な番組で、声優庵野さんの録音で勝手にOKしちゃって、宮崎さんが苦笑しているのが面白かった。
ないとれいんさん [映画館(邦画)] 7点(2021-03-22 15:00:21)
172.宮崎アニメのなかで、もっとも美しい作品ではないかと思います。そこに「悪」の要因があるにせよ、その美しさを讃えずにはいられません。もっとも愛があふれた作品だろうとも思います。しかし、その愛こそが、大いなる「悪」なのでしょうね。ひたすら「善」を求める観客には拒絶されるでしょうが、そもそも美や愛は、かならずしも「善」であるわけではなく、ときとして大いなる「悪」だと言わざるをえません。宮崎本人の言葉を借りれば、この映画にあふれる美や愛こそが悪への誘惑=メフィストフェレスです。
まごうことなき「善」の映画など存在しない。それどころか、武器をもって闘ってきた宮崎アニメの過去作品のすべては、たえず「悪」を美化(あるいはエンタメ化)しつづけてきたはずです。その意味では、むしろ『風立ちぬ』こそが、その矛盾にもっとも向き合った作品だといえる。鈴木敏夫が意図したように、この矛盾にこそ、宮崎駿が描かねばならない真実があったのだといえます。
戦争技術者をあからさまなマッドサイエンティストとして描く紋切り型にくらべれば、むしろ慎ましく美しく生きた戦争技術者の生き様にこそ、真実の一端があるのかもしれない。一部のエリートが民衆の善良な生活を破滅させたとする紋切り型にくらべれば、むしろエリートの美しい技術を愚かなナショナリストたちが応用したという醜悪な実態にこそ、真実の一端があるのかもしれません。
では、科学技術者はいったいどうすればよいのか? その答えが映画のなかに用意されているわけではありません。強いていえば、その答えは、破壊し尽くされた飛行機の残骸を見つめる観客のほうに投げかけられています。
もともと久石譲の音楽は好きじゃないけれど、この映画の音楽は率直に美しく感じられました。荒井由実の曲も、死と飛行機の描写にティンパンアレーの透明なサウンドが重なり、さらには彼女のコンサバな姿勢までもが相俟って、まるであらたに意味付けされた楽曲のように生まれ変わっていました。
まいかさん [DVD(邦画)] 9点(2020-01-26 02:23:41)
171.《ネタバレ》 正直なところ何故堀越二郎の零戦開発物語に堀辰雄の「風立ちぬ」をプラスしたのか意味がわからない。映画全体が堀越二郎サイドに引っ張られすぎていて、堀辰雄サイドは堀と矢野綾子(里見菜穂子)が軽井沢で出会ったことや女子美出身の綾子が絵画を描いていたこと、綾子の父親が銀行の頭取で実家が裕福であったこと、そして(婚約の後)綾子が結核で夭折してしまうというモチーフ以外はどこが「風立ちぬ」なのだろうと思わざるを得ない。「風立ちぬ」のテーマはひとが終わりだと思っているところから、懸命に生きようとする堀と綾子の過酷な愛の姿を描いている点であって、この映画の描き方とは真逆の世界だ。実際、堀は綾子がサナトリウムで亡くなるまで病室に泊りがけで献身的に看病し綾子の下の世話までした。堀(彼も同じ病を罹病していた)の不治の病である結核患者への求愛はそこまでの覚悟があってのものだった。綾子の死後、堀に妻帯をすすめたのは綾子の父親であり(綾子の遺言でもあった)、終生様々な形で堀を支援し続けたというから余程感謝していたのだろう。「風立ちぬ」を描くのであれば、少なくともその世界観を描いてほしかった。単にお涙頂戴的に夭折した薄幸の佳人のロマンスを描きたいのであれば他にいくらでも方法はあったのでは。まさか「風立ちぬ」というタイトルにこだわったわけじゃないだろうし。以上野暮と思いつつ。思い余って後略のまま。
kainyさん [地上波(邦画)] 4点(2019-07-15 17:53:05)(良:2票)
170.《ネタバレ》 一度夫婦となったのであれば、血を吐いて死ぬところまで一緒に、と思うのが人情。
きれいなところだけを切り取ってあえてキレイゴトにしているところに、奇妙な物悲しさを感じた。
堀辰雄を再読してみるか・・・
チェブ大王さん [地上波(邦画)] 6点(2019-05-06 23:00:54)
169.地上波で流れているのを見かけ、不意に三度目の視聴。
本監督らしいエンターテインメント映画でありながら、質も高い作品だと感心しながら見ていたが、
見ているうちにそのエンターテインメント性が何か別のものに転化していった。
本作で最も批判されているシーンが最も素晴らしいシーンであるのは皮肉である。
生きることの閉塞感、それも、閉じているというよりも、閉じていくというような、たまらなさ。
それが開放されるということもなく、本作は終わっている。
観終えた後、この作品について話そうとしたとき、不意に涙が溢れて止まらなくなった。
生きることについて、タルコフスキーの「サクリファイス」を優れた作品だと考えていたが、
本作のほうがずっと上だと今回考えを改めた。
浅田荷葉さん [地上波(邦画)] 10点(2019-04-19 09:34:36)(良:1票)
168.《ネタバレ》 面白さでいったらぜんぜん面白くない。白昼夢のごとく冷めた口調で語る主人公が、天才的な飛行機設計者なのは分かるけど魅力がないったらありゃしない。ジブリなのに、観ててもぜんぜんワクワクしないのだ。子供のときにこれを観てたらどう思っただろう。
作中おっと思えたのは、祝言をあげるシーン。忍ぶ川よろしく、美しい花嫁の登場シーンと仲人とのやり取り自体は素晴らしいのだが、でもこれってヒロインの独りよがりかなとかいちいち引っかかるのだ。理想の女性像を入れるのはいいけど、結核なのに一度も咳のシーンがないのも違和感があった。やたら頻繁にタバコを吸うシーンも入ってて、これもどうかしてるんじゃないか。街中いたるところで禁煙になってるのに。夢オチも多すぎる。若いころに名声を得て飛び抜けたものの、時代についていけなかった老監督の最後のやりたい放題、という感じ。
点数を4点にしたのは、それでも飛行機の描写とか迫力があったし、ヒロインの生き方にも共感できたから。
ではさようなら、宮崎駿監督。
mhiroさん [地上波(邦画)] 4点(2019-04-16 21:38:41)(良:1票)
167.《ネタバレ》 兵器オタクと左翼的平和主義思想の監督の最終作。話は矛盾しているとも思うが、画面で最後までみせる。可もなく不可もなく。
にけさん [映画館(邦画)] 6点(2019-01-04 22:29:52)
166.《ネタバレ》 この映画は、ぶっちゃけ映画「セッション」と同じテーマの作品と思うのですが、要するに美しいものを創るためにどこまでヒトデナシになれるかという話。

「セッション」では作り手がヒトデナシであるということを自覚しているので、それなりの因果応報もあって、その上で、素晴らしい芸術を生み出す事実に震撼としたりもしたのですが、この「風立ちぬ」はその辺の倫理観によるリミッターが何もなく、ただただヒトデナシ行為が粛々として続けられていき、それがヒトデナシ行為でないかのようにごまかして描かれ、最後にはあたかも美しい物語であったかのように美化されて終わるという、割とどうしようもない救いがたい自己満足作品かなあと思いました。

相変わらず映像は素晴らしいので、倫理的に誤ったヒトデナシ行為を、あたかも美しい素晴らしいものであるかのように誤認させる極めて悪質極まりない作品という認識で、だから最後に「生きねば」とか、主人公がふざけたことを言い始めますが、くそじじいはとっととしねよ、としか思えませんでした。

あと、時期的に宮崎吾朗氏の「ゲド戦記」への返歌的作品かなと思いつつも観てたのですが、作中には息子どころか子供の話すら一切出てこないありさまで(さすがにあの当時結婚して子供の話が一切出てこないのは異常でしょうと思うのですが)、何もかもすっぱりなかったことにされてて、その辺りも酷さに拍車をかけています。

現在、結局引退すると言ったくせに、また復帰しておりますが、本作のような純文学的な話を描こうとするとどうしてもヒトデナシな話になって勘弁してほしい感じなので、どうせ作るならエンタメ作品を! と思う次第です。
simさん [映画館(邦画)] 0点(2018-12-16 07:59:13)(良:1票)
165.《ネタバレ》 ゼロ戦の設計者・堀越二郎が実名で出ていますが、
「風立ちぬ」の著者・堀辰雄の人生と著作をフュージョンさせたフィクションでした。

宮崎氏が描きたかったのは、飛行機の設計だけに執着した男の話。
道徳的な教訓や反戦的な思索を込めた作品では無い。
だから、時代背景として描出される大正後期から終戦までの出来事
~関東大震災、失業者が溢れる不況、銀行破綻、特高警察のマークなど~
はあくまで背景として流すだけで、主人公はそこに関わらない。
戦争描写も同様で、物資不足や空襲は描かれない。
思い切った省略が為されている。
「お国のために」という意識が堀越二郎に皆無だったとは思わないが、
そこも外されている
後半、病身の奥さんとの遣り取りが美談風に描かれる。
この辺りが堀辰雄からの引用。
でも、あえて較べるなら、主人公の頭の中は飛行機7、奥さん3くらいに思えた。
これらは意図した演出だろう。
空への憧れ、という一点だけを見つめた男を浮き彫りにするための演出です。

艦上戦闘機の設計に「機関銃さえ無ければ可能な案」が浮かぶ。
兵器を設計しながら、思考は「美しく飛ぶ飛行機」を模索する。
本人の目的と、製造されるモノの目的が合一しない。
最終的にゼロ戦は「機能美」を獲得した機体になった。
彼が夢で見たゼロの編隊飛行はとても美しい。
でも、その夢の中でも「最後はズタズタでした」と語る主人公。
「ズタズタ」とは撃墜や敗戦だけでは無く、「棺桶」として使用されたことも含まれるのだろう。
これらのギャップや矛盾が本作がテーマだったと思う。
時代のうねりの中で、
嗜好だけを貫いた者がどのような感慨を覚えたのかを描きたかったのだと思います。

そして、本作の主人公は宮崎氏にオーバーラップします。
この人ほど「空を飛ぶ機械」への憧れを描き続けた作家はいない。
ファルコ、ギガント、メーヴェ、ガンシップ、オーニソプター、アルバトロス、等々。
デッキブラシなんてのもあったけど(笑)。
長い付き合いの中で多くの飛翔を堪能して来ました。
彼は飛行機の操縦も設計も出来なかったが、描き、動かすことを自己実現の手段とした。
手法こそ違え、本作の主人公そのものではないか。
「空を飛ぶ機械」は美しく描きたいが、アニメになったら大半は戦闘シーン。
流麗に飛ばしたくとも、人殺しのシーンが最もイキイキする。
これも矛盾です。
個人の嗜好と有用性は、矛盾を孕んで進むものなのだと思います。

本作は分かりにくい映画でしょう。
それは、強引な取捨による個人の一側面描写に起因しています。
敢えて禁止用語を使いますが、ヒコーキキチガイを描いた映画でした。
同時に、監督の想いを綴った私小説ならぬ私映画でした。
そこに込められた想いに呼応できないと、ぼやけた見え方になると思います。
彼は「ズタズタ」になったとしても、彼の嗜好でアニメを作り続けたのでしょう。
広告に使われていたフレーズ「生きねば」とは、それしか出来ない者の覚悟だったと解釈します。
私は感動しました。

(2018/12/15更新 初投稿時、文字数制限で割愛していた部分を補足しました)
アンドレ・タカシさん [映画館(邦画)] 9点(2018-12-15 00:31:53)(良:6票)
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【点数情報】

Review人数 184人
平均点数 6.54点
042.17%
110.54%
221.09%
394.89%
4168.70%
5179.24%
63116.85%
73921.20%
83720.11%
9137.07%
10158.15%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.27点 Review18人
2 ストーリー評価 6.10点 Review29人
3 鑑賞後の後味 7.19点 Review31人
4 音楽評価 7.68点 Review29人
5 感泣評価 6.39点 Review28人
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【アカデミー賞 情報】

2013年 86回
長編アニメーション賞鈴木敏夫候補(ノミネート) 
長編アニメーション賞宮崎駿候補(ノミネート) 

【ゴールデングローブ賞 情報】

2013年 71回
外国語映画賞 候補(ノミネート) 

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