12.楽しめた。
ダラダラ間延びしたシーンもなく、終始緊迫した展開が続き、いったいどういう展開になるのか釘付けになる。
ただ、惜しかった。
この映画の最大の欠点は、主人公たちが、やたら絶望感を漂わせるけど、いつまで経っても「追い込まれた」状況にならないことだ。
確かに援軍はいつまで経っても来ない、味方側の戦闘員は少ない、という厳しい状況ではある。
しかし、基地という自分の陣地に立てこもって敵を迎え撃つという有利な状況で、かつ、装備面でも敵を上回ってるおかげなのか、とにかく、味方にほとんど被害が出ない。
敵兵は、やってくるたび返り討ちにあって、ガンガン死んでいくが、味方は軽い負傷者が出る程度。これって、余裕の状況じゃないの?
そんな状況を延々見せられても、いまいち緊迫感がなくて盛り上がらない。
しかも、そんな余裕の状況なのに、味方陣営はどいつもこいつも、オロオロあたふたし、絶望的だと口にするもんだから、「なんだかなー」って冷めてしまう。
あまりに盛り上がらないから、心のなかで、「もっと追い込んでくれよ」と敵陣営を応援してしまう始末。
それでも、やっと、敵が迫撃砲という有効な攻撃をしかけきてから、状況は一変する。
防衛体勢は崩れる。死人も出るし、けが人も出る。
おお、これでやっと、追い込まれた感が出て面白くなってくる!…思ったら、はい味方が来ました、終了。
本来ならそこで主人公たちと一緒に援軍の到着を喜ぶべきところなのだが、こっちはもうガッカリげんなり、金返せ、みたいな気分になった。
無論、事実ベースなんだから仕方ない部分もあるのだろうが、あまり現実に即しすぎるとストーリー性は損なわれるのではないだろうか?ブラックホークダウンなんか、ある程度フィクションを入れて話を面白くしてるし。
話としては、この手の実話ベースの戦争映画にありがちなパターンをすべて満たしている。
・家族への愛を描く
・戦友同士の友情を描く
・戦争で死んでいった者への敬意と追悼の意を示す
実話もの戦争映画は、毎回毎回こんな感じになって、食傷気味。
愛だの友情だのでお涙頂戴にし、あとは殉職した軍人さんを賛美して終わる。実話ベースだと、やっぱり、こんな展開にならざるを得ないのか。
ちょっと文句ばかり書いてしまったけれど、十分楽しめるいい映画だった。