6.《ネタバレ》 結婚式とお葬式が重なってしまったイランの一家族の悲喜こもごも。次々と訪れる親戚の顔ぶれが、なんせ此方には見分けがつきづらく、ドキュメンタリーのような話もよく言えば実直だけど、まあ盛り上がりには欠ける。嫁ぎ先で留学を考えているらしい花嫁は、従兄弟への想いを残しているらしい。どう見ても相思相愛ぽい二人なのだけど、何も起こらないのである。聖職者である叔父の病気もこちらには知らされるけど、話のなかではスルーされ、ラストの母親の沈黙の意味も良く分からないし、観ている方の消化不良は山ほどある。
とはいえ、中東の慶事、弔事の様子をつぶさに見られるのは興味深かった。久々に親戚が集うと、女たちはかしましいし、男たちは密談めいたことをしている。人間どこも同じだなあ。ソリの合わない隣家、頑固な大叔父、まるでちょっと前の昭和ドラマを見ているようで、やけに肌になじんだ。映像も、緑と土壁の対比が美しい。