60.《ネタバレ》 これもまた凄い映画です。今までの伊丹監督の映画にもヤクザは出てきましたが、本作は伊丹版ヤクザ映画でしょうか? 昭和の時代、芸能界とヤクザは切っても切れない関係だったと聞きます。だからかどうか解りませんが、ヤクザ映画は邦画の一大ジャンルを占め、そこに登場するヤクザは、入れ墨してて怖いんだけど、男気があってカッコイイ主人公が多いんですよね。ある意味、ヤクザのイメージアップに貢献していたんじゃないでしょうか。鶴田浩二や高倉健、菅原文太に憧れて、その道に足を踏み込んだ若者も、少なくなかったことでしょう。 一方、本作のヤクザは弱いものから金を巻き上げる、怖くて悪いだけのヤクザです。しかも人を騙し、弱みを握って、罠に嵌めて、恫喝して金を巻き上げる、手口も汚いし、お世辞にもカッコイイとは思えないヤクザです。ヤクザ映画と伊丹映画。実際に私達の周りにいるヤクザって、どっちなんでしょうかね? 怖いヤクザの化けの皮を一枚一枚剥がし、恫喝は出来ても、そう簡単に暴力は振るえないヤクザの実態を丸裸にしてみせます。映画を観る私達も、セキュリティ対策の鈴木と若杉のように、まひるから対策を学び、「もうヤクザなんて怖くない!」とまで思わせる力量は見事です。集団でホテルに来たヤクザの一団を、鈴木がホテルマンたちの先頭に立って、涼しい顔で撃退するシーンは本当にスカッとします。 伊丹監督が、ヤクザを敵に回す覚悟があって本作を制作したのかは疑問です。脱税、宗教団体&地上げ屋ときて、今度はヤクザの実態を暴くハウトゥを映画にしてみようか…。なんて具合に、単に娯楽としてスタートした可能性は否定できないですよね。 前作『あげまん』が思いのほか公開後の評判が良くなかったためか、本作は伊丹監督らしいスタンダードな仕上がりとなっています。 ただ当時は、こんなにクオリティ高いのに、マルサと同じようなジャンルが続いてしまい、“伊丹監督ってこういうのしか面白く撮れないのかな”なんて、マンネリ感を感じてしまっていたように思います。今思うと贅沢な考えですよね。 公開直後の伊丹監督襲撃事件は、却って監督を本気にさせてしまったのかもしれません。いわば襲撃も、映画を見た観客のレスポンスの一つ。自分が暴こうとした真相に近づいた証拠!くらいに思っていたのかな?なんて。 今となっては真相は解りませんが、映画業界が持ち上げたヤクザのイメージを、地の底に突き落とす力を持った映画なのは、間違いありません。 【K&K】さん [地上波(邦画)] 8点(2024-06-18 22:18:56) (良:1票) |
59.暴力団の恐怖は控えめですが、その分誰でも見やすい仕上がりに。 伊丹十三襲撃事件まで起こした作品ですから、内容はソフトでも 中身はそれなりにリアルだったのでしょうね。 このテーマでエンターテイメントとして仕上げる腕はさすがです。 【デミトリ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2017-02-05 23:42:32) |
58.社会派映画だけど、堅苦しくなくてわかりやすいエンタメ性もある。 ゆすりたかりの暴力団の手口を明らかにしてやりこめる痛快作。 伊丹監督の才能と勇気に拍手。 【飛鳥】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2014-04-20 20:30:18) |
【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-06-21 09:37:00) |
56.《ネタバレ》 伊丹監督の映画は引き込まれますね♪ ホテルマンの成長ぶりが見ていて頼もしいです。 とても惜しい監督を亡くしたと感じます。 【しんしん】さん [DVD(邦画)] 9点(2013-05-08 10:59:18) |
55.プール断念ゴリラのガッツ石松、 腰抜けゴリラの大地康雄、 肩パッドゴリラの渡辺哲と 三人のゴリラ俳優の起用が適材適所の場所でズバリはまる。 暴力団メインの話でなぜにこんなに楽しめるんだろう さすがの伊丹さんですね。 シッペ返しは高くついたが、私らはあなたのその偉大な功績に拍手を贈る。 【3737】さん [DVD(邦画)] 9点(2013-02-15 23:48:46) (良:1票) |
54.伊丹作品、相変わらず目のつけどころがいいですね。ただ、展開のほとんどが予想の範囲内で、驚かされるようなシーン・印象に残るシーンも特にありませんでした。こういうテーマをコミカルに描くことで口あたりはよくなりましたが、逆に軽くなりすぎたような気もします。あまり好きな作品ではありません・・・。 【ramo】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2012-12-16 23:14:58) |
53.《ネタバレ》 芸が細かい!恐喝の手段って、こんなにいろいろあるんですね。 ゴキブリはよくある手ですが、バッグにゴルフですか・・・ 伊東四朗なんか、最初全然ヤクザに見えない。 はじめはまず油断させる。そしてスナック(キャバクラ?)での「飴と鞭」。あれは怖いです。 ですが一番怖いのは、打算や計算をまったくしない鉄砲玉のような下っ端。 実際井上まひる弁護士(宮元信子)を刺したのは、おそらく状況を全然理解できていない下っ端ですからね。 話も理屈も通じず、まったく行動が予測できない相手が一番怖いです。 父が昔スナックを経営していた時に、ヤクザ関係のお客が一番多かったそうですが、この映画に出てくるような計算高い人ってあんまりいなかったみたいです。 ほとんどは何も考えていない人達。 後先考えない、計算もしない。 そんなこちらの理解の範疇超えてくる人達が一番怖いです。 映画はめちゃめちゃ面白かったです。 オススメです。 【たきたて】さん [DVD(字幕)] 9点(2012-07-04 16:01:18) (良:1票) |
52.《ネタバレ》 お見事の一言 伊丹監督といえばマルサの女的イメージ 宮本さんなんて特にね しかし、いやーよく造ったよ ある意味、伊丹さんは日本のタブーに挑戦し続けた人で、間違いなくこの人にしか撮れない映画がある キャスティング・撮影・構成共に素晴らしい! そしてこの内容の真実性は例の事件(襲撃されてしまいましたね、監督ホント大変だったでしょう)で証明されています なんかすっごく勉強になったし「屈しないこと」っていうことが、ちょっと分かった気がします&ラストの爽快感は半端ないすね! いやーホントお見事でゴザイマシタ 【Kaname】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2012-06-13 17:33:16) (良:1票) |
51.《ネタバレ》 志の高い映画ですね、素晴らしいです。 きっちり面白さも散りばめられていてエンタテインメント性も文句なしです! 最後の大地さんとやくざの対峙は凄かったですね。 銃のない日本でもこんな手に汗握る決闘シーンを撮れるなんて。 現代(といってももう20年も経つんですね)日本の社会を舞台にすることで多くの人の共感(今作では妨害もあったようですが)を呼んで、取り込み、結局は社会に生きてる人達すべてを出演者にしてしまう作品づくりに感服するばかりです。 【ろにまさ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-05-25 16:00:32) (良:1票) |
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50.ヤクザ映画ていうとどうしても暴力だけを売りにして、ヤクザそのものの本質というものをきんちと描かない監督が沢山、いる中で、やはり伊丹十三監督は何かが違う。単なるヤクザ映画にしてない。ヤクザそのものの恐ろしさと弱さとの両方をきちんと余すことなく描いている点がこの監督の持っている才能であり、人間観察の鋭さというものをここでもまた感じることが出来る。どんな内容、どんな題材の映画でも伊丹十三監督という人は映画というものの強さ、利点を大いに生かして観る者に映画監督とは何なのか?映画に対して常に全力で撮っているというものを感じるさせるのである。正に映画に命をかけて撮っている。健全な一般市民を金の力や暴力によって脅かす存在であるヤクザ、暴力団と言われる人達、そんな非人間的な者に対し真っ向から立ち向かって見せた伊丹十三監督の心意気は賞賛に値する。 【青観】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-05-22 22:46:08) (良:1票) |
49.おもしろかったです。いわゆる暴力団ってのがわかりやすく描かれておりました。 【すたーちゃいるど】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-03-24 21:41:37) |
【なたね】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-10-08 17:08:14) |
47.とにかく面白い。中尾、伊東などのヤクザ側のキャラと、ホテル側のキャラが素晴らしい。 【Balrog】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-09-19 22:49:02) |
46.相変わらず目の付けどころが良く、 RPGゲームで主人公たちが成長していくような展開なので、飽きることなく鑑賞できる。 宮本信子はほとんど「マルサの女」だが、キャスティングには問題なし。 こちらも役者の使い方がうまい。伊丹作品を見慣れた人にとっては、少々新鮮味に欠けるかも。 でも面白いっス。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-08-21 11:32:55) |
45.《ネタバレ》 面白いなァ。伊丹監督はNHKスペシャルで取り上げるような硬派なテーマを老若男女わかりやすく、エンターテインメントとして仕上げる職人ですね!民暴対策の羅列で終わるのではなく、大地さん、村田さん、宝田さんとそれぞれにきっちりとした持ち場を与えているので、カタルシスがハンパないです。もし監督が存命でしたら、昨年世間を賑わせた「身元不明の100歳」等をテーマにした作品を撮って欲しかったですね。それにしても大滝秀治さんはおいくつなんだろう?特捜最前線の頃からソフトバンクのCMまで全く変わってませんよね? 【かんちゃんズッポシ】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-01-04 14:35:07) (笑:1票) |
44.《ネタバレ》 暴力団のゆすりの手口の数々とそれにどう対処すべきかを娯楽性豊かに描いた痛快作。キャスティングが絶妙で、とりわけ支配人を駆けゴルフに誘いスキャンダルの罠を仕掛ける伊東四郎が印象的。監督の伊丹十三が襲撃されるほど暴力団を本気で怒らせたヤバくてためにもなる作品。伊丹十三監督作の中でも最も好き。 【きーとん】さん [地上波(邦画)] 8点(2010-09-18 16:41:29) |
43.伊丹監督の情報映画というか、手口紹介映画というか、“現場主義”がよく表われた作品。こう複雑になった社会では、背景を分析していってはキリがなくなってしまう。そこで何事かが起こっている現場だけに好奇心を絞り込んでいく。現場のレベルでナマなものだけが、現代では確実な手応えを与えてくれるもので、そこに固執しよう、と割り切った姿勢が感じられる。暴力団と警察と企業、それらの関係を構造として見、解剖していくのではなく、それらが接触する面だけを剥がしてスクリーンに広げていく。暴力団と警察の背後にある政界での癒着などには思いを馳せず、このホテルのロビーだけの限られた中での正義を描く。もちろんこれは大きな弱点で、社会を捉える映画として最も重要である批評性を捨ててしまう訳である。でも、この世の中を大局的に分かったように扱うよりは、まず確実な部分だけでつかんでみたい、という作者の姿勢も尊重してみたいのだ。大局的な論は、突き詰めると抽象性の幕によって時代との間に境が作られてしまっているような感覚が残る。この幕に対するいらだちを監督は強く意識していたのではないか。日本の社会派映画の、とかく大局の論に走りがちな欠点を、もしかすると乗り越える役割りを担うのではないか、とこのころの伊丹監督には期待してたんです。手口の陳列として面白かったし、いつもながらの過剰なサービス精神にはゲンナリさせられるところもあるが、「暴力団は他人に屈辱を与えるから嫌だ」ということはあまり日本の映画ではちゃんと描かれてこなかったことで、そこを買います。仁侠映画好きな私が(フィクションと割り切って楽しんでるんですが)時々思う後ろめたさを贖罪する意も込めて。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 7点(2009-12-23 12:08:42) (良:1票) |
42.これはすごく良かったです。社会派のテーマを実に解りやすく見せてるし、キャスティングには非の打ち所がありません。考証がきっちりされているので、問題となっている事象にリアリティがあります。従業員のストレスによる血尿など、インパクトのあるエピソードを効果的に織り込み、テンポの良い展開で最後は爽快に決めてくれる。伊丹監督は実存する社会問題を、映画というエンターテーメントにまとめ上げるのが本当に上手いですね。あー、しかしこれが生かせるような状況には…立ちたくないよな~。 【あっかっか】さん [地上波(邦画)] 8点(2009-05-06 13:14:47) |
41.《ネタバレ》 伊丹十三監督の「女」シリーズは基本的にどの作品も同じプロット。宮本信子演じるスゴ腕のプロが問題を解決していく爽快感がウリ。ワンパターンと言えなくも無いですが、どれも娯楽映画として高い水準にあるのが素晴らしいです。本作もそんな作品のひとつ。今回の「女」は民事介入暴力専門の女弁護士。ただ主役は彼女ではありません。彼女はあくまでキッカケであり手段。暴力団に相対する主人公は、一介のホテルマンです。彼らは最初何も持っていない。女弁護士のサポートを受け、徐々に戦う術を身につけていくのが見所。大切なのは相手を知ること。怖い時に目を瞑るともっと怖くなる。震えた時ほど眼を見開かなければならない事を本作は教えてくれます。ただ、現実にはこう簡単には行かないだろうという事も想像できます。深いようで浅い、浅いようで深いのが暴力団。怯えずされど侮らず。出来ることなら、彼らと関わり合いなく人生を過ごしたいものです。 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-04-15 20:54:29) (良:1票) |