1.《ネタバレ》 1967~1968年に放映された特撮TV番組「ウルトラセブン」の続編のようなものとして、1994~2002年にTVやOVで断続的に16本が制作されたいわゆる「平成ウルトラセブン」の4作目で、1998年の「ウルトラセブン誕生30周年記念3部作」の2作目である。すでに完成された作品の続編など作られても基本的に見る必要など感じないわけだが、同じ題名で製作されているからには参考として見ておかなければという義務感が当時はあった。
この回は、3部作の1作目だった「失われた記憶」の延長上で、同じ登場人物が出るものとして製作されており、事件が起こって警備隊とウルトラセブンが解決して終わる普通の回という印象になっている。
今回の物語は、一言でいえば“地球人類の運命は地球人類が自ら決する”という決意を示したもので、ヒーロー任せが当たり前の怪獣特撮にしては極めてまともで正直感心した。また中核的なアイデアである「マントルプリューム絶滅説」なるものも、完全に無根拠で荒唐無稽というわけではないようである。宇宙人の説く「火の世紀」に関しては、当時はともかく近年はニュージーランドの地震(2011年)に続いて「平成23年東北地方太平洋沖地震」が発生し、また2016年には熊本地震が起きるなど、今となっては洒落にならない印象がある。現時点であらためて見れば、来るべき災害への備えを万全にせよという警告の物語になっているとはいえる。
ほか当時の世相として、不況のせいで好条件だが怪しげな求人に若者が集まるとか、「エコブームで、地球にやさしく」という風潮への皮肉が語られていたりするのは面白い。ほとんどの場面が陰気な感じで推移するが、最後は開放的で明るい雰囲気になって次回へつなぐ形になっている。当然ながら全般的に安手の作りで残念なところも多いが、志は買いたい作品ではある。
なお今回の女性キャラクターとしては、捨てられた工業都市に住む捨てられた女が登場し(演・菅原晶子)、もう人生終わったかのような顔をしていたが若々しい色気も感じさせている。また前回からのレギュラーの中ではハヤカワ・サトミ隊員(演・鵜川薫)の魅力が前面に出て来て、このあたりからこの人のファンになってしまった記憶がある。基本的には続編など認められない立場だが、この人を見るために次回も見なければ、という気になったのは間違いない。