20.《ネタバレ》 マスコミが報道しないところも映し出しているので、そうした意味では貴重。
教団を囲む近隣住民、マスコミ、右翼団体などの知られざる実状もある程度伝わってくる。
オウム追放運動を続ける地域住民と信者との意外に和やかな交流などは、こうしたドキュメンタリーでないと知りえない。
談笑しているのを見ると、どこにでもいる温和で善良な若者たちに見える。
ところが、インタビューの中でゾッとする本音が垣間見える。
自分の感性でそれがどんなに変だと思っていても、グルからの言葉であれば従うべき。
信者がそう思っている時点で、今も危険な集団だということがわかる。
麻原を今も尊士とあがめているから、辞めることなくまだあの集団にいられるのだ。
宗教の持つ危険性を自覚している信者もいた。
考えたくもないことだが、もし麻原の指示があれば、また同じことを繰り返すに違いない。
この作品を見終えて、そう確信した。
麻原を信奉している限り、一般社会との真の融和はありえない。
被害者である河野氏が指摘した信者の甘さは、まさにその通り。
謝罪の一言もなく面談に臨んだ姿勢には呆れるしかない。
つまりは本当の意味での反省などしていないのだから。
反省のフリをしているのは、あくまでも教団生き残りのための「方便」でしかない。
表層的な融和で乗り切ろうとしているのが伝わってくるし、生真面目な荒木広報部長が森監督の言葉に反論できなかったのも印象的。
マスコミが必ずしも事実を伝えるものではないのは今では周知のことだろうが、事件を起こした教団が被害者面するのもそれは違うだろうと思ってしまう。
ああ言えば上佑氏の姿も久々に拝見。
この後、教団は麻原からの脱却を目指した上佑派と、それに反発する主流派に分裂したようだが、『A3』でその実態を伝えてほしい。