3.日本公開時期が例の「ライフ・イズ・ビューティフル」と重なってしまったために、あまり日の目を見ることが出来なかったことが心の底から惜しまれる。一足遅れて登場したティム・ロビンスの「クレイドル・ウィル・ロック」は明らかにこの作品のパクりなのであるが、もちろんオリジナリティの面でも、無駄なメッセージ性の無さから言っても、圧倒的にこちらの方を私は支持する。結局、タトゥーロが妻のキャサリン・ボロウィッツにベタ惚れだということがよ~くわかるにすぎないんだけど、今世紀初頭のNYという比較的珍しい背景に加えて、各国語を話す有象無象の移民たち、しかも芸人という身分がいかに卑しく怪しかったか、など、物珍しさも加わって飽きずに最後まで観られる。加えて天下無敵のバカ女優に扮したスーザン・サランドンと、女装癖の演劇評論家クリストファー・ウォーケン、この2人はもう確信犯的な友情出演で広告塔を買って出た感じ。思いがけない拾いモノであることは間違いないので、是非もっと注目を集めてもらいたい作品である。