53.《ネタバレ》 ジェームズ・スチュアートやケイリー・グラントそしてグレース・ケリーとは疎遠となり、いい意味でも悪い意味でも迷走していた60年代のヒッチコック、女優以上にヒーロー男優に迷いがあった感があります。『マーニー』のショーン・コネリーに続いてついに大物ポール・ニューマンが起用することになった次第です。そりゃあニューマンにはヒッチコック作品に呼ばれることには不満はなかったでしょうが、“若き天才物理学者”というキャラには正直いって合ってなかったような気がしてなりません。ヒッチコックには冷戦スパイものというべきいくつかの作品がありますが、本作を含めてどれもイマイチなんですよね。言ってみればこの映画でのニューマンは亡命者を装った二重スパイというわけなんですが、米国の国防兵器の開発に携わっているような科学者が危険な任務を引き受けるようになる動機というか必然性が見えてこない。まあ言ってみれば素人スパイなわけで、タクシーに乗って工作員に会いに行くシークエンスなんて東独当局にバレるのは当然と言えば当然です。ここで監視役を殺してしまうことで後半のハラハラ・ドキドキに繋がるわけだけど、この殺し自体がなんか雑な展開な感が拭えません。東独の科学者から数式を聞き出すところも思ったよりあっさり感が強くて、ここをもっと凝った展開にしたら違ったサスペンスが生まれたんじゃないでしょうか。脇はほとんど西ドイツの俳優が起用されていて仲間内では当然ドイツ語で喋っているのでニューマンがドイツ語を解しないという設定はリアルさがあるんですけど、さすがに劇場で「火事だ!」という英語の叫びにドイツ人の観客がパニックになるというのは、ちょっとアレでしたね(笑)。ニセ路線バスと本物のバスとの接近遭遇など随所にヒッチコック流の盛り上げが健在でしたが、全体的にサスペンス映画としては緩すぎです。 考えてみれば、本作がヒッチコックのフィルモグラフィで最後の大物男優の主演作でした。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2023-07-28 22:37:13) |
52.本来なら胃がキリキリするような状況のはずですが、またそういう場面を「これでもか」と言わんばかりに盛り込んでいますが、終始一貫ユルいんですよねぇ。オリバー・ストーンとかがリメイクしたら、グロくて怖くて息もつかせぬサスペンスになりそう。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2021-06-07 01:27:16) |
51.《ネタバレ》 ジュリー・アンドリュースが物語に機能していないのが残念。彼女以外の女性キャラクターがそれぞれ印象的なので、尚更お飾り感が強く、脚本に問題ありです。任務が数式を盗み出すというところも気持ちが盛り上がらず。小技は効いていてもそれだけで終わってしまった作品。 |
50.《ネタバレ》 前半は何とものんびりした雰囲気で、やっぱりヒッチコックは、ずれた人とか間が抜けた人とかの方が本領発揮だよなー、こういう真面目な正統派サスペンスは向いてないよなー、と思わせます。ところが博士との対決から脱出に移行するにかけて、まるで別映画のように分かりやすくスリリングになってきます(それはそれでヒッチコックらしくない、と言えば言えるが)。脱出に自転車!バス!という身近なツールでかえって生々しさを感じさせ、ただ単に「関係ない郵便局職員が何回も出入りする」というだけで危機感を醸し出す。この辺りの職人芸は見事なのですが、逆に敵警官があちこちで再三登場するのはかえってだれてしまいますし、劇場のシークエンスもむしろ凡庸でした。●「フライパンで膝のお皿を打つ」というのは想像するだけで痛そうだなあ。あれは利きそうだ。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2020-07-08 00:44:20) |
49.《ネタバレ》 目に見えて面白さに翳りが生じてきている。かつての美点であった映像の素晴らしさも影を潜めてしまった ポール・ニューマンはヒッチコックの描く、微妙に頼りにならない男性像に落とし込むと、本当に嫌そうな顔をするので観ていて辛くなる エキセントリックなおばさんが複数あらわる。好みの分かれるところだろうが、誰か一人で十分だなと思った。クセの強いサポートキャラが多すぎ。 主題に力が無いためか、アクの強さばかりが目立って異臭を放っている。 亡命を装ったスパイ活動という先の見えない計画の甘さと、旅行気分でタクシーを待たせる緊張感の無さと、爽快感の全くない脱出劇と、 これでは筋書きを楽しめる要素が見いだせないだろう。ガスで殺すの、蓋然性が足りないだろう。 【うまシネマ】さん [ブルーレイ(吹替)] 3点(2019-11-06 03:27:52) |
48.《ネタバレ》 007をショーンコネリーがやるんだから、男ポールニューマンも負けてはいられないとスパイ映画。しかしヒッチコックらしい、ゆる~いスパイもの。前半はらしさがないものの、後半一気に加速する。特に東ドイツ(古!)からの脱出劇からヒッチコック演出のオンパレード。偽装バスが本物バスに追いつかれそうになったり、絶体絶命の劇場からの脱出や、保証人になってくれとせがむ老婦人とか、とても普通のスパイ映画じゃ見られないような展開。ヒッチコック映画は疲れているときとかも、気軽に観られるのでいいね。最近の映画は集中力を求められるので、気楽に観られないし・・。それにしてもジュリーアンドリュース、素敵です。美人ものでも知られるヒッチコック。ここでも手腕を発揮、彼女らしさを損なうことなく、安心して観てられました。時たまジュリークリスティとごっちゃになってしまう小生ですが・・。 【トント】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2017-05-05 00:23:11) |
47.やはりポール・ニューマンは三枚目な役の方が似合いますね。 【ケンジ】さん [ブルーレイ(字幕)] 5点(2016-08-11 00:07:27) |
46.もう何回も見てますが、ヒッチコック作品の中では最高峰と思います。最初(もう何十年前)見た時は驚嘆しましたね あの劇場で「火事だぁ~!」と叫ぶ場面や、偽のバスで逃げる場面はハラハラドキドキで非常に見応えがありました サスペンス映画の中ではベスト3に入る作品でしょう。 【マロウ】さん [ビデオ(吹替)] 8点(2015-11-28 19:43:06) |
45.《ネタバレ》 ヒッチコックのストーリー構成と演出の巧さは、ここでも発揮されている。 リンツから方程式を巧みに引き出し、逃げる主人公に迫る追っ手。 偽装バスに乗り込むお婆さんのノロノロした動きには、見ているこっちまで乗客に共鳴してイライラしてくる。 衣装箱に隠れていたのが見つかったかと思えば違う箱だったり、ハラハラさせるお手本のような展開も。 ただ、傑作とまではいかないのは、温いところも幾つか目につくから。 主人公の「火事だ!」の一声だけでパニックになるのは安易すぎる。 主人公が序盤では国の裏切り者かのようにミスリードしようとしているものの、P.ニューマンの主人公がそんな人物のはずがないという頭もあって騙されない。 本当におもしろいサスペンスは、きれいに騙してくれるのだけど、この作品はそこまでのものはない。 【飛鳥】さん [地上波(吹替)] 5点(2014-12-12 23:37:46) |
44.私も同じですね。ポール・ニューマンがヒッチコックの映画に出たよってだけで、何も残りません。せいぜいラストのどんでん返しくらいでしょうか。 【クロエ】さん [地上波(吹替)] 5点(2014-12-04 05:02:24) |
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43.東西冷戦当時の鉄のカーテンをイメージしながら観賞しましたが、舞台劇のような動きの少ないシーンと都合良過ぎる展開が多くてちょっと退屈な映画でした。 【ProPace】さん [地上波(吹替)] 5点(2014-12-03 20:22:26) |
42.《ネタバレ》 ヒッチコックお得意の巻き込まれ方サスペンス映画なのに何故かな?今ひとつである。それはヒッチコック映画らしいお人好しの人間が事件に巻き込まれて行き、事件を解決てのがどうもこの映画の主人公にはそれがあまり感じられない。ポール・ニューマンが自ら態と事件に巻き込まれて行くのも余り共感できない。それと相手役の女優も魅力が感じられない。殺人シーンの緊張感、偽物のバスと本物のバスとのシーン、大勢を巻き込んでの緊張感は流石ヒッチコらしい上手さを感じるし、ハラハラさせることは本当に上手い。それだけに何か私の好きなヒッチコック映画とは違って感じる。つまらなくはないし、それなりに楽しめるけど一度見れば良いかな。もう一度見たいて気持ちにはなれず。そしてやはりポール・ニューマンがヒッチコック映画とは何か合わない気もする。 【青観】さん [DVD(字幕)] 6点(2013-06-22 12:20:36) |
41.《ネタバレ》 アメリカ人が“鉄のカーテン”で閉ざされた国、東ドイツに潜入し、重大な機密を盗み出すという、ポリティカルサスペンス。 アルフレッド・ヒッチコックらしい美しい映像。 その中で繰り広げられる、アメリカ仕込みのご都合主義的なストーリー。 これが何とも、悪い意味でアンバランス。 終始緊迫感があり、楽しめる人には楽しめる内容となっているものの、あまりにイベント一つ一つが単純すぎる。 そして、主人公たちがピンチに遭遇する回数も多すぎ、しかも都合良く切り抜けすぎ、と不自然な流れ。 そして、最後はハッピーエンド。 ううむ、素直に楽しめなかった私に問題があるのか、この作品の都合の良さに問題があるのか・・・ ちょっとした問題作のようにも思う。 どうでもいいが、ヒロインに魅力が無いのが、隠れ致命傷。 まあ、これは個人的な趣味の域を出ないが。 【にじばぶ】さん [DVD(字幕)] 5点(2013-03-27 00:23:10) |
40.《ネタバレ》 冷戦に勝利するという「大義名分」のあるところ命は軽い、にも拘らず人を一人殺すことがどんなに大変なことかを、なまなましく見せる。これを見れば、趣味のように「軽やかに」人を殺す『ナイト&デイ』みたいな映画は、やはり百害あって・・・とあらためて思う。ヒッチコックという人の政治的な機能をどうこう言うのは野暮な感じだ。彼は堂々と安全なポジションを取り続けた。対ナチスドイツの戦争の文脈でアメリカ入りした英国人としてまず『海外特派員』(反ナチ映画)を撮り、やがて『汚名』を撮ったときにはすでに反ナチ(自由の星としてのFBIの描き方はヒッチコック自身の「汚名」かもしれない)が時代遅れであったし、今度は共産圏に対抗する映画へと移行することになる。東ドイツの警察がちょっとナチのようなテイストで描かれている。要するに彼はベタなまでに開き直って安全地帯で(赤狩りの危険だってあったわけだから)娯楽映画作りに専念したということか。 【ひと3】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-11-05 11:31:05) |
39.《ネタバレ》 農家の殺人シーン・・・ハラハラドキドキでした。 クライマックスの劇場シーン、どうなるかと思ったら・・・ヒッチコックらしい展開。 【KINKIN】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-02-02 09:40:58) |
38.《ネタバレ》 もし今初見だとどんな感想を持つことになるか分からないけど、大学1年の時初めて観た時は「おもしれぇ~!」と思いました。あの、おばちゃんバレリーナの、飛びながら獲物に定めをつける鷲のような目が、くるくる回りながらストップモーションでアップになっていく映像、大好きです。作曲家ともめて、結局、音楽なしとなったとされる、台所での格闘シーンもスゲェはらはらしました。ポール・ニューマンのこの格闘シーンでの首締められる表情が、結構いい感じ。ニューマンとアンドリュースのカップルで昼メロ調の起承転結なのも、微笑ましい感じで、僕は好きです。蛇足ですが、『タイタニック』でジャックがスケッチブックに描いてたボロ着て宝石だらけのおばはんの絵を見ると、この映画で保証人つかみそびれたオバさんを思い出します。 【だみお】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2011-08-27 12:54:41) |
37.ポール・ニューマンとジュリー・アンドリュースがヒッチコック映画でメインを張るっていうのがちょいと変な感じがする今作ですがいつもの心理的な怖さはなくいつ自分が捕まるか分かんないという緊張感が溢れて、深刻なんだけどそんな感じには見えないニューマンの顔が妙にハマり面白いサスペンス映画になってました。英語は出てくるけどドイツ語の字幕が出てこないのでたまに何言ってんだかわかんないとこがありましたけどそれがこの後何が起きるんだ!?な感じでいい盛り上げ方になってるんですよね。ヒッチコックらしいちょっとした捻り方、好きだなぁ。 |
36.《ネタバレ》 ヒッチコック作品の中では評価が芳しくないものの一本、かもしれませんが、展開が速くてとにかく楽しい作品、です。盛り沢山の内容に、息切れしないように注意。冒頭からポール・ニューマンとジュリー・アンドリュースが妙に濃厚にイチャイチャしているなあ、と思ったら、あっという間にそこに疑惑の影が差してくる展開。ああ、タイトルにある“カーテン”ってのはそのカーテンのことか、と思う間もなく、さらに物語は思わぬ方向に。絶望的な逃避行、というより殆ど荒唐無稽な脱出劇、ですが、ポール・ニューマンの飄々とした感じがうまくマッチして、サスペンスとユーモアを両立させています。1つのシーンが次のシーンへとバトンを渡し、まさに物語が“転がって”いくような、小気味よさ。いやむしろ慌ただしさと言っていいかも知れませんが。物語の展開の速さばかりではなく、主人公が彷徨う美術館のシーンなどを挿入することにより、独特の雰囲気も醸し出してみたり。と言う訳で、なかなかのオモシロ映画に仕上がっている、のですが、ただ・・・↓すでに指摘されている方もおられますが、劇場のシーン(大仰な“フランチェスカ・ダ・リミニ”の音楽に乗って、いかにもショボいバレエが演じられているのが可笑しい)で、主人公が英語で「火事だ」と叫ぶのが(しかもそれで劇場がパニックになるのが)、これはちょっと無理がありましたね(あまり関係ないけど、芥川龍之介の『煙草と悪魔』を連想する。寝惚けている悪魔が、わざわざ日本語で叫ぶか、どうか)・・・。さて、本作においても、ヒッチコック本人がどこに出演しているかが楽しみのひとつなのですが⇒⇒⇒音楽が「正解」を教えてくれます。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-04-12 00:15:49) |
35.《ネタバレ》 ヒッチコック作品は結構見ているけど、この作品も多分に洩れず面白かったです。特に派手なアクションがあるわけではないのに、シーン毎に緊迫感がすごくて次はどうなる?次はどうなる?とハラハラの連続でした。主人公達は危機の連続で「綱渡り」感もバッチリ。おすすめ! 【珈琲時間】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-01-30 22:20:54) |
34.《ネタバレ》 前半はスロースタートではありますが、東西冷戦下のベルリン、カーテンの向こうの体制側と反体制側それぞれの人間模様とその緊張感はよく伝わってきます。大学からの脱出以降はドキドキ感はさほどでは無いものの、大学、路線バス、郵便局、旅行代理店、劇場、船からの脱出と次々と二人を手引きする人間を変えながらテンポ良く見せる後半の脱出劇はなかなか楽しめます。ただし、「火事だ~!」の一言で劇場の全員があれ程のパニックに陥るかは疑問ですが。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 5点(2010-11-14 18:28:04) |