276.大好きなイーストウッド監督作品であるが、2番手に好きな作品群。何が足りないのかは、わからない。けど、個人的には、何かが足りない。いや、足りすぎているのか。筋は、読めます。 【にけ】さん [映画館(字幕)] 8点(2018-12-25 20:47:22) ★《新規》★ |
275.タイトルからしてアクションもののように思えるが、イーストウッドの映画とは思えない低予算で地味な人種問題ものだ。それもアフリカ系ではなく、アジア系というあたりが珍しい。暴力には暴力で応えてきた彼の代表作『ダーティハリー』シリーズのセルフパロディ要素がちらつき、そんな老い先の短い男が不寛容の世界において最期の答えを提示する。対立と交流を織り交ぜたオーソドックスな筋書きながら、重厚さを出しつつサラッとした味わいに、イーストウッドの貫録と余裕が感じられる。欠点も少なくないが、それでも許容してしまうような温かさがある。 |
274.クリント・イーストウッドが、許されざる者とミリオンダラー・ベイビーで描いてきたテーマに対して、彼なりの答えを提示している。 ラストシーンは金槌で頭を殴られたような衝撃を感じた。ラストに向けてミスリードがなされているが、観終わってみると丁寧に伏線が張ってあったことが分かり、これ以上ないくらい納得がいくものになっている。 クリント・イーストウッド作品の集大成と呼ぶに相応しい。 【アクアマリン】さん [ブルーレイ(字幕)] 10点(2018-12-01 01:04:46) |
273.《ネタバレ》 イーストウッドの映画は「観やすい」。人種差別、異民族文化、貧困、世代の断絶、暴力ととにかく重いテーマを真正面から扱いながら、観やすい、というのは凄い。イーストウッドという人はやはり大した映画人だ。 過酷な体験を持ち身の回りのことはきちんとこなし妻を愛し続け、しかし世間的にはその能力を評価されることはないウォルトにはみんな共感するでしょう。人格者の若い神父、何も言わずお礼の食べ物を届け続けるベトナム婦人たち、もちろんタオやスーにも共感するでしょう。でも偏屈なウォルト爺さんにうんざりする息子たちや間を取り持とうとする嫁、我関せずの孫たちにも共感しない?もっと言うとスーにちょっかいかけてウォルトに撃退される黒人ギャングたち、何もできない白人彼氏、コミュニティ内に生き場所を見つけようとしてあがく最低最悪なゲス野郎ベトナム人ギャング共にもちょっと共感しないかな? 自立したアメリカ人であろうとするスーは結局自分のコミュニティ内の暴力に打ちのめされる。そしてコミュニティは守ってくれず外側にある社会システムに訴えようとしない。ウォルトはそのアメリカ社会を信じて身を投じる決断をするわけだが、この決着の付け方に僕は違和感を感じる。要はこれが保守思想家であるイーストウッドが信じる核の部分なんだろう。 イーストウッドは人間とその集合である社会とそれが「信じるもの」を信じていて、かつ現実を見据えている。まことに立派な態度だとは思う。この映画は傑作には違いないが、果たしてこれが普遍的なメッセージとなりうるのかという疑問も感じる。そしてフォード社のグラン・トリノという車が理想の象徴になっていることにこの思想の限界を感じるのだ。 【tubird】さん [インターネット(字幕)] 6点(2018-10-10 23:30:09) |
272.《ネタバレ》 全般静かにストーリーは進んでいきます。最後に丸腰で悪党たちに立ち向かうあたりが、もの悲しい。 【ゆっきー】さん [DVD(字幕)] 6点(2018-04-28 13:33:41) |
271.《ネタバレ》 良い映画というのはわかるのですが、ゆっくり淡々とした流れの前半が正直退屈。アクションやサスペンスを期待しているわけではありませんが、ドラマならではの面白みがもう少しほしい。 また、序盤は可愛げのない孫達や、そんな子供に育てた息子夫婦に若干いらいら。それに、後半への布石とは言え、若い神父に対するウォルトの態度がなかなかひどい。なんか不愉快な気持ちにばかりさせられます。 タオ一家との交流が始まってからは、しだいに温かい空気になっていきます。タオやスーとのふれあいによって、ウォルトの冷え切った心が少しずつほぐれていく様子は、ありふれているけど微笑ましい。 その一方で、偏屈で偏見のかたまりだったウォルトが、隣人と打ち解けていく『これ』といったエピソードが足りない気はします。おばあさんの荷物を拾ってあげるタオや、親しげに話しかけてくるスーだからこそ打ち解けられたのかもしれないが、やはり説得力に欠ける気がしました。 ラストの終わり方は意外でしたね。ドラマとしての深みが出ます。余韻も生まれます。それまでのストーリーとのバランスだってとれている気がします。ただですね、時代劇をいっぱい見て育った世代としては、「てめえら、いい加減にしやがれ。皆殺しじゃー。おらー。」ってな感じで、とにかくケタ違いの強さを見せ付けて悪党どもを粉々にして欲しかったのが正直な気持ち。周りからどんな批判を受けよーと、『目には目を』ってわかりやすいケリのつけ方が好きなんです。 つまりは、この作品は『娯楽』ではない、だから性に合わない、ということですね。 【たきたて】さん [ブルーレイ(字幕)] 6点(2018-02-24 04:25:53) |
270.《ネタバレ》 クリントイーストウッド最後の出演作として最高のラストでした。ハリーキャラハンなら問答無用で撃ち殺したろうけど、ある意味どんでん返しでした。こんな決着のつけ方があったのか。これなら復讐の連鎖も無いだろう。お見事としか言いようがない。 気だるそうなラストの音楽も最高です。 【仁】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2018-02-04 01:10:23) |
269.個人的には地味で暗めのヒューマンドラマは嫌いです。 実際、ここでもそのタイプの映画には低い点数をつける事が多いのですが、しかしこの映画レベルになるともはや嫌いだなんだと言うのがアホらしくなってきます。 ストーリー自体は地味でなんのひねりもないものですが、しかし観終わった後に染みる余韻は相当なものです。 それは一見地味ながらもそこに複数のテーマが重層的に描かれているからこそなわけですが、残念ながら生粋の日本人である自分には、この映画に含まれた複数のテーマにあまりなじみがなく、肌感覚で直感的にテーマを感じる事ができません。(頭の中で分析的には理解できるのですが) それでもこれだけしっかりした重厚な感動を与えてくれるわけだから、ほんとたいした映画だと思います。 あと「グラントリノ」、かつてダーティハリーの中で乗ってるシーンがあるんだとか。 【あばれて万歳】さん [インターネット(字幕)] 8点(2018-01-17 00:22:11) |
268.《ネタバレ》 VODで、何があるのか探してたら、知ってる作品で、レビューも良いので鑑賞。 当たりでした。 戦争から帰還後、息子達とうまくやることができず、溝が深まっていくのを心の中では、苦悩するウォルト。 戦争で人を殺したことのある者にしかない苦しみ。。。 自分の命を犠牲にし、命を奪うことなく、復讐の連鎖を連鎖を断ち切ったところは心打たれました。 【へまち】さん [インターネット(字幕)] 8点(2017-12-31 19:25:18) |
267.《ネタバレ》 よくまとまった話だとは思いますが、要は勧善懲悪で薄っぺら感を否めず。「自分さえカッコよければいい」という、イーストウッドの悪い面が出ている気がします。結局、「ダーティハリー」からまったく進歩が見られないわけで。 それはともかく、どうもモヤモヤした点が1つ。救いようのない悪党が出てくるわけですが、彼らをなぜ、隣人と同じアジア人にしてしまったのか。察するに、仮に黒人や白人にするとリアルすぎるからではないでしょうか。それでは主要客である米国人を敵に回すだけ。しかしアジア人、それも中国人や日本人ではなくドマイナーな民族に設定すれば、ある種の対岸の火事として見ることができます。それは良く言えばファンタジーということですが、悪く言えば猛烈な民族蔑視にほかなりません。よく知らないアジア人なら、簡単に銃も乱射するし、親戚をレイプもするし、人も殺すよねと。こんな野蛮な民族に生まれなくて良かったねと。 余談ながら、肝心のグラン・トリノより、息子の乗るTOYOTAや悪党たちの乗るHONDAのほうがよほどカッコよく見えます。 【眉山】さん [インターネット(字幕)] 5点(2017-10-18 23:13:06) |
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266.メッセージ性の強い作品。よってネタバレ無しで感想を書くのが難しい。基本的に笑えるシーンも泣けるシーンも結構ベタだなと思いました。しっかり笑わされて、そして泣かされましたけど。自動車産業の衰退や街のスラム化、移民などの社会的な問題について、少ないセリフで上手に説明してあるので、前知識がなくても、ああ今のアメリカ(の一部)はこんな感じなのかなとなんとなく分かります。とりあえず、まだ「ダーティーハリー」を観てない方には、そっちを先に観といた方が良いよとアドバイスしたい。その方が色々楽しめるから。 【すらりん】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-10-07 13:00:58) |
265.《ネタバレ》 主人公は命と引き換えに少年の未来を守りました。感動しました。しかし何度も観る気はしません。やっぱり、真面目に生きている人は幸せになってほしいんです。死んでほしくないんです。イーストウッド監督作品はこういうのが多いですね。 【次郎丸三郎】さん [DVD(吹替)] 8点(2017-06-04 13:01:08) |
264.《ネタバレ》 ポーチと椅子と床屋。西部劇の記号。実は過去のどのイーストウッド映画よりこれら道具立てが頻繁に現れることに戸惑った。しかし過去のどのイーストウッド映画よりも西部劇足ろうとしたのだろう。そういう意味では彼のセルフ・イメージ以上にこれも西部劇というジャンルを葬る映画だが、しかし本作も師ドン・シーゲルのあの作品と同じで爽やかな葬儀だ。 また、ジッポーのライターと朝鮮戦争従軍時の記念品を収納しているケースに記されている第一騎兵師団のマークもシンボルとして重要だろう。第一騎兵師団は西部劇の騎兵隊の末裔である。イーストウッドが妻を亡くしていることを合わせて考えると、どうしても『黄色いリボン』を想起してしまうが、ラストにおいてジッポーのライターが重要な小道具として使われており、この点でも西部劇への想いを感じてしまう。。(ポーチと椅子と床屋、そして騎兵隊、ということで云えば、私はどうしてもジョン・フォードへのオマージュを感じます。) 一方でこのマークは日本人にとっては太平洋戦争敗戦後の米進駐軍のシンボルであり、映画ファンにとっては『地獄の黙示録』のキルゴア大佐率いるヘリコプター部隊をはじめ多くの戦争映画における米軍の紋章として記憶しているものだ。 楊徳昌の『恐怖分子』でも、第一騎兵師団のマークのついたジッポーが米兵(米国人)を象徴する小道具として利用されている。一般の米国人にとっても米軍のシンボルとして受け止める人もいるだろうし、さらに云えば暴力の、殺人のシンボルとして受け止めることもできるだろう。近作では無政府主義と云っても云い過ぎでないほどのリバタリアニズムを表出していたイーストウッドが司法に委ねる結末を選ぶということも含めて、キリストの磔刑の十字サインも含めて、本作の最期の描写が表象するものの深さは尋常ではない。 ただし本作のクライマックスはラスト以上に二つ目の懺悔シーンの金網を挟んだ演出だろう。イーストウッドはこの映画の中で一度しか懺悔していない、とも云えるが、とりあえず二つの懺悔シーンがあるとするならば、二つ目のこの見せ方には圧倒される。見終わった後も考えれば考えるほど、この演出の聡明さに慄然となる。 【ゑぎ】さん [映画館(字幕)] 10点(2017-03-28 06:18:15) (良:1票) |
263.良作には違いないですが、なんというか・・ 「重たい」です。皆さん高得点が多いようですが、こんなに重たい映画が好きですか?ホントに?? イーストウッドが監督した映画はチト重すぎます。個人的には彼の作った映画でバランスが良いと感じたのは「パーフェクト・ワールド」くらいです。それ以降は特に重たい映画ばかりで疲労困憊。しかし困ったことにどの映画も内容的にはかなりの高得点なので評価し辛いことが多いです。 今回のグラン・トリノも非常に完成度が高い映画ですが、、何度も見たいとは思わないのでこの点数です。あ、牧師さんパートは全体的に良かったです。セリフが深くてよいですね。 【アラジン2014】さん [インターネット(字幕)] 5点(2017-03-17 16:00:36) |
262.ぼんやりと見ても、真剣に見ても、ついつい考え込んでしまう。 どうやったらこんな画の中に生きることが出来るのだろう。 何年たっても、このような想いの食い違いだったり、 近場に災難を被ったりするのだろうけど。 人種、育ち方、本当の家族、自身の人生結論、 すべてがストーリーとして一つになって、 映画としてみられる。 これは自叙伝なのか、それとも。 少なくとも想像だけ、でつくることのできる映画ではないと想います。 【元祖】さん [インターネット(字幕)] 10点(2017-02-15 23:05:07) |
261.《ネタバレ》 イーストウッドが30歳若ければ全員ぶっ殺して終わりENDでしたね。あと僕、車詳しくないんだけどグラン・トリノって車は有名なの?かっこいいの?あの車でデートはちょっと・・・ 【たろさ】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-12-24 00:32:08) |
260.自分が犯した過ちへの、正しいケリのつけ方。感動以上の感情は、一人で噛みしめるものらしい。妻に先立たれ、自分も余命僅かだろうことを自覚した男ウォルト。彼の自宅の隣に、異文化を体現したような東洋人が越してきたことで物語は動き始める。毛嫌いしていた隣人たちとの交流により、彼は新しい価値観を見出す。人生最後にできた若い友人。ウォルトは自動車工場に長年勤め、戦争で敵兵を殺したことも公言する。裕福でも、高学歴でも、由緒正しき家柄の出でもない。だが、彼は常に自分のことは自分で決め、一握りの財産を大切にし、そして責任を全うしようとしている。題名となっている『グラン・トリノ』という車も、その僅かな誇らしい財産のうちのひとつだ。若いタオに親切にすることも、彼には一人の友人として当たり前のことなのだろう。タオが同族の不良どもに付きまとわれて困っているとき、良かれと思って行なったことで、事件が起きる。逸るタオに彼は言う。「冷静になれ。考えろ。作戦をよく練るんだ。」隣人への償いのために、過ちを犯した自分へのケリを付けるために、彼は一人命を掛けて行動に出る。彼の静かな戦いは、まさに「本当に格好いいとはこういうことさ」ということそのものだ。そんな彼は「旧き良きアメリカ人」(またはアメリカそのもの)の具現者だった。ハナマル。 【しぇんみん】さん [DVD(吹替)] 8点(2016-11-20 13:36:01) |
259.《ネタバレ》 スーツを新調し、整髪し、愛犬を預ける姿に、刑務所に入る覚悟を見たのですが。隣家の為に命を投げ出し、分身のようなグラン・トリノをタオに譲る。50年かけて揃えた工具が示す様に仕事一筋で子や孫の事は亡妻に任せきりだったのだろうか、あまりにも希薄な息子一家との絆がうら悲しい。 |
258.《ネタバレ》 かつて、黒沢明の「生きる」をハリウッドがリメイクする なんて話が話題に上っていましたが この作品はこそ「生きる」のイーストウッド版でしょう、きっと 定められた死を前に何をしていいのかもさえ分からず 人付き合いも少なく、ただひとりで 芝刈りをして過ごす自分への焦燥感と虚無感 自分が育ててきた息子との距離や擦れ違いの埋め方が分からない姿 後悔以外、残されたもののない人生への懊悩 そんな苦しみの中から 力なく弱い立場の人に、未来を残すことに 残された自分の命を昇華させるこを決意して行動する 細かい設定こそ異なりますが 貧しい庶民は、隣家のモン族と少年タオ 庶民を苦しめていた環境汚染は、劣悪な治安 弱者が抗しきれない役所権力はギャングの暴力 主人公が残したかった公園は、穏やかになった町とタオの未来 置き換えてみても違和感を感じません ラストの、情感あふれるウォルトの歌声に グッと胸にこみ上げた人もいらっしゃると思いますが あれこそ、まさに 「生きる」の主人公が、ブランコに揺られ歌っていた「ゴンドラの歌」 主人公の万感の思いが胸に染みこむような歌声です 舞台を現代のアメリカ社会に置き換えながらも 「生きる」に描かれていた大切な要素を残し そして、余命を宣告されてからのわずかな時間が ウォルトにとって満たされたものだったことをつたえてくれる、 優しく、穏やかな歌声 監督としても、主演としても そして歌声までも、さすがのC.イーストウッドでした 【こっちゃん】さん [映画館(字幕)] 10点(2016-08-04 06:13:08) (良:2票) |
257.《ネタバレ》 クリントン・イーストウッドはこういう偏屈ジジイはほんとはまりますね。内容も面白かった!俺のグラン・トリノを貸してやるってセリフはシビレました。 【SUPISUTA】さん [DVD(字幕)] 9点(2016-04-16 08:58:54) |