1.《ネタバレ》 予想以上に面白かった。
しかし、それにしても鶴田浩二の疲れきった感じの演技には、かなり驚いた。
最晩年の作品なのかと、疑ってしまったほどだ。
この頃から既に体調が悪かったのか?それとも、単なる疲れ演技か?
真相は知らないが、とにかく鶴田浩二の疲れきった演技が、負のオーラをメラメラと発していた。
お目当てミッキーこと成田三樹夫は、本作でもかっこよすぎた!
あのドスのきいた声に、カツラ(!)っぽいカチっときめた髪型と、ストライプ柄のヤクザスーツ。
そして何より、本作での飄々としたオトボケキャラが何とも良い。
相手方のヤクザ衆からデカイ声で凄まれても、「おぉー、びっくりした」。これにはゲラゲラ笑ってしまった。
又、相手方のヤクザから暴力をふるわれ、「ア、イテテイテ」。これもツボにはまった。
ああいう人をくった様なオトボケヤクザを演じさせたら、成田三樹夫は最強であるし、その魅力も倍増する。
単なるコワモテのヤクザ俳優でなく、こういった人間的愛嬌もにじませる成田三樹夫は、ほんと愛すべきヤクザ俳優である。
ところで、本作での最大の見所は、鶴田浩二がラストで息をひきとるシーンだ。
苦しみにもがきながらも、紙とペンを握り締め、組の解散状を書こうとする。
これはまさしく「鬼気迫る演技」で、息をのんで見入ってしまった。
鶴田浩二の魂のこもった演技を観ることができたという意味でも、本作を観て良かったと思う。
その他の出演陣も豪華で、個性も強い俳優ばかりが出演している。
それぞれが持ち味を発揮しており、全体的に見応えのあるヤクザ映画だ。
成田三樹夫を目当てで本作を鑑賞したものの、作品自体も非常に面白く、掘り出し物で得をした気分である。