3.《ネタバレ》 オリジナルよりもこちらを先に見ることは絶対お薦めできないし、オリジナルを見た後にこちらを見ることもあまりお薦めできない、ちょっと困っちゃうリメイクねぇ。ひと言で言っちゃえば、ちょっと音痴なコピー映画。見る前の情報ではオリジナル版から発展的な展開をする映画?って印象もあったのだけど、実際はまんまリメイク。映画内に出てくるメタ的な描写(オリジナル版の映像がチラリと映る)は逆に混乱要素にしかなってないわ。
最初の『ONE CUT OF THE DEAD』にあたる『Z』部分はオリジナル版にかなり忠実だけどテンポ悪くてカメラも(意図した部分以前の基本的なテクニックで)見劣りしてしまうわ。
二幕目の製作に至る部分の見どころは竹原芳子さんの出番が意外に多い!ってところくらいかしら。主演男優がいちいち監督に絡むのクドいし。
いちばん問題なのは三幕目の撮影の裏側部分かしらね。1つ1つのネタの描写がクドいの。ゲロとか下痢とかオリジナルの数倍引っ張るわ。そんなモンでテンポ悪くしてどうすんの?みたいな。監督が現場とコントロールルームを移動する描写を何度も繰り返すのもクドいばかり。
一方で護身術ネタのカナメな「ポン!」が無いので護身術がアクセントとしてちっとも機能してないし、脇のスタッフとキャスト一人一人の扱いが軽くなっているので群像劇としての魅力が薄くなっているわ。
全体的にテンポの悪い、あまり巧くない映画って印象で、冒頭部分の『Z』のぎこちなさが全編に渡ってしまっている感じがしてしまうわ。日本の要素をちょろちょろ盛り込むのもいいけれどリスペクトにしては日本人から見てあんまりキモチのいい感じではないのよね。
この映画のメリットがあるとしたら世界市場に売り込めるって事かしらね。どうしたって日本映画はなかなか西洋圏では受け入れられないものだし(マニアな人はともかく)。海外の人がこの映画から入ってオリジナル版も見てその巧さを知るのならば、この映画の存在にも意義が出てきそう。
或いは『怪しい彼女』みたいにもっともっと色々な国のバージョンが出来て各国見比べみたいなコトができたら楽しいかも。