1.《ネタバレ》 冒頭からテンポのいいリズムとスリルを感じ期待しましたが、ジャケットと予告で『「さらば、わが愛」を越えた』というのが、どうも鼻につきました。
あまりいい宣伝文句とは言えませんね。
頑張ったのは伝わってきますが、正直全体を通していうと越えてはいません。
京劇俳優の女形スターが主人公というのが共通点ですが「さらば~」は三角関係の恋愛模様が中心、本作は梅蘭芳(メイランファン)という主人公の人生を描いた大河ドラマです。
梅蘭芳の役は時代の変化に合わせて二人の俳優さんが演じていますが、二人とも男性とは思えないほど美しい女形に変身しています。舞台の歌声も見事です。
前半は文句無しです。ここまでは一見の価値あり!
しかし、冒頭で実話というテロップもあり、それから先の主人公の歴史を無理矢理詰め込み過ぎています。
時間軸を変えない手法はよかったのですが、なんだか、よくある有名人の人生を描いたハリウッド映画のように変わっていきます。
愛人役のチャン・ツィー(絶対ミスキャスト!)も含めて、周りの人物が優しいんだか冷たいんだか性格が定まっていません。
終盤は日本軍の南京侵略の影響をもろに受け、京劇が全く描けなくなってしまいます。
でも、セリフのやりとりもセンスがいいし、「さらば、わが愛」を観賞した人には、一度観てもらいたい作品です。