36.青年が少女に話をする風景と、その話の中身そのものを並行して混在させようとした意図は分からなくもないですが・・・しかしそれならば、現実と虚構を突き通すほどの強力な芯が、話の内容に存在していなければなりませんが、そこまで達していません。つまり、設定を追うだけで制作側が息切れしてしまったということです。この世界を完成させようと思うならば、よほどの妄想力と、そしてそれに説得力を持たせるほどのディテールへの配慮が必要です。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2023-08-02 01:26:46) |
35.《ネタバレ》 TV録画を字幕版で見ました。かなり素敵な映画ですが、、色んな意味で非常に惜しい作品でもありました。 皆さんがおっしゃるようにターセム・シン×石岡瑛子×ベートーベンは素晴らしいです。とにかくいちいち映像が美しく、前作(ザ・セル)同様に砂漠は凄いし、突き抜けた明るさも美しく、素敵な映画の代名詞のようです。現実世界である病院での描写も素晴らしく、少女の肩の骨の折れ方や左右の眼をつぶって指先が移動する表現なども素晴らしい。現実とおとぎ話のダブルキャストの面々も素敵で、5歳の子供の心理が本当に上手く表現されています。 何から何まで本当に素敵な映画なのですが致命的な残念ポイントが一つあります。リー・ペイス扮するロイ/黒山賊/パパの行動が、あまりにも大人げなさすぎて萎えるほどでした。もちろん心の中で自殺願望が強いのはOKだし、子供を手なずけて薬を取ってこさせるのも全く問題ありません。大人げないのは自分の願望を5歳の女の子に全力でぶつけてしまったことです。その結果、終盤になるともう5歳の女の子の無垢な心だけを原動力にこの映画は突き進んでしまいます。傍観している観客としては見ていてちょっと痛々し過ぎるくらいです。 日本人的なのかもしれませんが、自分のせいで怪我をしてしまった女の子、ダメ人間である自分を父親のように慕ってくれる5歳の子、この無垢な女児のために自分の葛藤を犠牲にしてでも素敵な話を紡いでいただきたかった。その過程で、女の子に悟られることなく自分の心が再生されるお話が見たかったです。(というか、女の子を号泣させて懇願させるのは色んな意味でダメでしょ) この致命的な問題を除けばおとぎ話も面白いし現実世界の話も面白く、ほとんど文句のない作品に仕上がっています。ダブルキャストや「落ちる」に掛けた様々な伏線も素晴らしかったです。(邦題”落下の王国”はちょっと違うと思いましたが) 心底惜しい作品なので少々甘めの点数ですが、念のためにもう一度見返してみようと思います。 追伸 見返しました。この映画の完成度の高さは随一です。この映画の良さを再確認すると同時にやはりどうしてもラストのロイが、、5歳の女の子をイジメてるような構図が納得できませんでした。集中治療室で目覚めた5歳の女児にする仕打ちじゃないですよねアレ。 【アラジン2014】さん [地上波(字幕)] 6点(2023-07-31 11:45:42) |
34.力作感はある、風景の映像もいい。でも物語の中の物語は面白いと思えない。 最後まで何とか観続けるものの、思ったほどの感動には届かない。 映画好きな方々には評価が高い、となることもあるだろう作品。 【simple】さん [地上波(字幕)] 4点(2021-02-06 20:25:41) |
33.ファンタジーの物語はいいとしてイマイチ深みの感じられない現実世界のストーリーでしたが、世界遺産の映像美、強烈な衣装デザイン、そして少女のピュアな表情に知らず知らずのうちに引き込まれます。 エンディングであの有名なカットされたキスシーンの連続が頭をよぎりますが、不思議なワクワク感に思わず二度見してしまいました。 【ProPace】さん [地上波(字幕)] 8点(2021-01-21 22:15:59) |
32.現実と空想が徐々にシンクロしていく過程や映像的な趣向等々全体的にはよく出来ているとは思うが、大人の女に裏切られ、御伽噺で少女を利用しようとし、結果的には少女との交流で救済されるというは、ちょっとロリコン臭があるような。ただし、無垢な少女への逃避が大人の女への不信に対する有効な救済方法であるというのも、ある意味真実であるのかもしれないが。でも、自暴自棄な青年が少女と親密になっていくのはちょっと危うい感じはしたかな。それも含めて楽しむ作品なのだろうか。 |
31.映画の中の物語ってどうなの? 単純にその物語が面白くない。 だが、大体の映画はクライマックスからラストに、心に響く何かがあることに気づけたのは良かった。 【miso】さん [地上波(字幕)] 4点(2020-12-17 23:28:10) |
30.《ネタバレ》 むかしむかし…、と言ってもここは20世紀初頭のロサンゼルス。郊外にある静かな病院で、左手を骨折し退屈な入院生活を送る幼い少女アレクサンドリア。彼女はある日、同じく両脚を骨折し入院生活を余儀なくされた青年ロイと出会う。ほとんど娯楽などない毎日に退屈しきっていたアレクサンドリアへ、ロイは戯れに即興の作り話を聞かせ始めるのだった――。「想像してごらん。絶海に浮かぶ蝶の形をした無人島に佇むのは、弟を殺された黒人奴隷、愛する妻を奪われたインド人、孤立へと追い込まれた爆発物専門家、貴重な蝶を標本にされた生物学者、今まさに弟を処刑されようという仮面の男……、彼ら5人はそれぞれの理由により邪悪な総督オウディアスに復讐を固く誓った男たちなんだ」。ロイが語り少女が静かに耳を澄ます彼らの復讐の物語は、次第に病院内の現実社会へとどんどんと侵食していって……。そんなオリエンタルな雰囲気が濃厚に漂う映像と悪趣味紙一重の極彩色で美しい衣装の数々で描かれるのは、そんな摩訶不思議な世界が画面の端々にまで横溢するヒロイック・ファンタジーでした。監督は、唯一無二の映像表現で独自の世界観を構築するターセム・シン。確かに、この監督にしか描き出せないであろうエキゾチックな映像美が凄いことは認めます。画面の隅々まで計算された構図に豊かな色彩感覚、全編にほのかに漂うどこかノスタルジックな雰囲気。とはいえ、あまりにも我が道を行き過ぎていて、中盤辺りから僕はもうお腹いっぱいになっちゃいました。それに、「こんな映像を撮りたいんだ!」という監督の情熱が先走りすぎたのか、ストーリーの至るところに「?」な部分がたくさんあるせいで、いまいち物語に入り込めません。「だって、結局はロイの即興の作り話なんだもん」って言い訳されてもねー。こういう荒唐無稽なお話だからこそ(映像だけじゃなく)脚本の細部にまで拘って欲しかったです。観る者を圧倒するこの唯一無二のエキゾチックな世界観が好き!って人の気持ちも分かるのだけど、昔から僕はこの監督とはあんまり相性がよくないんだよね~。うーん、5点、ごめんなさい! 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 5点(2014-08-02 21:54:32) |
29.《ネタバレ》 久々にめっちゃ集中して鑑賞できた in 家!!いやぁ、良かった!なんで録画してすぐ観なかったのか、私!ターセム監督の映像センス、やっぱ大好きです!そして今回も石岡衣装も全てマッチングしてました、世界中のロケ地も素敵だった!そしてそしてアレキサンドリアちゃんが可愛い!彼女の凄く自然な演技で引き込まれました。映画のストーリーも私は好きでした。ロイは腹立つくらいにネガティブだけれど今回は子供に聞かせる創作童話ですし。ただマイナス1点したのは、どうせ空想のお話なんだから次々と殉職?した仲間も実は生きてたんだよー!みたいな事にして欲しかったから、、、(恥)、、、ウォレス、、、 【movie海馬】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2014-05-19 23:01:38) |
28.映画監督だけが仕事なわけではないアーティスト、ターセム・シンの作品数は少なく、1本1本が貴重。 近作「インモータルズ」が影と闇に支配されていたのとは対照的に、この映画の空想部分は光と色に溢れ、世界遺産めぐりの旅でもあり、至福のひととき。 遺跡を舞台としイメージや舞踊をとりいれることで、それ自体も新たな生命を帯びてくるよう。 一方現実の方はかなりシビア。 たびたびスタントのことにも言及したのは、縁の下の力持ちの彼らが映画を支えているのに思いをはせてほしいからなのですが、負傷のスタントマンにスポットをあてるなぞ嬉しくもあまりない趣向。 ラストは「ニュー・シネマ・パラダイス」より好きかもしれず、無謀より果敢という言葉がふさわしい、表舞台に出ることはないはかない英雄たちの勇姿の数々。 彼らの代表であるロイと少女アレクサンドリアの繋がりが、夢のような映画を夢で終わらせておらず、「落(堕)ちる」ことの痛みとそれへの抵抗が、美しい映像に縫いこまれていたように思います。 力強さより浮遊感のある作風も特徴か。 【レイン】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-10-01 07:00:04) (良:1票) |
27.《ネタバレ》 オープニングから映像美にうっとり。見た目は愛くるしくて無垢なアレクサンドリアだけれど、失恋を受け止めきれずに死のうとするロイに対し、その空想の中で彼を踏みとどまらせて救った彼女の方がずっと強くて大人。冒険ストーリーはなかなか面白かったのに、肝心なクライマックスの対決シーンが何とも迫力に欠けてちょっと残念だった。それにしても、弱い大人の病んだ行動とはいえ、幼い子供が嫌がるストーリーをあえて語って泣かせるのってとても残酷で、見ていて心が痛かった。 【lady wolf】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-10-21 15:41:14) |
|
26.《ネタバレ》 映像の美しさは然ることながら、自殺願望のある青年と無垢な少女のストーリーにも目が離せなかった。映画の中での物語と現実が作用し合い、互いに変化を与える様が面白い。終盤の、物語を交えたロイの葛藤とアレクサンドリアの「立って」という懇願のクライマックスは涙なしには見られなかった。役者の演技に後押しされてる部分も大きいだろう。ロイを演じるリー・ペイスの、優しくも暗い眼差しがあの役にリアリティを与えていたと思う。 【ピカレスク。】さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2010-10-06 19:06:35) |
25.《ネタバレ》 面白かった。物語を物語の中の人物に語らせるのはかなりの力量が必要だと思うが、軽やかにやってみせるあたりにそれを感じる。 悪意を原動力に作られた心地よいロイのお話に、少女だけでなく不覚にも観ている私まで思わずワクワクしてしまう。その心地よい都合の良さともったいぶらされ感に確かに続きが観たくなる。その計算された陳腐さは妙に後を引く。 ところが中盤以降、ロイの心が病むことでその心地よさは徐々になくなり融通の効かなさを感じさせる。とうとうロイが現実に対して折れてしまうと、すべてが破綻する。それは、そこにあるロイの願望がロイ自身の、心からの望みであることに気がついてしまうと言うことだった。 しかし、生きようというかすかな思いが彼とその物語の結末を文字通りの終わりから、少しだけ押しとどめた。その後、不可避な現実にどのように折り合いを付けていったのはは分からないが、本人も知らずのうちに寓意を込めたその物語はときには幼稚に、ときには陳腐に、ときには他愛のない空想にも映ることだろう。しかしそれは美しい映像をまとった紛れもない冒険であり心躍る物語だ。ちょっぴり厳しいエールがのっかった物語は彼の心をギリギリ踏みとどまらせた。 映画の中のキャラクタが映画の中で物語の中のキャラクタを演じ、見ている私はその映画の中に入りこんでその話をせがんだ一人になったように感じることが出来た。見終わって、アレキサンドリアと一緒にさんざん励ました自分の背筋がちょっとだけ伸びたような気がした。 【黒猫クック】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2010-05-13 23:31:47) |
24.こりゃ凄い。オープニングのモノクロスローからグッとくる。ストーリは食い足りないが映像は一見の価値有り。 この監督、頭の中には美しく幻想的な画しか無いんじゃなかろうか、だから空想パートの驚愕映像はストーリーにピタリとはまるが、現実パートにある美しい映像がストーリーにはまらない。観ているうちに現実部と空想部の切替がウザくなってくる、空想部をずっと観ていたいのに~ここで現実に戻るかオイ。という気持ちが後半やたら多い。 それでも、あれだけの画は記憶に残る、映画は総合的な芸術だとは思うが、これだけ映像美に特化されると恐れ入る。 誰かこの監督に素晴らしい脚本と資金を提供してください、次は絶対映画館で観ます。 【カーヴ】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-05-13 10:15:48) (良:1票) |
23.《ネタバレ》 子供の頃、歩道の色付きブロックを溶岩とマグマに見立てて歩いたことがあります。赤いブロックを踏んだらマグマに溶けて死ぬ。上手く行かなかった時の小さな敗北感は今でも思い起こすことが出来ます。お遊びとはいえ、負けは負け。想像の中の出来事でも、心が感じた喜びや悲しみはニセモノではありません。スタントマンのロイは「映画」の中に生きる人間。一般の大人に比べれば、空想の世界と現実の世界の距離は近い気がする。もちろん幼いアレクサンドリアも。2人にとって、創作話はただのお遊び以上の意味がありました。少女は仮面の男に、亡くした父親の姿を重ねていた。“物語”のエンディングで、彼女が泣いて仮面の男を助けて欲しいと泣いた気持ちは痛いほど分かりました。仮面の男の命を救う結末に筋書きを変えたロイ。彼自身もまた少女に命を救われた。作り話と同じように自分の人生の筋書も自分の意思一つで変えることが出来る。もちろんスタントの事故のように、思い通りには行かないかもしれないけれど、その時はまた新しい物語を書き直せばいい。力強い希望のメッセージが其処にはありました。どの場面を切り取っても、陰影が印象的で絵画のような美しさ。空想の世界を見事に映像化していたと思います。現実の世界も同様に美しいので、お話の世界との差異が曖昧ですが、本作の趣旨を考えればむしろ好都合だったと思います。 【目隠シスト】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-04-07 19:18:13) (良:1票) |
22.映像は綺麗だった。風景や構図も。でも話は面白く無かった。恐ろしいぐらい。 【ぬーとん】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2010-01-04 23:43:07) |
21.焼け付くような砂漠、透き通った海、きらびやかな宮殿からなる鮮やかな世界を、 特殊効果を使って仕上げた映像はほんとにきれいで、額に入れて飾りたいぐらいだった。 ただそれだけでも見る価値があるとは思うんだけど、 その分ストーリーはないがしろにされていて、内容がほとんど無かったのが残念。 【チートイ】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-12-29 21:12:22) |
20.《ネタバレ》 なんて美しい画なんでしょ…冒頭のモノクロシーンから一瞬にして、映像の美しさに引き込まれました。もちろん、本編の映像美にも圧倒されました。素晴らしいですね。で、お話の方はというと、ロイの下りは意外とどうでもよかったんですけど、途中からの展開には少女と同様に「こんなお話は嫌」と思った次第です。自殺願望のロイを救ったのは彼女で、私たちをお話の映像へ誘っていたのも彼女。少女の想像力と生命力を、こんなに美しいロケーションと衣装のコラボレーションで描いてみせた本作の力量は、本当に素晴らしいものがありました。移民の少女の訥々とした語りも然ることながら、健気な瞳(個人的には“ミツバチのささやき”のアナ・トレントに次ぐ感じ)に胸打たれ、ウルッときてしまいました。しかし本作、映画館で観ればよかったと、大いに反省です。 【泳ぐたい焼き】さん [DVD(字幕)] 10点(2009-10-02 10:45:26) |
19.《ネタバレ》 これは映像美を楽しむ映画でしょう。ベートーベンのシンフォニーをがっちりと受け止めて見劣りしない映像って、ざらにはない。「ザ・セル」もそうだったけど、この監督独特の表現は確かなオリジナリティだ。その中で、存在感を発揮している石岡瑛子の衣装美術には拍手を送りたい。少女の励ましが救いになって、生きることへの意欲を取り戻す青年はどうでもいい。最終的に銀幕の世界に(チョイ役で?)復帰できたようだけど、あのまま死んでいただいても、この映画の評価が変わることは無かったでしょう。だけど、エンディングに挿入されたモノクロのスタントマンの映像集には、心を打たれるものがあった。実際、この映画の青年のように障害が残りかねないケガをした人もいただろうし、大事に至ったことも多々あったはず。この映画が見せてくれた映像美の世界とは裏腹な、映画産業の成長と繁栄を陰で支えた仕事、というものに思いが巡り、原題「The Fall」(…落ちる人、堕落)の意味を改めて考えさせられた。 【2012/1/30 追記】衣装美術を担当された石岡瑛子さんが亡くなられました。今では日本有数のグラフィックデザイナーになったH氏と過去に一緒に仕事をしていたんだけど、そのH氏が駆け出しの頃の師匠(?)が石岡さんで、よく酒席で逸話を聞いた。充分に厳しい人に見えるH氏が石岡さんを語るときには「畏れ」が感じられ、創造に関してとことん厳しく強い人というイメージを抱かされた。NHKの追悼番組「プロフェッショナル」を観たがそのイメージ通り。一緒に仕事をする人たちの苦労を描いているところに妙に共感してしまった。創造と格闘し続けた凄い方でした。冥福をお祈りします。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-09-25 02:07:27) (良:3票) |
18.《ネタバレ》 うーーん・・・映像は美しい 「こだわり」は充分に感じることはできました。が、いかんせん、肝心な内容が…今一歩な印象は否めないですね ワタシ的にちょっと難解な映画でアリマシタ 【Kaname】さん [DVD(字幕)] 4点(2009-07-25 22:21:45) |
17.鉄橋で蒸気を噴出する機関車を見上げるオープニングシーンは、この映画を借りて良かったと思わせるのに充分だった。 【michell】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-05-06 11:45:05) |