1.実はこの映画、原作マンガの精神にはドラマ版よりもずっと忠実なのです。原作の基本は塚原の成長物語なので、ドラマ版の千夏メインな展開(しかも本来ボケな千夏がツッコまれずにカッコいい、ってどーゆー事よ?)は「こんなの『ショムニ』じゃない!」なんて思ったのですが(3話くらい見て、これはこれでアリ、とも思いましたが)、映画はダメOLが悪を糾す、なんて展開じゃなくて、ダメOLなりのドラマを綴ってゆくワケで、それこそが原作の持ち味だし、魅力。遠藤久美子の塚原はイメージこそ違うものの、ショムニのメンバーに翻弄されつつ成長してゆく、という役どころを好演していました。だけど、あくまで人気が出たのはドラマの「ショムニ」だったワケで、そのキャストも使わなければ、会社を舞台にした物語ですらない(メインになるのはアフター5、夜の物語)「ショムニ」が、一体誰のために存在しているのだろう?というのが正直なところ。原作の精神には忠実でも物語は全くオリジナルな状態なので、原作ファン向き、という訳でもないですし。高島礼子の千夏はアクティブさが不足してるし、河合美智子のカナさんはその設定に説得力を与えてくれません。千夏のライバル杉田や、塚原の恋の相手右京を出さない、狭い世界で終わってしまうこの映画、それでもドタバタ喜劇として楽しめはするのですが、誰が望んだのやら存在意味不明、というのはとっても不幸な状態でした。