3.《ネタバレ》 この映画の題材となっている番町皿屋敷東京いうお話は落語でも何度か聴いたこともあれば見たこともある。あまり好きな話ではないが映画として見た場合、美しく悲しいドラマとして見応え十分で低い点は付けられない。愛する者同士、死をもって覚悟の上での決断する二人の姿が悲しい。殿様を信用出来ずに大事な皿を割り、自らの命と引き換えに殿様に対して、涙ながら殿様に対する気持ちを表すお菊の女の悲しみ、殿様もまた自分を愛し続けていたお菊を自らの手で手討ちにするしかない道を選んだ苦しさ、その両方が見事に描かれている。主演市川雷蔵の殿様としてのただずまい、お菊を演じた藤由紀子の美しい姿は桜の美しさにも負けないほどです。