236.《ネタバレ》 冒頭と最後に出てくる4択の答え「It is written」は「運命だった」と「創作だった」のダブルミーニングではないでしょうか?
ジャマールがミリオネアを勝ち進めたのは「運命」だったのか、それとも「創作」だったのか。
字幕の通り「運命だった」とだけ受け取ると強引な展開が鼻につきます。
クイズの超難問に自身の経験から解答できるという設定もクセが強いですし
兄サリームの心変わりも突然すぎて不自然です。
「都合良すぎな展開を運命の一言で片付けるのはちょっと…」ってモヤモヤしませんでしたか?
ですがIt is written を「創作だった」という、もう一つの視点を加えて観ると違和感が解消されました。
仕掛けに気づくと、もう一つのストーリーが見えてくるトリックアートの様な構成です。
では映画のどの部分が創作かというと、
「ミリオネアへの出場そのもの」
↑↑これです!
映画内の時系列はヒロインと駅で引き離された所で一旦止まっています。
実際はミリオネアには出場していませんし、電気ビリビリ拷問もされていません。
超難問が都合よく出題されたのもジャマールが作り出したクイズミリオネアだからです。
ヒロインと引き離されたジャマールは駅で日々待ち続けます。
恐らくかなり長い期間待ったのでしょう、ヒロインの顔の傷が塞がっていますから。
駅で待ち続ける中で描いた妄想がミリオネアであり、兄との劇的な復縁だったのでは。
ジャマールがミリオネアを勝ち進めたのは「創作」だったけれど、
過酷な現実を生き抜いて最後にヒロインと結ばれたのは「運命」だった。
人によって色々な解釈ができる内容の映画だと思いますが、私はこのストーリーを推したいです。
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もう少しディープに。
字幕を担当された方は悩まれたと思います。
作中ではシーンによって意図的に「It is written」と「destiny」が使い分けられています。
どちらも字幕では「運命」ですが、
ヒロインに対しては「destiny」
ミリオネア関連では「It is written」です。
みのもんた(仮)がトイレでジャマールに提示するクイズの答え、
「君が成功するのは運命(written)だよ」
みたいな事言ってますが、嘘ぴょんでしたね。
この辺で違和感が高まります。
そもそもミリオネア自体が嘘なんじゃないかと。
その他にもクサい部分が山盛りです。
通常なら超難問となるはずの最終問題が3銃士の名前!?
いきなり簡単すぎるでしょう。
トドメはラストシーン。
ジャマールがヒロインに「これが僕らの運命(Destiny)だよ」
と、言ったその後に
4択の答え
[ジャマールはなぜミリオネアを勝ち進めたか?]
が出てきます。
正解は D: It is written
今一度ストーリーを振り返ってみてどうでしょうか?
最後の4択、It is written は
「運命だった」ではなくて、
「嘘ぴょん、引っかけ、脚本、でっち上げですよー」的な意味で使われていると感じました。
うーん、、、
やっぱり私にはミリオネアは虚構だったとしか思えない。
映画としてはインパクトが欲しい ←これ大事!
なのでミリオネアで勝ち進んだり、拷問とかされてみる。
でもサクセスストーリーも過ぎると白ける。
大半の人が思ったはずです、「都合良すぎじゃね?」って。
・スカッとする展開でニッコリさせて
・最初に張っておいた4択問題の伏線を回収して
・モヤモヤする部分にも納得のいく背景を作り、綺麗に落とそう!
っていうのが作り手の意図じゃないかなぁ、と。
個人的には脚本賞に大納得です。
英語ネイティブの人は字幕の必要が無いので、
日本人とは違ったニュアンスで受け取れたのではないかと思いました。
英語圏で賞総ナメなのに、日本での評価は低いのもその辺に理由があるんじゃないでしょうか。
…でも字幕を当てるなら「運命」しか無いんですよね。