232.《ネタバレ》 たけしがバイク事故後に初めて手掛けた映画で、それぞれ新しい世界に飛び込んだ落ちこぼれ高校生コンビのマサル(金子賢)とシンジ(安藤政信)の二人を描いた青春映画。久しぶりに見たが、この頃のたけし映画らしい淡々とした雰囲気はあるものの、同時にこの頃のたけし映画にある陰湿さはあまり感じられず、逆に普遍性のある物語になっているが、とても力のある映画で、見ていてグイグイと引き込まれる。たけしならばヤクザの世界に入ったマサルのエピソードを中心にやりそうなところを、どちらかと言えばボクシングの世界に入ったシンジのエピソードのほうに比重が置かれているのが今見るとちょっと意外な感じがするのだが、たけし自身がボクシング映画をやってみたかったというのを知り、納得。(生死をさまよった直後にヤクザの話をあまり深くやりたくなかったというのもあるのかも。)シンジのボクシングのシーンも実際のトレーナー(南海しずちゃんを指導した人)が指導しているだけあって文句なしの迫力が出ている。そのボクシングが上手くなったシンジが対人関係には受け身の姿勢であるためにハヤシ(モロ師岡)の誘いに乗ってしまい、それがきっかけで落ちていくあたりは妙にリアリティを感じさせていて怖く、実際にもこういうことはあるんだろうなと感じずにはいられないし、このハヤシの存在も本作の中で大きなものになっている。でも、本作はやっぱり、屈折したマサルとシンジが校庭で自転車の二人乗りをするラストシーン、ここが本当に最高で、このシーンにたけしが本作で言いたかったことが全部詰まっている気がするし、たけしの事故からの再起にかける思いもじゅうぶん感じ取ることができる。しかし、それ以上に「俺たち、もう終わっちゃったのかなあ。」「バカヤロー、まだ始まってもいないよ。」という二人のこの会話には見ている側としてもどんなに失敗しても、傷ついてもまた立ち上がればいい、生きている限り何度でもやり直せるんだということを教えられた気がして、すごく勇気づけられるし、また頑張ろうという気持ちを奮い立たせてくれ、とても前向きになれる。このラストシーンだけで、本作はたけし映画のマイベストだと自信を持って言えるし、間違いなく青春映画の名作だと感じる。このラストシーンからのエンドロールへの入りもやっぱり最高だ。(2024年12月1日更新) 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 9点(2024-12-02 19:43:20) (良:1票) |
231.北野映画の傑作。ボクサー、やくざ、漫才師、それぞれの青春を冷めた映像で描いています。 【東京ロッキー】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2024-06-11 14:17:29) |
230.《ネタバレ》 余計な演技をさせずに地道な日常生活の描写を積み重ねているのと、ボクシングのシーン(練習含む)をきっちりと撮っているところには好感が持てる。大事件が起こりそうで起こらない、またポイントとなる部分も最低限の説明だけであるのが、登場人物の心理を暗に表現しているようで印象的。ただ、主人公2人の部分はきちんと骨があってドラマにもなっているのに比べ、サブの漫才師とかタクシー運転手の部分が、全然機能してないのですよね。本筋と絡んでもいないし。 【Olias】さん [DVD(邦画)] 5点(2024-01-01 00:34:52) |
229.《ネタバレ》 才能あるアイツはボクサーに、才能ねぇオレ様はヤクザに。アイツはチャンプに、オレ様はオヤビンに…なれなかったけれど最初と同じ場所に戻ってきたフタリ。回帰、輪廻。人生100年、まだ始まってね~んだよん。粗削りながらも北野武監督の良作。 【獅子-平常心】さん [DVD(邦画)] 7点(2019-06-15 01:51:50) |
228.《ネタバレ》 単純にプロットが面白い。 最初は金子賢が主人公だと思うんだけど、実はシンジのほうがボクシングの才能があって…という展開が意外。 そこからまた話が二転三転して、それぞれの立場が目まぐるしく変化するので飽きさせない。 人生の挫折を味わった2人のラストの台詞で映画がグッと締まる。 確かに人生はまだまだこれからだ。 この映画は観終わった人に前を向かせる力があると思う。 【Nig】さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2018-08-21 04:07:36) |
227.《ネタバレ》 たけしの監督作で唯一大好きな作品。 なんの進歩もない二人とうだうだな学生生活がリアル。 男子校ってこんなんなんよねー。 (ちなみにウォーターボーイズの男子校生活はかなり白々しく感じる) 私は「進歩しない、なにか事件があっても登場人物の本質はなかなか変わらない」という作風に強く惹かれる。 いくらチンピラの中で出世しても、いくらボクシングがうまくなっても根本的にダメな部分を持っているせいで二人とも夢破れる。 最後のセリフは「希望」や「負け惜しみ」と捉えるだけじゃないもっと映画としては別の意味があると思うけどどうやろう? 「良くも悪くも相変わらずだなこの二人、なんにも変わっちゃいねぇ。ほんと進歩ねぇな」ってたけしは言いたいのではないやろうか。 うーんうまく書けない。 【CBパークビュー】さん [DVD(邦画)] 9点(2018-03-20 16:37:14) (良:1票) |
226.マーちゃん、俺たちもう終わっちゃったのかな。 馬鹿野郎、まだ始まっちゃいねーよ。 最後、校庭で自転車に乗りながらのラストの台詞が大好きすぎる。 人には必ずある人生の失敗、挫折を青春に乗せて描く最高のストーリー。 レイジングブルに影響受けたというがやっぱりボクシングいいよね。北野武監督の才能に拍手喝采。 |
225. 物言えぬ多くの人を泣かせて“キッズがリターン”は虫のいい話。オイラだったら泣かされた側に心を寄せる。二人の主人公に共感はない。 青春期の苛立ちや迷いを軸に、無軌道→居場所探し→成長・成り上がり→挫折→再生のお定まりパターン。ボクシングと不良の組み合わせもステレオタイプで新味なし。つまらないネタを繰り返す漫才コンビの青春は逆に引き立つ(引き立たせたい?)。 最後の「まだ始まっちゃいねえよ」・・・強引な成り上がりで兄貴分のシマを分捕り、半殺しにされた奴が振出しに戻れるとでも?のうのうと自転車に乗るラストの展開は大甘。序盤の校庭シーンのリフレインで映画の主題に沿った場面だが、半殺しから立ち直りまでに脈絡が感じられない。 by く○屋の店員 【風小僧】さん [CS・衛星(邦画)] 2点(2018-02-12 11:40:02) |
224.北野映画は正直苦手だが本作は心に響くものがあった。すれ違いながらも結局は同じ場所に帰ってくる2人に青春とは違う、人生について考えさせられる。最後のシーン、セリフは日本映画史に残る傑作だと思う。 【Kの紅茶】さん [地上波(邦画)] 8点(2017-08-28 11:45:44) |
223.《ネタバレ》 男子高校生青春ドラマ。 ほとんど予備知識なしで鑑賞。金子賢がでていて、ボクシングと聞いていたので、 金子賢がボクサーになるのかと思いきや、その友達のひょろっとしたほうがボクサーに。 腐ったしまった若者にまだ間に合う、まだお前の人生はじまってない!というメッセージ性を感じました。 【へまち】さん [DVD(字幕)] 7点(2017-08-13 14:09:04) |
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222.《ネタバレ》 北野作品は結構観ていて、どうも本人が出てきてピストルぶっぱなすイメージが強いですが、本人未出演のこの作品は群を抜いてると思います。 主人公のおちこぼれ二人は何処の世界に行っても他人との軋轢や、組織のしきたりで縛られたり潰されたりしてなかなか思うように行かない。それと入れ替わるようにかつては主人公達に馬鹿にされていた漫才コンビや、後進ボクサーが台頭していく。 淡々とした描写の中に人の世の栄枯盛衰と無常感がよくでていて痛いほどでした。若者の話なので最後は少し救いを入れたのかな。 タイトルバックの自転車二人乗りの疾走感、スパーリング時のリズム感、音楽も素晴らしいです。 【クリプトポネ】さん [ブルーレイ(邦画)] 9点(2017-07-25 23:16:51) (良:1票) |
221.《ネタバレ》 北野作品のなかでも数少ないほのぼの感のある作品。ボクシングはやったことありませんが、才能がある人はこんな感じでハマっていくスポーツなんでしょうね。私なんかは、観ながら何の目標があって続けてるんだろうと思いました。金子賢もヤクザになってしまいましたが、最後まで爽やか感があってよかったです。 【SUPISUTA】さん [DVD(邦画)] 7点(2016-09-25 12:21:26) |
220.《ネタバレ》 映画としてはすごく良く出来た作品ですね。ストーリーバランスが絶妙。ですが、 いかんせん、ここに描かれている「ちゃらけた」「センスが悪い」「すぐ楽な方に逃げる」「軽薄」ようなキャラクターをワザワザ映画で見たくないのだなぁ。 現実でもこういう眉をひそめたくなるような人とは、なるべく関わらないようにしているので・・ 【ボロミ】さん [DVD(邦画)] 5点(2016-02-23 19:58:53) |
219.《ネタバレ》 陰鬱な流れを一気に瑞々しい日々に変えてしまう。最後のせりふは逆転サヨナラホームラン。あんまりキマリすぎているため、これを言わせたかったから撮った映画じゃないのと思ってしまう。また、俳優・金子賢のキャリアもキメてしまったかのようです。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 7点(2016-01-10 15:48:07) |
218.《ネタバレ》 北野武のヤクザ映画は余り好きじゃないけど、「あの夏、一番静かな海」と「キッズ・リターン」は大好き。 少年から青年になっていく子供たちの多感な時期を描いた青春ドラマ。 この映画には色んな「あの頃の自分」がいるんだよな。 授業サボッてた奴、 真面目だった奴、 カツアゲされた奴、 されなかった奴、 見て見ぬフリをしていた奴、 スポーツやってた奴、 恋をする奴、 学校辞めた奴・・・色んな「自分」が見え隠れしている。 登場人物は一目見ただけじゃ印象に残らない奴も多い。 それを毎日会って話している内に馴染みになるように、じんわりと染み込ませてくれる。 大人になろうと一生懸命背伸びして、馬鹿やって、何をやっても長続きしない。 ただ、報われないだけが人生じゃない。 失敗から学んで別の成功をする奴だっているし、努力を続けて報われる奴だっている。 時折出てくるあの漫才コンビは良い例だね。 馬鹿にされてもプラス思考でコツコツ頑張り、夢を叶えた。 自分のために、誰かの夢になるために。 この漫才コンビはたけし自身を表現したものだと思う。 この話の下敷きは漫才師になった「たけし」自身と、 たけしが以前ボクシングに打ち込み始めた頃に東洋フェザー級チャンピオンとして活躍していた「関 徳光」のエピソード。 漫才師になった自分と、ボクシングに打ち込んだ関光徳。 そっからこんな爽やかな良い映画が生まれた。 「もう終わっちまったのかなぁ?」 「バカヤロウ、まだ 始まってねぇよ!」 【すかあふえいす】さん [DVD(邦画)] 9点(2015-06-25 17:48:05) (良:2票) |
217.《ネタバレ》 北野たけし映画。 高校の悪ガキ2人組が一人はボクシング、一人はヤクザでトップを目指す。 しかしボクシングの方は誘惑に負け勝てなくなっていく。 一方ヤクザの方も組長が暗殺され窮地に立たされる。といった話。 面白いかと言われたら普通。 二人は結局自業自得なんですよね。 だから追いつめられてても仕方ないよねで終わってしまう。 【Dry-man】さん [DVD(邦画)] 4点(2015-06-25 00:11:04) |
216.《ネタバレ》 嫌いなんですよね この二人。 だけども好きになってしまう この作品。 巧いですよね この撮り方とその作り。 それでいてキッズ・リターンとは ラストシーンを目にした瞬間、タイトル付けに関して完璧で巧いなと唸らざるを得ない。 漫才師を目指した二人の部分はサラッと流し、喫茶店に通い続けた彼とその店のお姉さんの悲劇的成り行きもくどい状況説明なく坦々と流し、ヤクザ部分をメインとせずに適度に軽く切り上げ ボクシングに明け暮れる少年シンジの部分だけを全編通してきっちり丁寧に描いた事が 最後の爽快感へと繋がったのでしょうね 名作と言われて不思議の無い名作。ただ、皆が言われる感動というのとは自分ちょっと違うと思う。感動など出来ませんよ ヤクザの絡む話に感動などしない。 【3737】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2015-01-12 00:30:59) (良:1票) |
215.見よう見ようとは思っていたものの北野映画独特の敷居の高さからなかなか踏ん切りがつかなかったのですが、ナッツリターン騒動の影響でむしょうにこの映画を見たくなりついに見ることとなりました。内容は小難しいこともなくエンターテインメントとして普通に楽しく見ることが出来ました。まだこの頃はそんなに名前が売れてなかったであろう若手の顔もチラホラと見ることが出来て俳優の顔だけ見てても面白いです。監督が撮りたいものがハッキリしているせいか一つ一つのシーンの安定感が異常で非常に安心して最後まで見ることが出来ました。やっぱり他の監督さんとは一つ次元が違いますね。 【映画大好きっ子】さん [DVD(邦画)] 9点(2015-01-08 22:21:37) |
214.《ネタバレ》 決しておりこうさんじゃない二人の主人公の青春と挫折のストーリー まったく違う話だけど「モンスターズ・ユニバーシティ」を思い出した どうしようもなくバカな二人の挫折の話だが妙に爽やかな気持ちになる 主人公の二人だけではなくて高校時代のクラスメイト達の人生や挫折も同列に描くのはなかなか巧い 北野映画特有の超短いシークエンスでクラスメート達のその後を印象的に描くのはバツグンだ エロ映画館にいろんな奴が繰り返しバカな仮装して現れるとか、成人映画のタイトルが「悶えろ青春」だったり、くだらない北野ギャグも健在 久石譲の音楽も抜群 ストーリーの説明がまったく無い上にセリフが聞き取りにくいのでヘッドホンとかで集中して見たいと思った バカな二人を見ているだけで遣り切れない気持ちになるが、いつもの北野映画に比べるとずっと希望がある 北野映画は「世間は常に甘く無く、人生は残酷である」ということを繰り返し描くがこの映画は二人が若いだけに希望がある ラストにシンジが「俺たちもう終わっちまったのかな?」と聞くとマサルが「馬鹿ヤロウ、まだ始まっちゃいねーよ」と答える 「そうそうお前達はまだまだこれからだよ」といってやりたい一作 【にょろぞう】さん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2014-12-01 16:05:34) |
213.原点回帰。自転車の2人乗りから始まり、最後再び校庭へと戻ってくるラストシーンは、安に若者たちだけの人生観を示しているだけじゃなかった。まだ自分は変われる、成長できるはず。自分に変革を起こそうと頑張っている人にとって勇気を与えてくれる。そんな不思議さを秘めた作品であり、北野映画では珍しくポジティブになれる。「まだ始まっちゃいねえよ!」Good!! 【シネマブルク】さん [DVD(邦画)] 9点(2014-10-24 08:06:38) |