2.《ネタバレ》 やっぱりジャック・ターナーは凄い。とにかく女優を綺麗に魅せる。
ファムファタール、ジェーン・グリアが綺麗過ぎて、息が詰まる。
ジェフがアンに打ち明ける回想明けで、
ジェフが車を降りてアンとのクロースアップのカットバックになるのだが、
このカットバックの秀逸さたるや唸る。
もうこの撮らえ方が、ああこのふたりは絶対に結ばれることなどないのだと思わせる。
ジェフとキャシーが初めて結ばれる夜、
ジェフが投げ出したタオルがランプシェードにぶつかり、
ランプシェードは倒れ、部屋は暗くなり、嵐で扉が開き、その扉に向ってトラックイン。
愛が交わるという素晴らしい演出だけでなく、ここがすべての破滅の始まりとも見える。
そしてラスト、アンは聾唖の少年に「ジェフは本当に彼女と逃げたの?」と尋ねる。
少年は戸惑い何も答えないが、アンの「そうなの?」という更なる問いかけに最後には軽く頷く。
そして彼女は去り、少年はジェフの名前が書かれた看板に、これで良かったろ?と挨拶するのだ。
つまり、アンに真実を告げれば彼女はジェフのことを想い、新たな幸せな人生を迎えられない。
そんなことは彼も望まない。例え彼が悪者になろうとも、彼女のことを想うから、
彼女が幸せになれるならば、それはそれで良いのだということだ。
それがあの少年の選んだ決断だ。これで良かったろ?と。泣ける。